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2014年4月26日土曜日

肝肺症候群とPortpulmonary hypertension

肝肺症候群 Hepatopulmonary Syndromeについて
NEJM 2008;358:2378-87

肝疾患に合併する, 肺血管の拡張による肺内シャントの増加が起こり, 酸素化不良を呈する疾患. NO産生の増加が関与するが, NO増加と肝傷害, Portal HT, Hyperdynamic stateとの関連は不明
 通常 8~15µmの肺血管床が15-100µmに拡張し, 肺内シャントが増加する.

特異的な症状は無い, レントゲンも非特異的
 クモ状血管腫, ばち指, チアノーゼ, 重度低酸素(PaO2 <60mmHg)はHPSを示唆
慢性肝疾患患者で肝肺症候群を示唆する所見
(McGee, Evidence-Based Physical Diagnosis 3rd.)
所見
感度(%)
特異度(%)
LR+
LR-
Clubbing
22-80%
64-95%
4.6
0.6
チアノーゼ
8-86%
79-99%
4.3
NS
手掌紅斑
57-80%
54-70%
NS
NS
クモ状血管腫
39-97%
26-70%
1.4
NS
腹水
56-79%
20-57%
NS
NS

座位で呼吸苦が増悪(Platypnea)
 臥位 ⇒ 座位でPaO2が5% or 4mmHg以上低下(Orthodeoxia) ⇒ Ventilation-perfusion mismatch
 COPD, 肺線維症を30%で合併

診断は造影エコーを使用
>10µm マイクロバブル使用
 右房 ⇒ 3-6回の拍動後, 左房へ到達すれば陽性と判断.
 肺血管の拡張を示唆

Technetium-99m-labeled macroaggregated albuminよりも低侵襲で感度も高い
 Rt⇒Ltシャントとの鑑別は造影TEE, 血管造影で行う.
 血管造影は重度の低酸素にて適応

造影エコーは空気撹拌法を使用する
市販の造影エコー用の製剤は直径約2-5µmが殆ど.
 これは肝臓造影用のため, むしろ肺にトラップされてはダメな為.
 肝肺症候群では通常の肺血管床でトラップされないと意味が無いため, 空気撹拌を用いる. 空気撹拌法では直径 15µm程度の気泡ができる.

Lung-Brainシンチグラム
Technetium-99m-labeled macroaggregated albumin
 A; 肺 前面
 B; 肺 後面
 C; 右脳
 D; 左脳
通常ならば肺にトラップされ, 肺に集積されるが, 右左シャントがあるとトラップされずに脳に集積する.
脳の取り込みは通常 <6% (右画像では62%)
>6%で陽性(右 ⇒ 左シャント)

肝肺症候群 診断クライテリア

Variable

酸素化障害
PAO2 – PaO2 = (FiO2[Patm-PH2O]-[PaCO2/0.8]) PaO2 >= 15mmHg
肺血管拡張
造影エコー陽性 or Radioactive lung-perfusion scanにて脳取り込み >6%
肝傷害
門脈圧亢進症 ± 肝硬変

重症度

Mild
PAO2-PaO2 >=15mmHg, Partial pressure of O2 >= 80mmHg
Moderate
PAO2-PaO2 >=15mmHg, Partial pressure of O2 60-80mmHg
Severe
PAO2-PaO2 >=15mmHg, Partial pressure of O2 50-60mmHg
Very Severe
PAO2-PaO2 >=15mmHg, Partial pressure of O2 <50mmHg
>64Yでは PAO2-PaO2 >=20mmHg, Partial pressure =< 70が使用される

肝肺症候群 治療
薬剤治療で有用なものは無し
肝移植が唯一有用だが予後を改善するエビデンスなし
メチレンブルー 3mg/kg 15分でDIVを肝肺症候群7名に施行
 投与後5時間で, PaO2 58±2.5mmHg → 74±11.5mmHg, P=0.006,
 A-a DO2 49±3.3mmHg → 30±10.4mmHg, P=0.003 と有意に改善.
 シャント率も41±3.1% → 25%±4.5%, P<0.001
 肺血管抵抗も上昇.
 効果は投与後すぐ〜10時間までは持続する (Ann Intern Med. 2000;133:701-706.)

Portpulmonary hypertension
門脈圧亢進 + 肺高血圧を伴う病態. PCWPは<15mmHg.
 肝不全の3.5-16%で認められ, 通常肝移植前の評価で見つかる.
 肝で代謝されるはずの血管活性化因子がportosystemic shuntsで肺血管床に到達し, 肺血管収縮を誘発.
 平均肺動脈圧(MPAP) 35-45mmHgの中等度, >45mmHgの高度PPHTNは移植予後増悪因子の1つ. 移植後に右室不全, うっ血を来す.
 肺動脈圧低下作用のある薬剤にてコントロールし, 移植を待つ必要あり.
 TIPSはPPHTN増悪するリスクがある.
Crit Care Med 2011; 39:1157–1166

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