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2020年4月1日水曜日

クラインフェルター症候群による性線系以外の症候(自己免疫系)

成人診断(高齢診断ですが)のKlinefelter症候群がありました.

KSは基本的に長身, 女性化乳房, 不妊, 精巣萎縮が有名ですが,
診断されないケースもあり, 他の症候を合併することもあります

ということでチェックです

Klinefelter症候群は男性の不妊において最も多い遺伝子疾患
(Lancet 2004; 364: 273–83)
・一般人口の0.1-0.2%, 不妊男性の3.1%で認められるとされる.
長身, 手足が長い体格で
 精巣萎縮, 女性化乳房, 低ゴナドトロピン, FSH正常~高値を認める
・遺伝子異常の80%47, XXYであり,
 残りの20%48,XXXY; 48,XXYY; 49XXXXY; 46, XY/47, XXYモザイクがある
 基本的にX染色体の過剰が原因となる

Klinefelter症候群は未診断例が多い
・出生前診断が10%, 
 小児期や成人で診断される例が26%(低ゴナドトロピン, 女性化乳房, 不妊での精査)
 残り64%は診断されていない.


KS: 低ゴナドトロピン以外の症候

KSでは低ゴナドトロピン, 不妊以外に,
代謝内分泌疾患(インスリン抵抗性, 脂質代謝異常, 肥満)
血栓傾向(上記を含めて心血管障害リスク)
悪性腫瘍
・自己免疫性疾患 のリスクが上昇することが分かっている
(Metabolism Clinical and Experimental 86 (2018) 135–144)


悪性腫瘍全体は一般男性と比較してリスク上昇は認めないが
・乳癌リスクは19-30倍に,
性線外胚細胞性腫瘍リスクは30-40 (非セミノーマ型)
血液腫瘍: 白血病(SIR 3.62)や非ホジキンリンパ腫(SIR 3.02)
前立腺癌のリスクは反対に低下する(SIR 0.24)

自己免疫性疾患では, SLE, RA, JIA, PsA, PM/DM, SSc, MCTDなど
・自己免疫性甲状腺疾患の合併は多い
(Autoimmunity, 2015; 48(2): 125–128)

男性例のpSS 136例において, 47,XXYを評価した報告では47,XXY4例で認められた(2.9%).
・Control群では1/1254であり, 有意にpSSで多い.
また, RA 384例の評価では47,XXYは認めずSLE患者 308例では8例で陽性(2.6%)
・pSSSLE患者における47,XXY陽性率は同等.
(Clinical Immunology 168 (2016) 25–29)

男性例のSLE 213例において遺伝子検査を施行した報告ではKSと診断されたのは5(2.3%)
(ARTHRITIS & RHEUMATISM Vol. 58, No. 8, August 2008, pp 2511–2517)

男性例のSLE 276例の評価では, KS患者は7(2.5%)
・47,XXY4, 46,XY/47,XXY2, 46,XX/47,XXY1.
・KS患者におけるSLEでは漿膜炎や神経障害, AIHA, 血小板減少, RNP抗体, Sm抗体陽性例は認められず, 全体的に軽症例が多い.(一般的に男性例のSLEは女性例よりも重症が多い中で)
(Acta Pædiatrica 2011 100, pp. 819–823)

SLEに対するメトフォルミン

この間書いた,

ステロイド長期使用におけるメトフォルミンの併用

に関連?して

(Lancet Rheum 2020;2(4):PE210-6 DOI: 10.1016/S2665-9913(20)30004-7)
SLE患者に対するメトフォルミンを評価したDB-RCT

上海における多施設DB-RCT. 糖尿病合併のないSLE, 且つSELENA-SLEDAI <6, BILAG scaleA scoreを満たさず, B score≤1, さらに過去1回以上の再燃歴があり, 過去12M以内にPSL≥20mg/dを投与されていたことがある患者群を対象.
上記患者群をMet投与群(目標500mg tid) vs Placebo群に割り付け, 最大12ヶ月継続

・30日以内にMet使用歴がある群, 副作用で使用困難な群, 糖尿病の診断がある患者群, 肝障害, 腎障害(CCr<60mL/), 妊婦, 授乳婦は除外.
 また6ヶ月以内のCYC使用歴, 12ヶ月以内の生物学的製剤使用歴がある患者も除外.

母集団

アウトカム

・有意差はないが再燃率はMet群で低い可能性
 Major flareは有意差あり
SLEDAIの低下はMet群で良好
BMIも低下するため?
PSL使用量は変わらない

副作用頻度
・消化管副作用は有意に増加するが, 重大なものはなし

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2020年3月30日月曜日

新型コロナウイルス(COVIT-19)感染症の症状

いろいろな論文より, 症状頻度をまとめてみました.
母集団の重症度により症状頻度は異なりますので, 備考にその母集団の死亡率やICU管理率, 重症例の割合を記載しています.

症状頻度
文献1
2
345
 (<60
歳群)
(<60yo)
5
 
(≥60歳群)
(≥60yo)
6(消化器症状+群)
(with GI symptoms)
(消化器症状-)
(without GI symptoms)
N41138109916165213674577
備考
remarks
死亡例15%, ICU管理32%
(morality 15%, ICU pt 32%)
ICU管理26%
(ICU pt 26%)
死亡例1.4%
(mortality 1.4%)
死亡例41%
(mortality 41%)
重症以上 6.8%
(Severe/critical case 6.8%)
重症以上 24.3%
(Severe/critical case 24.3%)
重症例が23%
(Severe case 23%)
重症例が8.1%
(Severe case 8.1%)
発熱
Fever
98%98.6%43.8%(37.5度)91%79.9%84.6%85.1%83.5%
咳嗽
Cough
76%59.4%(乾性)67.8%68%64.6%62.5%71.6%66.2%
喀痰
Sputum
28%26.8%33.7%30%33.1%36.0%39.2%34.3%
血痰
Hemoptysis
5%NA0.9%3%1.8%2.2%4.1%1.4%
呼吸苦
Dyspnea
55%31.2%18.7%44%3.1%12.5%10.8%3.30%
結膜充血
red eye
NANA0.8%NA
NA
NA
NANA
鼻汁, 鼻閉
rhinitis
NANA4.8%NA6.9%1.5%2.7%6.1%
咽頭痛
sore throat
NA17.4%13.9%4%14.4%12.5%8.1%16.1%
筋肉痛
muscle ache
44%34.8%14.9%22%10.9%14.7%13.5%10.6%
倦怠感
fatigue
69.6%38.1%50%17.6%17.6%31.1%16.6%
食欲低下
loss of apatite
NA
39.9%
NA
24%
NA
NA
NA
NA
頭痛
headache
8%6.5%NA11%10.3%5.9%21.6%8.8%
悪心
nausea
NA10.1%5%9%11.8%8.1%--
嘔吐
Vomitus
NA3.6%6%--
下痢
diarrhea
3%10.1%3.8%28%--
腹痛
abdominal pain
NA2.2%NA7%--
NA: not assessed
1; Lancet. 2020 Feb 15;395(10223):497-506.
2; JAMA. 2020;323(11):1061-1069.
3;
N Engl J Med. 2020 Feb 28. doi: 10.1056/NEJMoa2002032.
4;
BMJ. 2020 Mar 26;368:m1091.
5;
Clin Infect Dis. 2020 Mar 25. pii: ciaa242. doi: 10.1093/cid/ciaa242.
6:
Gut. 2020 Mar 24. pii: gutjnl-2020-320926. doi: 10.1136/gutjnl-2020-320926. 

身体所見を評価した論文では, (Physical examination)
咽頭発赤(redness of the pharynx) 1.7%, 扁桃腫大(tonsillitis) 2.1%, リンパ節腫大(lymph node swelling) 0.2%, 皮疹(rash) 0.2%
(N Engl J Med. 2020 Feb 28. doi: 10.1056/NEJMoa2002032.)

主な血液検査(文献は上記参照)
文献1
2
345
 (<60
歳群)
5
 
(≥60歳群)
6(消化器症状+群)(消化器症状-)
WBC6200[4100-10500]4500[3300-6200]4700[3500-6000]5900[3500-9500]4800[3800-5900]4800[3900-6400]4850[3800-6340]4700[3760-5900]
Ly<1000が63%800[600-1100]1000[700-1300]800[600-1200]1200[900-1600]1100[700-1400]970[730-1300]1200[900-1600]
LDH286[242-408]261[182-403]41%(250 IU/L)322[250-511]204[165-255]244[206-311]229[170-316]210[169-258]
PCT(ng/mL)69%(<0.1)64.5%(<0.05)94.5%(<0.5)0.09[0.04-0.23]


0.06[0.03-0.09]0.05[0.04-0.07]
CRP(mg/dL)


60.7%(1mg/dL)5.3[1.9-11.3]0.7[0.2-1.7]1.9[0.6-4.5]1.57[0.48-2.40]0.79[0.26-2.0]


シンガポールにおけるCase-control study
(Clin Infect Dis. 2020 Mar 25. pii: ciaa322. doi: 10.1093/cid/ciaa322. [Epub ahead of print])
1/26-2/16National outbreak screening center, 3次施設を受診し, SARS-CoV-2PCR検査を行われた患者を対象.
上記を満たす788例のうち, PCR陽性は54(6.9%)
 陽性群と陰性群を比較

症状の比較:
症状
陽性例
陰性例
p
咳嗽
66.7%
71.9%
0.5
喀痰
24.1%
27.1%
0.7
呼吸苦
13%
12.7%
1.0
鼻汁, 鼻閉
22.2%
30.8%
0.2
咽頭痛
33.3%
45.2%
0.1
肺音異常
11.1%
4.9%
0.1
上記以外の呼吸器症状
3.7%
5.9%
0.7
消化管症状
37%
32.4%
0.6
検査の比較;

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COVIT-19感染症の症状はその母集団の重症度も異なるため, 報告によっても差がある.

症状について:
・咳嗽は6割以上で認められ, Study間で差は少ない.
・喀痰も大体3割程度で認められる. 
・呼吸苦は当然だが, 重症度が高い母集団ほど多い
・結膜充血, 鼻汁・鼻閉はCOVIT-19では少なく, これらを認める場合は他の上気道炎を考慮する切っ掛けとなり得る. (参考:インフルエンザは鼻汁33-50%, 鼻閉68-91%(直接比較はできないが・・・)(JAMA 2005;293:987-997))
 同様に咽頭痛も2割未満の頻度と少ない. (参考: インフルは咽頭炎75-84%(JAMA 2005;293:987-997))
・筋肉痛, 節々の痛みは1-2割程度. (参考: インフルエンザは60-94%(直接比較はできないが・・・)(JAMA 2005;293:987-997)

・腹痛, 下痢, 悪心嘔吐といった消化管症状は1-3割程度で認め得る. 嘔吐よりも下痢が多い.

検査所見について:
・血液検査所見では白血球上昇を認めず, 且つリンパ球が1000程度まで低下するのがポイント.
・LDHは正常〜軽度上昇で, 高値ほど予後不良となる.
・CRPは軽度上昇(高くても10mg/dLいかない程度)で, PCTは正常範囲