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2015年11月14日土曜日

Kleine-Levin Syndrome: 反復性過眠症

Kleine-Levin Syndrome: 反復性過眠症
(Lancet Neurol 2012; 11: 918–28)(Neurology® 2015;85:1655–1662)


学童期に多い過眠と認知障害, 精神症状を特徴とする病態
100万人に1.5-2例程度と非常に稀な疾患.
・男児で多く 68-87%をしめる.
・好発年齢は学童期であるが, 症例報告では9歳以上での発症や35歳以上での発症症例もある
・家族内発症リスクは低い(第一親等で1%)が, KLS症例の5%で家族内の発症が認められる.
・出産時の低酸素や長期間の出産が発症に関与する報告もある
・原因は不明. 発作期には中枢の低還流/代謝低下が認められる
 脳卒中や炎症性疾患などによる二次性もある.

症状は過眠と認知障害, 精神症状など.
・寛解, 増悪する重度の過眠と, 認知障害, 無為, 現実喪失感, 精神行動障害(過食や性欲亢進)を伴う.
・寛解期には特に症状は認められない.
 再燃の周期は1-12ヶ月毎で, 14年程度持続する (30-35歳には改善することが多い)
・発作時は数時間から数日で急速に症状が完成する
・発作の持続期間の中央値は10日間. 数日~数週持続し急に改善を認める.
・片頭痛様の症状(頭痛, 羞明, 聴覚過敏)や自律神経症状(顔面紅潮, 頻尿, 頻脈, 血圧変動)といった症状も認められる

KLSは感染症症状後に発症することが多い(特に初発時)
・感冒症状や脳炎様症状に引き続き, KLSが生じることが多い(72-96%)
・他にはアルコール摂取や睡眠不足が発作の誘因となりえる.
・発作も感染症状が先行する例がある.

KLSの診断クライテリア
再発性過眠症のクライテリア
・再発性の重度の過眠が2日以上~4週間持続する
・過眠エピソードが年1回以上ある
・認知機能障害, 行動障害, 過眠が他の原因で説明ができない.

Kleine-Levin syndromeのクライテリア
・再発性過眠症を満たし, 以下の4つのうち1つ以上を満たす
  認知機能障害(現実喪失感, 混迷, 幻覚)
  異常行動(イライラ, 焦燥感, 人が変わったような行動)
  過食
  性欲亢進

原発性KLSと二次性KLSの違い
・二次性では, 脳卒中, 炎症疾患などによる二次性KLSがある.
・二次性ではより年齢が高く, 発作期間も長いことが異なる.
・原発性KLSでは, CSF所見や画像検査では問題を認めない. 
 脳波検査では発作時に7割で異常所見が認められる
(Brain (2005), 128, 2763–2776)

原発性KLSにおける鑑別診断
月経関連過眠症(menstruation-related hypersomnia)
・月経の前, 月経中に過眠となる状態
 稀であり, 世界でも18例程度しか報告がない
・過眠の他に衝動的な摂食, 性的な脱抑制, 抑うつ症状を認める
・発作は3-15日持続し, 年間3回未満であることが多い
・KLSのValiantとする報告もある.

神経疾患など: 学童期に性格変化や急性の認知機能障害を生じる疾患を考慮
・アルコールや違法薬剤 >> 病歴
・脳腫瘍, 頭部外傷, 炎症性疾患, MS, 脳卒中 >> 頭部MRI
・脳炎 >> 腰椎穿刺
・側頭葉てんかん >> 脳波検査
・代謝性疾患 >> 血糖測定, 腎機能, 肝機能, ビタミン
・内分泌疾患 >> 副腎不全, 甲状腺機能異常症
・精神疾患 >> うつ病, 統合失調症
・その他: ポルフィリア, ライム病

KLSの重症度
・軽症例: 1週間程度の発作が年に2-3回程度
・中等症例: 7-10日間の発作が毎月生じる 
 もしくは年1-2回と少ないが, 発作期間が3-6ヶ月と長い.
 大半の症例が中等症に分類される
 成人例ほど発作の期間が長くなる傾向がある
・重症例: 年間40-80回と多数の短い発作を繰り返すタイプ
 長期間にわたる注意力障害や気分障害を呈する

症例報告のまとめ
108例の評価では, 食欲亢進は66%, 性欲亢進は53%(主に男性),
・抑うつ症状は53%(主に女性)で認められる.
(Ann Neurol. 2008 Apr;63(4):482-93.)

特発性KLS 130例のデータ
・発症時の年齢は15.8歳±3.8, 男性例が63.1%
・発症のトリガーとなったエピソードは
 感染症が38.5%, アルコール摂取が20.8%, 睡眠欠乏が16.2%
(Neurology® 2015;85:1655–1662)

KLS 186例のLiterature review ・そのうち特発性KLSが168例. 男性例が68%
 発症年齢は15歳[4-82], 発作期間は10日間, 発作間欠期は3.5ヶ月
発症年齢の分布
発作の持続期間と寛解期の期間

・発作の誘因は感染症(38.2%), 頭部外傷(9%), アルコール摂取(5.4%)であった.

初発時の誘因として感染症, アルコール, 頭部外傷があり, 
 繰り返す発作時の前駆症状としては感冒症状が一部である

KLSの症状頻度
症状
頻度
症状
頻度
過眠
100%
摂食障害
80%
認知機能障害
96%
過食
78%
発語異常
60%
甘味の渇望
12%
混迷
51%
飲水増加
8%
健忘症
48%
無茶食い
6%
現実喪失感
24%
食欲低下
5%
幻覚
14%
食物利用障害
4%
妄想
16%


抑うつ症状
48%
性欲亢進
43%
イライラ
92%
, 書く, 歩くなどへの衝動
29%
(Brain (2005), 128, 2763–2776)

KLSの治療
・発作期にはStimulantや抗精神病薬, 抗不安薬が使用される
・発作が頻回の患者では, 予防治療として抗てんかん薬や炭酸リチウムが使用される.
 186例のLiterature reviewでは, 29例に炭酸リチウムが使用され41%で発作頻度が減少した.
 バルプロ酸やカルバマゼピンはリチウムと比べると効果は弱い
(Neurology® 2015;85:1655–1662)

特発性KLS 71例において, 炭酸リチウムを使用し, 使用前後の発作頻度を評価. また, リチウム以外で治療された群も同様に評価

治療薬一覧 (Lancet Neurol 2012; 11: 918–28 )

KLS治療のまとめ


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