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2017年4月18日火曜日

ステロイド+LABAの吸入はARDSを予防する可能性

アメリカの5施設におけるDB-RCT.
(Crit Care Med 2017; 45:798–805)
・ERより入院した, ARDS発症リスクがある患者 61例を対象.
エアロゾル化したBudesonide/formoterol vs Placebo群に割付け吸入療法を併用. 5日間継続.
・投与量はBudesonide 0.5mg/2mL, Formoterol 20µg/2mL12, 5日間
 参考: Budesonideはパルミコート吸入液® 0.5mg
  Formoterolはオーキシス® 9µg
  Budsonide/Formoterol合剤のシムビコートは1吸入あたり160µg/4.5µg

・アウトカムはS/F (SpO2/FiO2)の変動を比較.

・ARDSリスクは以下の1つ以上を満たす場合で定義:
 LIPS ≥4, 
 急性の呼吸不全でSpO2 92-98%を保つために2L/分以上の酸素投与が必要となる患者.

・ICS/LABAを使用している患者(7日以内), 適応となる疾患がある患者不整脈など禁忌である患者, ステロイド使用中の患者は除外

母集団

・Control群ではショックが有意に多い.
来院~吸入までは9時間以内

アウトカム

・ICS, LABA吸入群では有意にS/Fが高値となる
ARDS以降例は0 vs 7
・人工呼吸器使用率は 21% vs 53%

・サブグループ解析でもステロイド+LABA吸入群では酸素化増悪の予防効果, ARDS進行予防効果が期待できる

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小規模のPhase II studyで, 今後大規模Studyが組まれると思いますが, 興味深い結果です.
期待して結果を待ちたいと思います.

気管挿管したくない人で, ギリギリの呼吸状態だなぁ、と思うような場合に試してみよう

2017年4月14日金曜日

COPDでも呼吸機能検査は重要

Primary care physicianによる問診, 身体所見からの印象とスパイロメトリー結果の相関性を評価.
(The American Journal of Medicine (2015) 128, 629-637)
・COPD1年以上前に診断された患者群をCOPDを診療しているPrimary care physicianが評価しCOPDの重症度, FEV1を予測
実際の値との相関性を評価した.
実際のFEV1, 重症度は30%で一致, 41%でより軽症と判断していた.

カナダ, オンタリオで2005-2012年に診断されたCOPD 68898例の解析では, 診断前に呼吸機能検査をされていたのは41.2%.
(CMAJ 2017 April 10;189:E530-8.)
・患者は43歳以上で, 医師によりCOPDと診断された患者群
・COPDは以下を満たす場合に診断し, 呼吸機能検査の有無を問わない.
 35歳以上で, 過去2年以内にCOPDに由来する入院を1回以上か, COPDによる救急受診を3回以上している患者で定義.
・この定義では特異度95%, PPV 81%COPDを示唆する
・上記を満たす 68898例中, 診断前に呼吸機能検査をされていたのは41.2%

母集団:

アウトカム

呼吸機能検査施行群の方がより入院や死亡リスクが低い結果

特に3回以上の救急受診患者群において, 呼吸機能検査による予後改善効果が期待できる

治療内容の比較では,
・呼吸機能検査を行なった方が, より長期作用型気管支拡張薬の使用が多い
・呼吸機能検査を行わない場合, 軽症に見積もる可能性がある?
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COPDを臨床所見や病歴のみで診断する場合, 軽症に見積もり, その場合投薬が不十分で予後増悪につながる可能性がある.
やはり客観的に呼吸機能検査も併用し, 治療方針を組み立てるべきなのだろう.

2017年4月13日木曜日

クッシング病における皮膚の菲薄化の評価

(N Engl J Med 2017;376:1451-9.) より面白い記載を.

クッシング病では肥満, DM, 高血圧とメタボリック症候群に類似した病態となるため, 気づかれていない症例も多い.
・米国では100万人あたり75例で見逃されている可能性
・肥満, 高血圧, 多毛, 2DM, 脂質代謝異常の患者の500例に1例はCushing病の可能性.
単純肥満との鑑別点は,
 皮膚の菲薄化: 後述
 斑状出血斑: 1cmを超える非外傷性の出血班はLR11
 骨減少: 骨粗鬆症はLR4.

皮膚の菲薄化は中指の指節の皺で評価する方法が一般的.
・中指のPIP関節部分を指で挟み, 伸側に皺を作る.
・その皺をルーラーで挟み, 厚みを測定する.
 
2mm未満は菲薄と評価し, Cushing症候群に対するLR+ 116
・クッシング病では厚みは2mm未満となる.


2017年4月11日火曜日

喀痰の色の臨床的意義は?

膿性喀痰は感染を示唆する所見の1つ.
例えば人工呼吸器管理中の患者で膿性喀痰が増悪すればVAPやVATを考慮するし,
COPD患者で膿性喀痰が増加すれば急性増悪を考慮する.

その色は何か意味があるのか?

急性の咳嗽を主訴に受診した241例において喀痰の色と細菌感染の可能性を評価.
(Scand J Prim Health Care. 2009;27(2):70-3.)
・黄色~緑色喀痰は
 アウトカム
  細菌培養陽性(>106CFU/mL)
  扁平上皮<10/LPF
  白血球>25/LPF に対して
  感度 79%[63-94], 特異度 46%[38-53], LR+ 1.46[1.17-1.85], LR- 0.16[0.13-0.18]であり, なんとも微妙な結果.
 色が付いていても培養陽性を強く示唆するわけでは無いが, 色がついていなければ培養陽性となる可能性は結構下がる.

121例のCOPD急性増悪患者において喀痰の性状と細菌感染の有無を評価.
(CHEST 2000; 117:1638–1645)
・細菌量>107CFU/mLに対して膿性喀痰は感度 94%[85-98], 特異度 60%[45-73]
 LR+ 2.4[1.7-3.3], LR- 0.1[0-0.2]通常の咳嗽群よりも診断に寄与する

喀痰の色と細菌の種類の関係を慢性気管支炎患者群で評価
(Eur Respir J 2012; 39: 1354–1360)
・4003例の喀痰検体のうち, 培養陽性例が1898(46.4%)
緑色喀痰では58.9%が培養陽性, 黄色喀痰では45.5%と高い.
 鉄サビ色喀痰では39%, 白色喀痰では18%
喀痰の色と検出菌の関係

黄色喀痰
緑色喀痰
白色喀痰
鉄サビ色
H. influenzae
14.1%
20.0%
10.6%
5.9%
S. pneumoniae
7.4%
9.5%
12.4%
2.5%
Moraxella catarrhalis
7.3%
11.2%
2.3%
4.4%
H. parainflueinzae
5.8%
9.2%
2.5%
5.3%
S. aureus
3.4%
5.4%
1.7%
5.3%
K. pneuoniae
3.9%
3.1%
0.8%
1.8%
P. aeruginosa
2.4%
3.1%
2.5%
1.8%
Haemophilus spp.
1.4%
2.4%
0.3%
0.0
陰性
54.5%
41.1%
81.6%
61.1%

 特に色で鑑別できるものでもない.
「肺炎球菌性肺炎に典型的な鉄サビ色」と言われているものの, そんなことはなく,
「緑」膿菌でも緑色の喀痰になるわけでもない.
というトリビア

2017年4月8日土曜日

予後を評価する "Surprise question"

Surprise question(SQ)とは
„Would I be surprised if this patient died in the next 12 month?”という自問自答を行い, 目の前の患者の予後を考える方法.
・「目の前の患者さんが1年以内に亡くなったとしたら, 自分はおどろくだろうか?」
患者で緩和ケアを導入すべきかどうかを考える方法の1.

Surprise question, 6-18ヶ月の死亡を予測能を評価した16 studyMeta-analysis.
(CMAJ 2017 April 3;189:E484-93.)
患者の疾患は心不全や透析, 悪性腫瘍, 呼吸器疾患重症疾患など.

アウトカム: SQLR+ 3.4, LR- 0.416-12ヶ月以内の死亡を予測
・悪性腫瘍患者の方がより予測能は高い. 非悪性腫瘍患者ではやや劣る.
双方ともそこまで強い予測能とは言い難い

2017年4月5日水曜日

鍼灸による片頭痛の予防効果

中国におけるRCT. 前兆を伴わない片頭痛症例 249例を対象とし, 鍼灸群 vs 偽鍼灸群 vs 鍼灸予定群に割付け, 片頭痛頻度を比較した.
(JAMA Intern Med. 2017;177(4):508-515. )
・患者は1865歳で, 50歳未満で発症した片頭痛症例
過去3ヶ月間で2-8回の片頭痛エピソードがある患者群を対象
・鍼灸群, 偽鍼灸群は週に5, 4週間施行し, その後20週間フォロー
 鍼灸予定群は24週後に鍼灸を行うと説明し, フォローした

母集団

アウトカム


・片頭痛の頻度, 日数, 頭痛のVAS, 疼痛時の薬剤使用頻度すべて鍼灸群で改善を認める結果.
・偽鍼灸行為と鍼灸(-)群では有意差なし

QOLの改善効果も認められる

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(´-`).。oO(総合診療としてのサブスペを鍼灸にしようと思ったこともありました)
(´-`).。oO(それもまたアリだよなぁ. 本気でやろうかしら)