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2019年8月19日月曜日

副腎偶発腫瘍の自然予後

副腎の偶発腫瘍(Incidentaloma)では非機能腺腫(NFAT)や潜在性のコルチゾール分泌(Adenomas causing mild autonomous cortisol excess: MACE)が脂肪腫以外には多い.

これらは基本的にフォローとなり,
顕性化した場合や悪性化した場合は治療が必要となる.

これら腫瘍の自然経過をフォローしたMeta.

(Ann Intern Med. 2019;171:107-116. doi:10.7326/M18-3630)
非機能腺腫(NFATs)Adenomas causing mild autonomous cortisol excess(MACE)12ヶ月以上フォローした報告のMeta
・腫瘍の大きさやホルモン分泌の変化を評価した
32 studies, 前向きの評価が15, 後ろ向きが17
 N=4121例を評価(NFAT 2873, MACE 784, 464例がNFAT or MACE)
 女性例が61.5%, 平均年齢60.2
 平均フォローアップ期間は50.2ヶ月

腫瘍サイズの変化, 悪性腫瘍への転化
・平均41.9ヶ月のフォローにおいて, 腫瘍サイズが増大したのは6.3%
 10mm以上増大したのは2.5%のみ.
 MACEの方が増大しやすく(2.4%), NFATは少ない(1.2%)
・24ヶ月未満のフォローでは, 10mm以上増大するのは0.9%のみ
 24ヶ月以上のフォローでは2.9%, フォローする期間も重要
・さらに, 初期のサイズが≥25mmの場合<25mm群と比較して, 増大は軽度である傾向.

悪性腫瘍への転化は, 26 studies, N=2854において認められなかった(平均フォロー49.3ヶ月)

ホルモン産生の変化
・NFAT, MACEにおいて, 顕性のホルモン産生腫瘍に変化する例はほぼ認められない結果(2745例中, 9例のみ)
 内訳はCushing症候群が6, 褐色細胞腫が3アルドステロン症は無し
 Cushing症候群となった6例中, NFAT5, MACE1
・NFATからMACEとなったのは50.3ヶ月のフォローで4.3%[3.4-5.3]
 MACEからNFATとなったのは少なく, 18/840(49.8ヶ月)

心血管系合併症リスクもある
・フォロー中にHTや肥満, 脂質代謝異常, 耐糖能障害を発症する例もあり, フォロー時には注意が必要
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副腎偶発腫瘍の非機能腺腫やMACEは自然経過でサイズが増大することは少なく,
またホルモン分泌が顕在化することも基本的には少ない.

心血管系合併症、糖尿病、高脂血症などの新規発症例はそれなりにおり, 定期的にこれらをフォローすること, 患者教育は重要と考えられる.

2019年8月14日水曜日

薬剤性の運動障害

(Lancet Neurol 2019; 18: 880–90)
Recent developments in drug-induced movement disorders: a mixed picture.

薬剤性運動障害のReviewがでていました.
よくまとまっていて, とても勉強になりましたので, 極さらっとですが, 要点を.

薬剤性の運動障害は主にDopamine受容体阻害薬で生じる.
抗精神病薬や制吐薬が原因となることが多い
・抗精神病薬は第一世代で多く, 第二世代以降(非定型薬)ではリスクは低い

Dopamine受容体阻害薬による運動障害のタイプ
・主に
 遅発性症候群, 
 亜急性・慢性, 可逆性障害: 薬剤性パーキンソニズム, アカシジア
 急性, 可逆性障害: 急性ジストニア, NMS に分類される.

薬剤性運動障害の薬剤別の頻度・リスク
・12薬剤をReviewし, 頻度を評価した報告
(The Canadian Journal of Psychiatry / La Revue Canadienne de Psychiatrie 2018, Vol. 63(11) 730-739 )


症状別
・ハロペリドール, スルピリド, クロルプロマジンは薬剤性運動障害リスクが高い.
 ハロペリドールを常用する人はまずいないと思われるが,
 スルピリドやクロルプロマジンは未だに常用している患者はいる.
 注意すべき薬剤と認識.

Tardive Syndrome(遅発性症候群)
(Neurology 2013;81:463–469)(Lancet Neurol 2019; 18: 880–90)
抗精神病薬による不随意運動を呈する病態.
以下を満たす;
・総期間3ヶ月以上のNeurolepticの使用歴がある(継続使用, 断続使用は問わない)
・中等度以上の不随意運動が体の1箇所以上もしくは軽度な不随意運動が体の2箇所以上で認められる.
他に不随意運動を呈する疾患が除外される.

統合失調症で外来フォローされている患者の30%TSあり.
・2000-2015年に抗精神病薬を処方された11493例のうち, 21-30%TSが認められている.
 第二世代のみで治療されている群では7%程度.
・年間発症率は第一世代群では6.5%[5.3-7.8], 第二世代群では2.6%[2.0-3.1]

発症のタイミングは薬剤投与中~中止後6ヶ月以内
・中止後も発症し得る
 中止によるWithdrawal dyskinesiaとの鑑別点はTSは長期間持続する点(1ヶ月以上)
・また, 様々な運動障害パターンを合併し得る(Panel 1参照)
 Orofacial dyskinesiaStereotypiesは最も多いパターン
 Orobuccolingual movementはしばしば複雑で, 噛む様な運動, Jaw deviation, jaw opening, closing puckering, lip smacking, 異常な舌運動などを生じる嚥下や食事摂取の問題となる.
 Tardive dystoniaはやや少ないが, より障害が強い若年(30歳程度)に多い(Tardive dyskinesiaは高齢女性に多い異常な姿勢が持続し, 全身や局所のスパスムを生じる. 頸部の後屈, 後弓反射様の姿勢, 上肢の進展, 肩の内旋, 手関節の屈曲など

TSの治療: Vesicular monoamine transporter 2 阻害薬
・VMAT2阻害薬は2017年にUSAで使用可能となった薬剤.
 Velbenazine, Deutetrabenazineがある
VMAT2Monoamine, dopamine, NA, serotoninのリサイクルに関わる主要なタンパク
 Tetrabenazine(コレアジン®)は古いVMAT2阻害薬であり, 使用可能な地域が多いが, TDSに対してはClass Cエビデンス
VelbenazinePhase 3 studyまであり(KINECT3), DeutetrabenazinePhase 2 study(ARM-TD)があり, AIMS(Abnormal Involuntary Movement Scale)の低下効果が示されている.

他の薬剤
Acetazolamide; Class IIIstudyAcetazolamideThiamineの併用にて症状が軽減したとの報告があり. Acetazolamide>73yでは1.5g/d, 若年では2g/dの投与量Thiamine1.5g/dの投与量
Amantadine; Class II studyDyskinesiaの軽減効果が認められている300mg/dの投与をNeuroleptic開始時に7wk併用する方法が良い.(短期間の使用とすべき)
抗精神病薬の追加でDyskinesiaを軽減し得るが原因薬剤であり, maskしているのみとの考えも強く,  基本的に推奨されない.


TDへの対応アルゴリズム

薬剤性Parkinsonism
薬剤性の行動障害では頻度も高く, ADLへの影響も大きい
主にDopamine受容体阻害薬により生じる
頻度は8-12%, 2.5-3.3/10-y. 女性·高齢者で多い.
第二世代の抗精神病薬が出現してからは頻度は低下(1976年から2005年にかけて68%低下している)
・12種類の抗精神病薬におけるPakinsonismの評価を行なった報告では最も少ないものがAsenapine2%, 最も多いものはSulipride29%
(The Canadian Journal of Psychiatry / La Revue Canadienne de Psychiatrie 2018, Vol. 63(11) 730-739)

・他の薬剤も原因となる
(J Clin Neurol 2012;8:15-21)

薬剤性Parkinsonismは数日~数カ月の亜急性経過となる.
・最も多いタイミングは薬剤開始, 増量時だが長期間使用している状況で発症することもある(加齢により薬剤の感受性が増大するためや, 背景にParkinson病があり, 増悪する可能性が示唆)
原因薬剤中止後も数カ月~数年持続する
・薬剤開始後〜発症までの期間の分布(Mov Disord. 2011 Oct;26(12):2226-31.)


臨床的に薬剤性ParkinsonismPDを鑑別するのは難しい
DIPと特発性PDは非常に臨床症状が類似しておりまたDIPは高齢者で多いため, 両者の鑑別は困難なことが多い初期にPDと診断された6.8%DIPであった報告もある.(J Clin Neurol 2012;8:15-21)
・DaT-SPECTは両者の鑑別に有用かも
 薬剤性とPDの鑑別にDaT-SPECTは感度86%[81-90], 特異度94%[70-100]で有用( 2014 Nov;21(11):1369-e90.)


DIPの対応
(J Clin Neurol 2012;8:15-21)
DIPでは原因薬剤の中止が重要.
・原疾患(統合失調症やうつ病)で中断ができない場合は非定型抗精神病薬などのDIPの原因にはなるものの,  比較的リスクが低い薬剤に変更する

薬剤中止後数週~数カ月の経過でDIPは改善するが10-50%は中止後も症状は持続.
・経過により以下のタイプに分類される
 1) 中止後, 完全に改善し, その後も症状の出現がない
 2) 症状は持続するが, 増悪はない
 3) 症状が持続し, 増悪傾向となる
 4) 完全に改善するが, その後再発する
・1)のみが典型的なDIPであり, 他は背景にPDや類縁疾患があり薬剤によりマスクされていた症状が出現した可能性を考慮.



他の運動障害

Acute dystonic reactions

Dopamine受容体阻害薬, 特に第一世代で多い(ハロペリドールで17%, 第二世代では<2%)
また, 制吐薬での発症もある(メトクロプラミド)
・若年男性や小児例で多く, 薬剤使用後急性経過で発症する.
 初回投与でも生じる.
臨床症状はOculogyric-like crisis(注視性クリーゼ), 眼瞼痙攣, 頸部·体幹ジストニア, 口下顎ジストニア, 急性喉頭·咽頭ジストニア
 重症例だと誤嚥や窒息, 呼吸不全のリスクとなる
・抗コリン薬の投与に迅速に反応(Diphenhydramine, Benztropine)
 経静脈投与や筋肉内注射で数分で改善を認める
・効果が切れると再発するため, 再投与が必要な場合もある

Dystonic reactionを呈する薬剤
(BMJ 2007;334: 899-900)


Acute, Subacute akathisia
Akathisiaはしばしば不安感を伴うような, restlessness(落ち着きがない)な感覚で定義される.
・イライラ感や緊張感を伴い, 攻撃的な態度をとることもある.
 Stereotyped movement(常同行動)を伴うこともある
  常同行動: 目的のない行動を繰り返す. 叩いたり, 足踏みしたり, 体を揺すったりするなど.
・薬剤開始後数時間~数日で生じることが多い.
 50%1ヶ月以内に生じている.

Acute akathisiaTardive akathisiaを区別することが重要
・Tardive akathisiaは長期間投与にて生じるakathisia
 薬剤中止後, Acute akathisiaは改善するがTardive akathisiaは増悪する.

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Reviewにいくつか今までのまとめから肉付けしてみましたが、
薬剤性の運動障害の理解にとてもよくまとまっているReviewでした。
復習や知識付けに良いと思います。

2019年8月10日土曜日

甲状腺機能亢進症と貧血, 肝障害

発熱, 嘔吐, 下痢で救急を受診した30歳台の男性.
採血にてAST 100, ALT 80程度の肝障害が認められ, 消化器科へ紹介.
その後検査されたが明らかな原因不明.

で, 他の理由(発熱持続)で内科外来を受診した経過.
診察室入った瞬間に体格(全身性の痩せ + 首周りとのギャップ)でバセドウを疑い,
結果的にそうであったという, まあ普通の症例.


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でこの症例でのClinical Questionとして,
・バセドウ病で肝障害はどの程度あるのか?
・採血でMCV 77, Hb 11g/dL程度の小球性の赤血球, 小球性貧血が認められたが, これもバセドウ病と関係があるか? ちなみにフェリチン 600と低下はない.



Q. 甲状腺中毒症と肝障害

レビュー文献 ( 2015 Oct;26(8):563-71. Thyroid disorders and gastrointestinal and liver dysfunction: A state of the art review.) によると, 甲状腺中毒症の64-70%ALPの上昇が認められAST, ALT37%, 27%で上昇する報告がある.
・これらの上昇する機序は肝臓内の血管周囲領域の組織の相対性低酸素に伴うものとされている
BilGGTの上昇は稀(5%, 17%)
肝炎もきたすが, 基本的にSelf-limiting
 ただし, 劇症肝炎の報告もある
・組織では非特異的な炎症所見のみだが一部の患者でCentrizonal necrosisprivenular fibrosisが認められる
・また, 肝内の胆汁鬱滞像もある

1514例の甲状腺中毒症患者のうち, 肝胆道系酵素上昇を認めたのは39%
(Clin Endocrinol (Oxf). 2017 May ; 86(5): 755–759. doi:10.1111/cen.13312.)
・TSHが検出感度以下(≤0.02mIU/L)811例の評価では45%(AST 13%, ALT 13%, ALP 35%, GGT 2%, T-Bil 9%)
・一方, TSHが検出感度以上の697例では33%(AST 18%, ALP 14%, ALP 22%, GGT 2%, T-Bil 15%) と, TSHの低下が著しい方が頻度は高い.

甲状腺機能亢進症の77例中初期に肝酵素上昇を認めたのは25(32.5%)
(Endocr Pract. 2016;22:974-979)
・バセドウ病59, Toxic nodular goiters 11, toxic adenoma 4, amiodarone-induced thyrotoxicosis 3
・5例はASTALT>2ULNまで上昇していた.

また, この肝酵素上昇はMMI治療開始後は徐々に改善する傾向となる

バセドウ病と無痛性甲状腺炎における肝胆道系酵素の変動を比較すると, 双方とも同様の動態
(Thyroid. 2008 Mar;18(3):283-7.)

・これは抗甲状腺薬による肝障害ではなく甲状腺機能の変化が肝障害に関連していることを示唆する


Q. 甲状腺中毒症と貧血, MCV

甲状腺中毒症 353例の解析では, 貧血の合併は31(8.7%)
(Clin Endocrinol (Oxf). 2018 Jun;88(6):957-962.)
・このうち以前から指摘されている10例と他に原因を認めた11例を除外すると甲状腺中毒症以外の原因が判然としないのは10例のみ(2.8%)
貧血の期間は1ヶ月程度で, MCV77-94正球性〜小球性気味(正球性が8, 小球性2)

バセドウ病 87例の解析では, 貧血合併は31
・他に原因を認めないバセドウ病に伴う貧血とされたのが21(24%)


貧血+群における, 甲状腺機能正常化に伴う各数値の変化
・他の原因があっても, 甲状腺機能が正常化するとMCVHbは上昇し, Ferittinは使用されて低下する.

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まとめると,
・甲状腺中毒症ではAST, ALT, ALP上昇は3割程度で合併する.
 肝炎を呈することもあるし, 稀であるが劇症肝炎となることも.
 甲状腺機能正常化とともに肝酵素も正常化することが多い.
 ちなみにPTUでも薬剤性肝障害は多く, 3割程度で合併.

・甲状腺機能亢進症では貧血は合併し得るが, 頻度は様々. 数%~20数%と幅広い
 貧血は正球性〜小球性となる.
 MCVは低下する傾向にあり, 甲状腺機能正常化するとMCVは上昇. またフェリチンも低下することからは鉄利用障害が関係している可能性がある.

2019年8月8日木曜日

非外傷性の視力障害に対するPOCUS: ViGMOプロトコール

眼球エコーは視神経鞘径の評価と頭蓋内圧亢進についてのデータを紹介した
参考 http://hospitalist-gim.blogspot.com/2012/10/optic-nerve-sheath-diameter.html

それ以外にも眼球エコーは眼球内の異常の評価に有用なことが多い.
眼内異物や硝子体剥離, 網膜剥離など.

ERを受診した眼外傷 or 急性の視力障害 61例のProspective Observational Studyでは, 

61名中, 26例が最終的に眼球内の異常と判断.
 内訳は穿通性眼球損傷(3), 網膜剥離(9), CRA閉塞(1), 水晶体脱臼(2)
 残りは硝子体出血, 硝子体剥離.
眼球エコーは, 上記診断, 眼球内障害除外に対して感度96.2%[88-99], 特異度100%[94-100]で予測可能. といった報告もある.
(ACADEMIC EMER- GENCY MEDICINE 2002; 9:791–799.)

ERにおける, 非外傷性の急性視力障害の評価として, POCUSを用いるプロトコールが提唱されている.

(American Journal of Emergency Medicine 37 (2019) 1547–1553)
ERにおける非外傷性視力障害のPOCUSによる評価: ViGMO protocol
・急性の, 単眼性, 無痛性, 非外傷性の視力障害における評価
 フラッシュ,飛蚊症, 視野欠損, 視力低下などが対象.
両側性の視力障害は中枢病変を疑うべきであるし,
 片側性の完全・完全に近い失明は血管障害を優先して評価(この場合はDopplerを用いるが, これは経験が必要.)(参考: http://hospitalist-gim.blogspot.com/2012/10/ischemic-optic-neuropathy.html)
・上記対象患者では主に4つの疾患を考える;
 硝子体離水 - 飛蚊症を自覚することが多い
 後部硝子体剥離 - 飛蚊症を自覚することが多い
 網膜剥離 - 視野欠損, 光視症を自覚(視野に光が走る)
 硝子体出血 - 霧視, 視力低下, 糖尿病患者で注意
・さらに, 頭痛や視力の低下を伴う患者では視神経乳頭浮腫にも注意する.


・硝子体剥離や離水は良性の病態であり, 高齢者で多く, 無症候性のことも多い. たまに飛蚊症を伴うことがある.
・網膜と硝子体に強い癒着があると, 網膜も蹄状に避ける(10%). これも自然に改善するが, 一部で網膜剥離に移行する.

眼球のエコー評価ではViGMO protocolを用いる
Vitreousの異常(硝子体)
 high, low Gainにおける異常所見の評価
 eye Movementの変化
 Optic discの所見を評価.
仰臥位~半仰臥位でLinear probeを用いて閉眼状態で, 眼瞼上から眼球を水平断で評価する
・エコーの設定は, 多くの機械で”ophthalmic” presetがあるがなければ”small parts” presetで高周波を選択する
・深さは眼球+数cmの深さとし, 視神経や眼球後部が入るように.
・Gainlow-mid rangeで開始

正常眼所見

・Side lobe Artifactが硝子体部位に認められる

硝子体離水
・Normal-low gainにおいて, 小型, 平坦, 可動性の反射する構造物.
 薄い蜘蛛の巣状の構造で繋がっていることが多い.
・Gainをさらに低下させると消失し, 上昇させるとより明瞭に見える
 一見硝子体出血と勘違いされることもある
・可動性が強いため, 眼球運動で移動する.
 眼球運動後も動いている所見が得られる.

後部硝子体剥離

・単一の, 薄い, 滑らかな, 軽くカーブした膜として描出.
 低~中等度の反射性を有する.
硝子体は眼球前部で強く網膜と結合し, 後部ではやや弱いため, 硝子体剥離は眼球後部で生じることが多い
・通常のGainでは見にくいため硝子体剥離を除外するためには>80dBで評価する必要がある.
 >> 網膜剥離は通常Gainでも明瞭に描出される.
また, 硝子体は動きやすいため眼球運動後の揺らぎは硝子体剥離を示唆
 >> 網膜剥離では可動性は低い

網膜剥離

・網膜剥離は緊急性を有する病態であるがこれはエコーで分かりやすい.
・厚く, 滑らかで, 反射性が高く, ロープ様の膜として描出される
 視神経乳頭と繋がっている
・また, 網膜剥離はどの部位から生じても良いため水平断, 矢状断, 側方視, 上下方視など眼球全体を評価することが重要.
 >> 上下方視での評価を忘れ, 見逃すことが多い
可動性は低く, 眼球運動後も所見は動かない.

硝子体出血

・エコー所見は様々であるが, 急性の出血ではびまん性, 低エコーの雪玉状に描出される
 時間が経つと, 輝度が亢進し, 網膜上に偽膜様に見え, 網膜剥離に類似した所見となりえる.
硝子体出血による偽膜は, 厚さが様々, 歪であり,その点で厚さが一定な網膜剥離との鑑別は可能.
 視神経乳頭部で繋がっている所見も鑑別に有用
・離水との鑑別点は可動性が弱い点, 通常Gainでも明瞭な点.

所見のまとめ

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徳洲会の時はたま〜にですが, 眼科がいない状況で, 視力障害や飛蚊症といった救急患者さんはいました.
エコーで硝子体出血を見つけて, 夜間に電話・・・ということもありましたが, 最近はあまり診療する機会がないです.

いざという時のために押さえておきたい.