その3種類はACE阻害薬/ARB, Ca-ch阻害薬, 利尿薬の3種類となることが多い.
上記では二次性高血圧の原因を評価するが,
それが否定されれば本態性高血圧の難治性と判断される.
さらに追加する降圧薬としては, アルファ阻害薬, ベータ阻害薬, 硝酸剤などが選択されるが, そのような患者において, スピロノラクトンが効果的であるとの報告がいくつかある.
ASPIRANT-EXT trial: 利尿薬を含む3剤でも血圧目標(sBP<140, dBP<90mmHg)を達成できない161例を対象としたDB−RCT. (Medicine 93(27):e162)
・CKD(Cre>1.5)やDM患者の場合はsBP>130/80で導入.
・sBP>180, dBP>110で緊急降圧が必要な症例, Cre>2.0, eGFR<40, K>5.4mEq/L, Na<130mEq/L, ポルフィリア, 妊婦, 授乳婦,
・二次性高血圧症(+)患者は除外.
上記を満たす患者群161例をSpironolactone 25mg/d vs Placebo追加群に割り付け比較.
患者群における血圧の変動
血圧はSpironolactone併用群で有意に低下する.
電解質や腎機能への影響
血清Kは0.4mEq/Lほど上昇する
またCre値もSpironolactone群で上昇(+5.6µmol/L = 0.06mg/dL).
アルブミン尿は低下する
では, 他の薬剤(ベータ阻害薬, アルファ阻害薬)とどちらが効果が高いのか?
PATHWAY-2: 難治性高血圧に対するSpironolactone vs Bisoprolol vs Doxazosinの比較.
(Lancet 2015; 386: 2059–68)
・Bisoprolol(メインテート®), Doxazosin(カルデナリン®)
・患者は18-79歳で, 降圧薬三剤, 最大用量を3ヶ月使用しても血圧高値の患者群335例を対象としたDB-RCT.
・三剤はACE阻害薬/ARB, CCB, 利尿薬
・血圧高値は外来血圧>≥140mmHg(DM患者では≥135), 自宅血圧≥130mmHgで定義.
上記患者群において, 12週間毎に
Placebo群,
Spironolactone 25-50mg/d群,
Bisoprolol 5-10mg/d群,
Doxazosin 4-8mg/d群をローテーションし, 自宅血圧の変化をフォロー.
・Wash out periodはない
・投与量は6wk後に倍量に増量.
・元々の薬剤は継続
除外項目
・二次性高血圧 ・増悪因子がある高血圧
・1型DM ・腎不全 (eGFR<45/min)
・血清K異常 ・妊娠, 妊娠予定
・持続性のAf ・アドヒアランスが不良
・入院予定, 手術予定 ・6M以内の心血管イベント
・担癌患者 ・ステロイド, NSAIDの長期使用
母集団データ
アウトカム: 血圧の変化
Spironolactoneは他の降圧薬よりも降圧効果が高い
副作用頻度
特にSpironolactone群で副作用が特別多いわけでもない
高K血症のリスクが高く, 血清K>6mEq/Lとなったのは6/285(2.1%)
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スピロノラクトンは原発性アルドステロン症ではなくても, 難治性高血圧に対して降圧効果が高い.
β阻害薬やα阻害薬よりもその効果は高いと言える.
ただし, 注意点としては,
・降圧効果が高いのであって, 臨床的アウトカムはこの2つのStudyでは評価されていない
・高K血症リスクが増大すること
に注意が必要.