2010-2012年のインフルエンザ流行シーズン(2期分)において, 成人(≥18歳)の気道感染症疑い患者の咽頭スワブ, 鼻咽頭スワブを採取し, RT-PCR and/or 培養を施行しインフルエンザ陽性例を評価.
(Medicine 94(44):e1952)
・上記でインフルエンザ陽性群と陰性群において, 症状/所見を比較
・患者は158例で, 陽性群が71(45%)
アウトカム:
・基礎疾患(HT, DM, 喘息)の有無は両者で有意差なし
ワクチン接種歴もOR 0.51[0.22-1.19]と有意差はない
・症状で有意にインフルエンザで多いものは,
発熱(OR 5.43[2.19-14.83]),
咳嗽(OR 16.72[4.37-110.73]),
くしゃみ(OR 2.69[1.25-5.94])の3項目であった.
各所見/迅速検査のインフルエンザに対する感度/特異度
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感度(%)
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特異度(%)
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LR+
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LR-
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発熱
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88[79-95]
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34[25-45]
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1.35[1.14-1.61]
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0.33[0.16-0.67]
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咳嗽
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97[90-100]
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28[19-38]
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1.34[1.17-1.54]
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0.10[0.02-0.42]
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鼻汁
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76[64-85]
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45[34-56]
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1.38[1.10-1.74]
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0.53[0.33-0.86]
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鼻閉
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66[54-77]
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59[48-69]
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1.60[1.18-2.16]
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0.58[0.40-0.84]
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くしゃみ
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58[45-69]
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69[58-78]
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1.86[1.28-2.70]
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0.61[0.45-0.83]
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発熱 + 咳嗽
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86[76-93]
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58[46-68]
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2.02[1.55-7.29]
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0.25[0.13-0.45]
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発熱 + 咳嗽
+ くしゃみ |
50[39-63]
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87[79-94]
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4.01[2.21-7.29]
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0.56[0.44-0.72]
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発熱 + 咳嗽
+ 咽頭痛 |
69[57-79]
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69[58-78]
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2.22[1.57-3.16]
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0.45[0.31-0.65]
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発熱 + 咳嗽
+ 咽頭痛 + 疼痛 |
54[57-65]
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75[64-83]
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2.12[1.39-3.23]
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0.62[0.47-0.82]
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迅速検査
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75[62-86]
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80[66-90]
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3.77[2.12-6.70]
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0.31[0.18-0.50]
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アジアにおける, 前向きのそしてRSがRT-PCR, 培養としているStudyであり, なかなかこのようなStudyはない.
そしてそのStudyにおいて,
インフルエンザ流行シーズンに気道症状で受診した成人例において,
もっともインフルエンザ感染を示唆する情報は, 発熱+咳嗽+くしゃみ である. という結論
そして, それは迅速検査陽性と同等かそれ以上の価値がある.
またインフルエンザを否定する情報でもっとも有用なのは咳嗽がないこと.
迅速検査陰性のLR-は 0.3程度のみ.
やはり流行してくれば検査なぞ行わなくても, インフルエンザとして扱うべきなのでしょう.
その辺ももうちょっと周りの患者、家族、そして医師達が理解していただけるとよいのですけども.