緊張性気胸.
・とても致命的で, すぐに対処が必要な疾患として,
ACLSの心停止の原因疾患として, 非常に有名な疾患.
・緊張性気胸ならば胸部XPをとる前に刺すべし!
XPなんて撮っていたらダメだ! と言われたりすることもある疾患
(バイタルが大丈夫ならばXP撮ってもいいのです. あくまでも心停止とか, ショックで今にも死にそうな場合のみです.)
・ただし, 実際のところあまり多くないのも事実.
緊張性気胸の場合, 陽圧換気中の緊張性気胸と, 補助呼吸がない状態での緊張性気胸で分けて考えたほうが良い.
・とても致命的で, すぐに対処が必要な疾患として,
ACLSの心停止の原因疾患として, 非常に有名な疾患.
・緊張性気胸ならば胸部XPをとる前に刺すべし!
XPなんて撮っていたらダメだ! と言われたりすることもある疾患
(バイタルが大丈夫ならばXP撮ってもいいのです. あくまでも心停止とか, ショックで今にも死にそうな場合のみです.)
・ただし, 実際のところあまり多くないのも事実.
緊張性気胸の場合, 陽圧換気中の緊張性気胸と, 補助呼吸がない状態での緊張性気胸で分けて考えたほうが良い.
(Ann Surg 2015;261:1068–1078)
自発呼吸時の緊張性気胸では, リーク部に一方弁が形成され, 胸膜腔内に空気が貯留する.
・吸気時にリークし, 呼気時には弁が閉じる
・非陽圧換気, 自発呼吸患者での緊張性気胸は, まず気胸に伴う低酸素が先行し, その後循環不全へ進行する
・代償機能も働きやすい(呼吸数増加, VT増加, 健側胸郭可動域の拡大)
陽圧換気では, 常にリークし続けるため, 進行も早い
・呼吸器管理中の緊張性気胸は, 急速に循環不全, 呼吸不全へ進展する
・鎮静により呼吸数やVT増加の代償は働かず, 急速進行のため, 健側の胸郭可動域の拡大による代償も働かない.
・吸気時にリークし, 呼気時には弁が閉じる
・非陽圧換気, 自発呼吸患者での緊張性気胸は, まず気胸に伴う低酸素が先行し, その後循環不全へ進行する
・代償機能も働きやすい(呼吸数増加, VT増加, 健側胸郭可動域の拡大)
陽圧換気では, 常にリークし続けるため, 進行も早い
・呼吸器管理中の緊張性気胸は, 急速に循環不全, 呼吸不全へ進展する
・鎮静により呼吸数やVT増加の代償は働かず, 急速進行のため, 健側の胸郭可動域の拡大による代償も働かない.
(Ann Surg 2015;261:1068–1078) より,
緊張性気胸の症例報告, 症例シリーズ 156文献より, 183症例の臨床症状/所見を解析.
・人工呼吸器(補助呼吸)中の患者群と, 補助呼吸(-)に分類して評価している.
・47%(86例)が補助呼吸なし, 53%(97例)が呼吸器管理中の気胸.
・両側性は補助呼吸(-)で2.3%, 補助呼吸(+)群で24.4%
緊張性気胸の原因
緊張性気胸の症例報告, 症例シリーズ 156文献より, 183症例の臨床症状/所見を解析.
・人工呼吸器(補助呼吸)中の患者群と, 補助呼吸(-)に分類して評価している.
・47%(86例)が補助呼吸なし, 53%(97例)が呼吸器管理中の気胸.
・両側性は補助呼吸(-)で2.3%, 補助呼吸(+)群で24.4%
緊張性気胸の原因
|
補助呼吸 (-) |
補助呼吸 (+) |
|
補助呼吸 (-) |
補助呼吸 (+) |
外傷 |
19.8% |
14.4% |
原発性気胸 |
16.3% |
0 |
Barotrauma |
3.5% |
51.6% |
続発性気胸 |
24.4% |
3.1% |
CVC挿入 |
2.3% |
16.5% |
COPD |
5.8% |
2.1% |
CVC意外による穿刺 |
5.8% |
2.1% |
喘息 |
2.3% |
0 |
NG, 気切チューブ挿入時の合併症 |
4.7% |
3.1% |
包虫嚢胞破裂 |
9.3% |
0 |
心肺蘇生時 |
0 |
1.0% |
その他 |
7.0% |
1.0% |
胸腔ドレーンの合併症 |
7.0% |
8.2% |
消化管穿孔 |
10.5% |
2.1% |
部位の異常, チューブが小さい |
0 |
7.2% |
上部消化管穿孔 |
8.1% |
2.1% |
キンク, 閉塞 |
1.2% |
1.0% |
CFによる大腸穿孔 |
2.3% |
|
|
|
|
不明 |
10.5% |
7.2% |
症状/呼吸症状, 酸素状態
臨床症状/所見 |
補助呼吸 (-) |
補助呼吸 (+) |
胸痛 |
52.3% |
0 |
呼吸苦 |
38.4% |
0 |
息切れ |
31.4% |
0 |
呼吸困難 |
41.9% |
8.3% |
呼吸数≥20/分 |
46.5% |
NA |
呼吸数≤12/分 |
1.2% |
NA |
SpO2<92%, PO2<60mmHg(RA) |
10.5% |
5.2% |
O2投与必要 |
39.5% |
86.6% |
P/F 中央値 |
75.8[53-215.6] |
67.5[44-127.8] |
P/F <300 |
77.4% |
96.4% |
P/F 200-300 |
4.2% |
3.6% |
P/F 100-200 |
20.8% |
32.1% |
P/F <100 |
75.0% |
60.7% |
呼吸停止 |
9.3% |
NA |
頸部/胸部の診察所見
頸部/胸部の診察所見 |
補助呼吸 (-) |
補助呼吸 (+) |
JVD |
4.7% |
9.3% |
反対側への気管偏倚 |
17.9% |
2.9% |
皮下気腫 |
10.5% |
30.9 |
患側の胸部所見 |
|
|
胸郭の低膨張 |
3.5% |
1.0% |
胸郭の過膨張 |
2.3% |
2.1% |
胸郭可動域の低下 |
7.0% |
12.4% |
胸郭可動域の増加 |
0 |
0 |
打診にて反響音の増大 |
26.7% |
8.3% |
聴診にて呼吸音の減弱 |
58.1% |
45.4% |
健側の胸部所見 |
|
|
胸郭の低膨張 |
0 |
0 |
胸郭の過膨張 |
0 |
0 |
胸郭可動域の低下 |
0 |
1.5% |
胸郭可動域の増加 |
0 |
0 |
打診にて反響音の増大 |
0 |
1.5% |
聴診にて呼吸音の減弱 |
9.5% |
8.8% |
循環所見
循環所見 |
補助呼吸 (-) |
補助呼吸 (+) |
心拍数 中央値 |
116[98-130] |
110[90-136] |
心拍数 ≥100bpm |
43.0% |
30.9% |
心拍数 ≤60bpm |
5.8% |
8.3% |
低血圧(MAP≤60mmHg) |
16.3% |
66.0% |
心停止 |
2.3% |
28.9% |
初期波形VF |
NA |
8.3% |
初期波形PEA |
NA |
75.0% |
初期波形Asystole |
NA |
16.7% |
血圧, 発症形式
補助呼吸中の患者の緊張性気胸はより急速発症が多く, 低血圧も多い.
症状/所見頻度のまとめ
当たり前の話ですけども,
補助換気がない患者の緊張性気胸は比較的緩徐に発症することもあるし, いろいろ代償反応, 症状があるので分かりやすい.
一方で陽圧換気中の気胸では, 緊張性気胸となり, 突如発症の低酸素と心停止と至ることがあるので注意しましょう.
挿管患者の急変では必ず肺エコー必須、ということで.