再出血リスクは増加するものの, 全体的な予後は改善するという話は以前書いた
抗血小板薬と消化管出血 を参照
では抗凝固薬はどうか?
抗凝固薬のほうが再開しにくいなぁ、という感じが強い.
Afで抗凝固療法 and/or 抗血小板療法を施行している患者で消化管出血をきたした4602例のCohort study.
(BMJ 2015;351:h5876)
・患者の平均年齢は78.3±9.3歳.
・CHADS2スコア 2.1±1.2, CHA2DS2-VAScスコア 3.6±1.5
・抗凝固薬単独が23.9%, 併用が19.4%
コホート集団の予後: 死亡率, 血栓症リスク, Major bleedingリスク, 消化管出血再発リスク
・発症後90日後〜2年以内に死亡した症例が39.9%[38.4-41.3]
・抗凝固療法, 抗血小板療法を再開しなかった例は27.1%であった.
・血栓症を呈した患者が12.0%[11.0-13.0]
・Major bleedingは17.7%[16.5-18.8]
・消化管出血再発例が12.1%[11.1-13.1].
抗凝固薬, 抗血小板薬再開の有無別の予後(HR)
・抗凝固薬や抗血小板薬の再開は有意な死亡, 血栓症リスク低下効果が期待できる
・薬剤の再開による出血リスクの上昇もあるが, そこまで多いものでもない.
・Table 4はPPI併用群における比較.
薬剤中止〜再開までの期間別の評価
・薬剤中止期間が30日〜120日どの群でも, 再開による死亡リスク低下効果は期待できる
Afで抗凝固薬を使用している患者で, 上部消化管出血を発症してしまった患者群では,
どれだけ期間が空いても, 再開できるならば再開したほうが良い.