(Chest 2006;129:138S-146S)
上気道炎後に咳嗽が持続することがあり, 亜急性の咳嗽(>3wk)となることも多い.
ウイルス感染症やMycoplasma, Chlamydophiliaの様なウイルス様感染症後に持続する咳嗽を “Postinfectious cough”と呼ぶ.
胸部XPで問題なく, >8wk持続することは無く, 最終的には改善する.
>8wk継続する場合は他の疾患を考慮すべき.
上気道炎に伴う気道粘膜の障害と過敏性が原因と考えられ
単純性インフルエンザA感染患者のBAL studyでは, 気道粘膜の落屑やBALFでのリンパ球の増加, Eo増加が認められる. 気道分泌も亢進, 繊毛運動の低下も原因と考えられている
Postinfectous coughの頻度はURI患者の11-25%
M pneumoniae, Bordetella pertusis流行期では25-50%と高率.
倉敷中央病院での2006-2008年に受診した, 3週間以上8週間未満の咳嗽で胸部XP正常な症例218例の検討 (日呼吸会誌 2010;48:179-185)
Mycoplasma, Chlamydophila, Pertussisの抗体, ペア血清を評価.
平均年齢は48.4±17.8歳. 感染後咳嗽の頻度は合計 39.4%であった.
咳嗽のタイプは以下の通り;
咳嗽の原因
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感冒後
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21.1%
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Atopic cough
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4.1%
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Mycoplasma pneumoniae感染後
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5.5%
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GERD
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0.9%
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Chlamydophila pneumoniae感染後
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4.1%
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慢性気管支炎
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0.9%
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百日咳
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9.2%
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COPD
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2.3%
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Cough variant asthma
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8.7%
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ACE阻害薬
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0.5%
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Bronchial asthma
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7.8%
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不明
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40.8%
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Postinfectious coughの治療
自然に改善する為に, 対症療法で問題無し
抗生剤は必要無し.
咳嗽で著しく障害されている場合はPSL 30-40mgを2-3wkで減量するレジメも試される.
吸入ステロイド, 吸入抗コリン薬(Ipratropium)も試される.
薬剤が効果乏しい場合, 中枢抑制系のCodeine(リン酸コデイン)やDextromethorphan(メジコン®)を試す.
Montelukast(シングレア®)は効果無し (Lancet Respir Med 2014; 2: 35–43)
16-49歳でPostinfectious cough 276例のDB-RCT.
Montelukast 10mg/d vs Placeboに割り付け, 2-4wk継続.
咳嗽に由来するQOLを評価し, 比較.
咳嗽の経過
双方とも咳嗽の重症度, 頻度は変わらない.