カテコラミンを末梢ルートから投与すると血管障害や周囲の皮膚障害を生じるリスクがある
85 studiesのMeta-analysisでは
・カテコラミン投与による組織障害の報告例は325例.
そのうち318例が末梢カテーテルからの投与で生じている.
・末梢カテーテルからのカテコラミン投与開始から局所の組織障害や血管外漏出までの時間はそれぞれ 56±68時間, 35±51時間.
・その大半が軽度であり, 後遺症は残さないが, 壊疽が7%ある
・CVCからの投与では, 局所の組織障害出現までの時間は55±47時間で壊疽は14%で報告された
Ann Emerg Med. 2015 Dec;66(6):629-631.
カテコラミンを必要とする患者において, 末梢ルートとCVCを比較したRCT.
成人のICU患者263例におけるopen-label RCT.
(Crit Care Med 2013; 41:2108–2115)
・ICUで最初に確保するルートとしてCVC群と末梢静脈ルート群に割り付け, 合併症リスクを比較.・患者群は以下の血管障害リスクがある薬剤を使用する患者
アドレナリン ≤2mg/h,
ノルアドレナリン ≤2mg/h,
ドパミン, ドブタミン ≤10µg/kg/min
アミオダロン ≤150mg/d, ≤3日間,
バンコマイシン <1g/日,
アムホテリシンB ≤3日間
・もしくは, 末梢ルートが確保しにくい患者
(2回連続で確保失敗, 2日連続で1日に2回入れ替えが必要となった症例, 3日連続で1日に1回入れ替えが必要となった症例)
・上記量を超える薬剤投与時や末梢静脈ルート確保が困難な場合は除外, もしくはCVC確保を行う(末梢カテーテル群に割り付けられた患者でCVC確保へ移行した症例はITT解析で末梢カテーテル群として評価する)
・CVCの必要がなくなればすぐに抜去し, さらに補液が必要な場合は末梢カテーテルへ移行する.
患者は266例導入し, 263例で解析 (ITT)
・CVCもしくは末梢カテーテルを必要とした理由は,
昇圧剤が必要な患者が70%
末梢カテーテル留置2回失敗 13%
・末梢カテーテル群でCVC留置を行ったのは67例.
理由はルート確保が困難な例やカテコラミンを高用量投与例.
アウトカム
・Major complication(感染, 出血, 気胸, 皮膚障害, 血栓症など)は有意に末梢カテーテル群で多い(1.04 vs 0.64, p<0.02)
・しかしながら致命的な合併症はなし.
末梢ルート群の気胸はCVC移行例
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末梢ルートとCVCで比較したRCTはこの1つのみ.
このRCTでは合併症リスクはCVC確保群の方が低い結果.
静脈炎は同等であり, 致死的な合併症は両群でみとめず, 末梢の壊死の報告も無し
このStudyでは以下のカテコラミン投与量ならば末梢から投与可能としている
アドレナリン ≤2mg/h,
ノルアドレナリン ≤2mg/h,
ドパミン, ドブタミン ≤10µg/kg/min
NAならば5mg/50mlの溶液で20ml/hまで
ドパミンならばキット600の使用で患者体重が50kgならば 10ml/hまで末梢で投与できる可能性がある.