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2017年12月18日月曜日

発熱に対するアセトアミノフェン静注は血圧を低下させる可能性がある

アセトアミノフェンは静注製剤がでてきて, 使い勝手がある程度よくなったようだ.
特に静注では血中濃度ピークまで15分程度(経口では2時間)であり,
救急やICU, 一般病棟における解熱剤として使用されることがある.

しかしながら, 解熱剤として静注を使用する際は血圧低下に注意すべきであるとの警鐘もある

発熱に対するアセトアミノフェン静注は皮膚血流を増加させ, 血圧を下げる
(Australian Critical Care (2010) 23, 208—214 )
・ICU患者29例で発熱に対してアセトアミノフェン静注を使用し, 前向きに評価した報告
・また30例の健常ボランティアにも同様に1g静注して評価

・健常コントロールと比較して, 
 発熱患者ではアセトアミノフェン静注投与後は皮膚血流が増加し, 血圧が低下する

・体温も低下はするが, 大きくは変わりない

この結果を踏まえてERに受診した発熱患者で評価した報告
2015-2016年にERで診断されたインフルエンザA型感染症症例で, ERで解熱目的にアセトアミノフェン静注を行われた患者群を後ろ向きに解析
(American Journal of Emergency Medicine 36 (2018) 1–4 )
・韓国における報告. 使用薬剤はProparacetamol(プロドラッグ).
 血圧正常で発熱を認め, 検査でインフルエンザAと判断された患者を対象.
 18歳以上, BP≥120/80, BT≥38度を満たす群
・薬剤はProparacetamol 1-2g(アセトアミノフェン500-1000mgに値)NSもしくは5%TZ 100mlに溶解して30分で投与

投与もしくはオーダー後90分以内の血圧低下(sBP<90, dBP<60, もしくは基礎値より30mmHg以上の低下)リスクを評価した.
101例中, 30(29.7%)で血圧低下を認めた.
 6例が補液負荷を必要とした.
・血圧低下群と非低下群における各バイタルサインの変化
・アセトアミノフェン静注ではBP,HR双方低下する傾向がある.
 解熱は0.5-1度程度.

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個人的には解熱作用目的でアセトアミノフェン静注を使用することはまずありませんが, 使用している人は見たことはあります.
使用するならばそれによる血圧低下のリスクは理解しておき, フォローしないとダメでしょう.
使いっぱはダメよーダメダメ(古い)

2017年12月16日土曜日

カフェイン中毒・依存・離脱症

コーヒーやお茶, ソフトドリンク, エナジードリンクと様々な飲料にカフェインが含まれる.
感冒薬にも含まれ, しばしば中毒症の原因となる.
(Typical servingsで, コーヒーが480mlってのは流石に米国という感じ)
(Journal of Analytical Toxicology, 2017;41:167–172)
*ちなみに眠眠打破は120mg, 強強打破は150mg

・カフェインの致死量は5-10g, もしくは150-200mg/kg
(Journal of the Intensive Care Society 2017, Vol. 18(4) 354)

カフェインは摂取されると胃や象徴で速やかに吸収
血中濃度ピークまでの時間は30-90分程度
Bioavailabilityはほぼ100%
・カフェインはほぼ代謝されカフェインのまま尿中排泄されるのは~3%程度のみ
・吸収後はVolume of distribution 0.6-0.7L/kgで分布し半減期は3-7時間. 乳幼児ではさらに長い.
代謝は肝臓のCYP1A2が関与し, paraxanthine, theobromine, theophyllineに代謝される
・またカフェインは容易にBBBを通過し, Adenosine受容体に作用
(Journal of Analytical Toxicology, 2017;41:167–172)

カフェインは精神に作用する物質で最も広く使用されている.
・20-200mg程度の摂取では軽度の陽性症状(気分が良くなる, エネルギーが満たされるような感覚)を生じる.
・200-800mgの大量摂取では陰性症状が出現(不安症状など)
 特に普段からカフェイン摂取しない患者で生じやすい.
(JAMA. 1994;272:1043-1048)

カフェイン中毒
カフェインの作用は3:
 中枢のアデノシン受容体阻害作用
 Phosphodiesterase阻害によるcAMP上昇
 細胞内Ca濃度の上昇
この3つの作用により様々な症状を呈する:
  悪心嘔吐, 下痢, 高血圧, 低血圧, 頻脈, 不整脈
  不眠, 興奮, せん妄, 幻覚, 精神症状, 筋線維束性攣縮, 痙攣
  横紋筋融解症, K血症, 代謝性アシドーシス, 高血糖, WBC上昇
・死亡例は主に不整脈が関連している
・カフェイン中毒の診断は250mgを超えるのカフェインを摂取後
 restlessness, nervousness, 不眠, 消化管症状, 頻脈の5つ以上の症状を認めることで定義される.
(Curr Addict Rep. 2014 September ; 1(3): 186–192)(Forensic Sci Med Pathol (2017) 13:355–358)

血中濃度は<10mg/Lならば特に問題はないが>80mg/Lでは死亡リスクがある.
報告では<40mg/Lでも死亡例報告あり.
中毒症状は15mg/Lで出現し得る.
(Eur J Pediatr (2015) 174:1671–1678)

東京で2008-2013年に剖検され, 中毒の精査をされた4754例のうち, カフェイン中毒(>15µg/mL)22例であった
・20-49歳が14(63.6%)と最多.
精神疾患の既往があった患者は16(72.7%)
・20/22が死亡原因にカフェイン中毒とされていた
(Nihon Arukoru Yakubutsu Igakkai Zasshi. 2014 Oct;49(5):270-7.)

カフェイン依存症・離脱症
カフェインで最も問題となりやすいのが離脱症

自己申告におけるカフェイン依存症症例の解析
(JAMA. 1994;272:1043-1048) 
・患者は18-50歳で, 最低でも高校卒業程度の学力があり血圧正常, 心拍数正常, 心電図異常なし, カフェイン摂取の禁忌がない(不整脈など)患者, 違法薬剤使用していない患者, 非妊婦患者を対象.
上記を満たす16例の平均年齢は38.
カフェイン摂取量は357mg/d(129-2548)
依存基準のうち平均3.4項目を満たした
 (Tolelance 75%, 離脱症状 94%, 減量必要性の自覚, 減量失敗 81%, 依存や使用による不利益を知りながら長期間使用 94%)

これらを満たす11例で, 二重盲検化した状態でカフェインwithdrawalを施行.
・9(82%)で離脱症状(+)
 頭痛を強く訴えたのが7
 倦怠感や抑うつ症状, 無気力感を強く訴えたのが7
 鎮痛薬を強く欲したのが5
 日常生活の障害を自覚したのが8例であった.
上記以外にインフルエンザ様症状集中ができない, などの症状も認められる.

カフェイン中毒と診断され, 治療目的に受診した94例の解析
(Psychol Addict Behav. 2012 December ; 26(4): 948–954.)
・平均年齢41, 女性55%
 カフェイン摂取量は平均548mg/d(120-2667)
 カフェイン摂取減量の試行回数は平均2.7
・摂取方法はコーヒーが50%, ソフトドリンクが37%
依存の診断基準は,
 離脱症状が96%, 減量の必要性の自覚, 原料失敗が89%, 
 依存や使用による不利益を知りながら長期間使用 87%

カフェイン離脱症状の頻度
・多い症状は頭痛, 集中力の低下, 倦怠感, イライラなど

カフェインの離脱症状のReviewより(Psychopharmacology (2004) 176: 1–29)
頭痛: 離脱症状では最も多い. 47%[9-100]で認められる
 中等度~重度の頭痛が50%
 カフェイン使用者の報告では, 頭痛は24%[8-56]
 カフェイン中止後早期に生じ, 再摂取で改善する
・疲労感/倦怠感: 頻度は27%程度(21-56%)
活動性の低下: 頻度は36%程度
・注意力の低下: 頻度は27-50%
・嗜眠/傾眠: 頻度は45%・満足感, 幸福感の低下: 頻度は18-64%程度
 これら症状は早期に出現し, 再摂取で速やかに改善.・社交性の低下: 頻度は9-79%と幅がある
・インフルエンザ様症状: 頻度は31%
・気分障害, 低下: 頻度は16%[11-36]

他には,
集中力の低下
イライラ感
モチベーションの低下
頭がすっきりしない
あくび
自信の低下
狼狽 
悪心嘔吐
筋肉痛/こわばり
不安
手足が重い
ふらつき
複視などなど 様々認められる.

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コーヒー、お茶、エナジードリンク使用歴はもう少ししっかりと, 詳しく聞かないといけないなぁと自戒