Red eye: 眼瞼結膜の発赤を呈する疾患の総称であり, 主に結膜炎を示唆することが多い.
結膜炎
・名前の通り結膜の炎症. Conjunctivitisと呼び, 結膜の血管拡張を認め, 浮腫や浸出液を認める.
・一般的な感染症であり, 眼科よりは一般外来で対応することが多い.
・名前の通り結膜の炎症. Conjunctivitisと呼び, 結膜の血管拡張を認め, 浮腫や浸出液を認める.
・一般的な感染症であり, 眼科よりは一般外来で対応することが多い.
・感染性ウイルス性が最も多く, 夏場で多い.
・細菌性は2番目. 小児例が50-75%を占め, 12月~4月に多い.
・アレルギー性は全体で15-40%を占める最多の原因. 春~夏に多い.
・非感染性ではアレルギー性以外に, 毒素性, 瘢痕性, 自己免疫性, 腫瘍性が挙げられる.
・全身性疾患に付随するものとして, 淋菌, クラミジア, GVHD, Reiter症候群等もある
(JAMA. 2013;310(16):1721-1729.)
プライマリケアにおける結膜炎のアプローチ
結膜炎(Red eye)を診療した場合
眼痛, 羞明, 複視, 膿性分泌物を認める場合は重大な疾患, もしくは細菌感染症の可能性があり, 対症療法のみではダメ. 眼科コンサルトが推奨される.
結膜炎以外にRed eyeをきたす疾患
(JAMA. 2013;310(16):1721-1729.)
眼痛, 羞明, 複視は特にRed eyeの "Red flags"と言えるが,
他に危険な兆候はあるのか?
また, 上記所見はどの程度重要なのか? というのはあまりハッキリしていない.
重大な疾患と結膜炎の鑑別には, 虹彩の運動に伴い疼痛が出るかどうかを意識する.
直接羞明, 間接羞明, 輻輳に伴う疼痛は評価のポイントとなる.
結膜炎において, 細菌性かどうかを評価するには,
朝起床時に眼脂で眼瞼がくっついているかどうかの病歴
所見では瞼板血管の消失, 離れていてもわかるほどの発赤がポイントとなる.
Systemic Reviewにおいて, どのような兆候が危険なサインかを評価したStudy
(Steven McGeeが関わっているstudy) (The American Journal of Medicine (2015) 128, 1220-1224 )
(Steven McGeeが関わっているstudy) (The American Journal of Medicine (2015) 128, 1220-1224 )
・5 trials, N=957例を解析.
・重大な疾患は4-59%で認められた(平均 27%), もっとも多いものは前部ぶどう膜炎と角膜疾患
Red eye患者において, 重大な疾患を示唆する所見
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感度
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特異度
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LR+
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LR-
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直接 羞明
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54-77%
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80-98%
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8.3[2.7-25.9]
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0.4[0.3-0.5]
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関節 羞明
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44%
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98%
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28.8[1.8-459]
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0.6[0.4-0.7]
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指鼻輻輳試験
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74%
|
97%
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21.4[12-38.2]
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0.3[0.1-0.6]
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瞳孔不同(>1mm)
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19%
|
97%
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6.5[2.6-16.3]
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0.8[0.8-0.9]
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・直接羞明: 患側眼に光をいれると疼痛が生じる所見
・関節羞明: 健側眼に光をいれると患側に疼痛が生じる所見
・指鼻輻輳試験: 患者の腕, 指を伸ばした状態で指先を見つめてもらい, そのままその指を患者の鼻までゆっくりと移動させながら指先を目で追ってもらい, 輻輳をさせる. その際に疼痛が生じれば陽性と判断する.
これらは虹彩の運動(縮瞳)に伴う疼痛を評価していることになる.
結膜炎患者における, 細菌感染を評価するポイント
・病歴/症状より
・関節羞明: 健側眼に光をいれると患側に疼痛が生じる所見
・指鼻輻輳試験: 患者の腕, 指を伸ばした状態で指先を見つめてもらい, そのままその指を患者の鼻までゆっくりと移動させながら指先を目で追ってもらい, 輻輳をさせる. その際に疼痛が生じれば陽性と判断する.
これらは虹彩の運動(縮瞳)に伴う疼痛を評価していることになる.
結膜炎患者における, 細菌感染を評価するポイント
・病歴/症状より
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感度
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特異度
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LR+
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LR-
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冬季/春季 vs 夏季
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78%
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59%
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1.9[1.1-3.2]
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0.4[0.1-0.9]
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結膜炎既往
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9%
|
79%
|
0.4[0.2-1]
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1.2[1.1-1.3]
|
女性例
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63%
|
43%
|
1.1[0.9-1.4]
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0.9[0.6-1.3]
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症状
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|
|
|
|
搔痒感
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33-58%
|
37-70%
|
0.9[0.7-1.2]
|
1[0.8-1.4]
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焼けるような感じ
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11-65%
|
43-74%
|
0.9[0.4-2]
|
1[0.7-1.5]
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分泌物(水様)
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39%
|
70%
|
1.3[0.6-3]
|
0.9[0.6-1.4]
|
分泌物(膿性)
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28%
|
67%
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0.8[0.3-2.1]
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1.1[0.7-1.6]
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朝目やにで瞼が
くっつく所見 |
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なし
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9%
|
73%
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0.3[0.1-0.8]
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-
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1眼のみ
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53%
|
-
|
0.9[0.6-1.1]
|
-
|
2眼とも
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39%
|
89%
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3.6[1.9-6.5]
|
-
|
・所見より
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感度
|
特異度
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LR+
|
LR-
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結膜の発赤部位
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周囲のみ
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28%
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58%
|
0.7[0.4-1.1]
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1.2[1-1.5]
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6m離れてもわかる発赤
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94%
|
36%
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1.5[1.1-1.9]
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0.2[0-0.8]
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瞼板血管を覆うほどの発赤*
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33%
|
93%
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4.6[1.2-17.1]
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0.7[0.5-1]
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分泌物
|
|
|
|
|
なし
|
12-28%
|
41-56%
|
0.4[0.2-0.8]
|
-
|
水様
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6-12%
|
-
|
0.4[0.2-1.2]
|
-
|
粘性
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6-44%
|
-
|
1.8[0.9-3.8]
|
-
|
膿性
|
32-50%
|
85-94%
|
3.9[1.7-9.1]
|
-
|
濾胞性結膜炎所見**
|
50%
|
48%
|
1.0[0.5-1.7]
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1.0[0.6-1.9]
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乳頭結膜炎所見†
|
24%
|
95%
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4.4[0.8-25.5]
|
0.8[0.6-1.1]
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耳介前部リンパ節腫大
|
6-16%
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70-88%
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0.6[0.1-4]
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1.1[0.8-1.6]
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所見複合スコア§
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+4以上
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39%
|
94%
|
6.6[3-14.6]
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-
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+1~+3
|
46%
|
-
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0.8[0.6-1.1]
|
-
|
-3~0点
|
16%
|
62%
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0.4[0.2-0.8]
|
-
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*上下眼瞼の裏側に認める血管が覆われ, 判別ができなくなるほどの発赤所見
**濾胞性結膜炎: 結膜に白色の1-2mm程度の無血管性の隆起病変が認められる.
ウイルス性, クラミジア性結膜炎を示唆する所見とされる
†乳頭結膜炎: 小さな赤色の隆起が認められる. 結膜がビロード状, 敷石状に認められる.
細菌性, アレルギー性結膜炎を示唆する所見とされる.
§所見複合スコア
**濾胞性結膜炎: 結膜に白色の1-2mm程度の無血管性の隆起病変が認められる.
ウイルス性, クラミジア性結膜炎を示唆する所見とされる
†乳頭結膜炎: 小さな赤色の隆起が認められる. 結膜がビロード状, 敷石状に認められる.
細菌性, アレルギー性結膜炎を示唆する所見とされる.
§所見複合スコア
早朝に両目とも眼脂で付着 +5pt
早朝に片目のみ眼脂で付着 +2pt
搔痒感 -1pt
結膜炎の既往 -2pt
---------------早朝に片目のみ眼脂で付着 +2pt
搔痒感 -1pt
結膜炎の既往 -2pt
重大な疾患と結膜炎の鑑別には, 虹彩の運動に伴い疼痛が出るかどうかを意識する.
直接羞明, 間接羞明, 輻輳に伴う疼痛は評価のポイントとなる.
結膜炎において, 細菌性かどうかを評価するには,
朝起床時に眼脂で眼瞼がくっついているかどうかの病歴
所見では瞼板血管の消失, 離れていてもわかるほどの発赤がポイントとなる.