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2014年4月13日日曜日

サルコイドーシス Sarcoidosis

サルコイドーシス Sarcoidosis
NEJM 1997;336:1224-34 JAMA 2003;289:3300-3

非乾酪性肉芽腫を特徴とする全身性疾患
 全人種, 性別, 年齢に起こり得る
 白人では10.9/100 000/yr, 黒人では35.5/100 000/yrとされる
 一生の内に0.85%の白人, 2.4%の黒人が罹患する
 人種により進行速度, 罹患臓器の傾向も異なる.
 10-40yrで70-90%が発症, >40yrでの発症は慢性化しやすい
 季節性も認められており, 冬季~春早期での発症が多い
 一卵性双生児, 家族内発症も多い.
外因性の抗原の関与も示唆されている (Am J Respir Crit Care Med 2011;183:573-581)

無症候性が30-60%(“無症候性”なので, 真の頻度は不明)
Lofgren syndromeは予後良好, >90%が寛解.
 急性のErythema nodosum or 足関節周囲炎 + BHL or 右側傍気管支リンパ節腫脹を示す疾患

臓器障害の頻度:
NEJM 1997;336:1224-34 BMJ 2009;339:b3206
障害部位
割合
備考
呼吸器系; 間質病変(肺胞, 血管, 気管)
 鼻腔, 副鼻腔病変
ほぼ100%
2-18%

リンパ節病変
15.2%
片側の肺門部リンパ節腫大は3-5%のみ
心臓病変(伝導障害, 乳頭筋障害)
5-10%
突然死のRiskあり. サルコイド患者剖検例の25-50%
皮膚症状
25%
丘状皮疹, 結節疹, Erythema nodosum
眼病変(前部ぶどう膜炎)
11.8-25%
失明のRiskあり, ぶどう膜炎, 網膜血管炎
神経系(脳神経障害; VIIが多い)
4.6-5%
理論上どの部位も障害されて良いが,
VII
が最も多い.
5-50%
腎の直接障害は稀
1,25-dihydroxyvitamin D
増多による
Ca尿症, Ca血症は比較的多い
内分泌
3.9-4%
唾液腺の障害⇒ Sjogren syn様症状.
甲状腺の結節もあり
肝臓
肝腫大
脾腫
40-70%
20%
6.7-25%
肝生検の陽性率は40-70%だが,
肝障害は稀
脾生検で80%で肉芽腫あり
消化管
0.1-0.9%

筋骨格, 関節
0.9%
関節痛, 骨嚢胞, 筋症

日本国内1027例の解析 (Eur Respir J 2008; 31: 372–379)
組織で確定診断されたSarcoidosis 1027例の解析
 発症率は1.01/10万.  男性35.4%, 女性64.6%
 検診で発見されたのが28%, 有症状で受診したのが56.5%.
症状の頻度

全体
男性
女性
無症候性
26.2%
35.0%
21.3%
症候性
73.8%
65.0%
78.7%
視力, 視覚症状
28.8%
20.7%
33.2%
咳嗽
18.3%
19.3%
17.7%
呼吸苦
12.4%
12.3%
12.4%
皮膚症状
9.6%
5.3%
12.1%
倦怠感
6.6%
5.3%
7.3%
発熱
6.1%
6.2%
6.1%
胸痛
4.1%
4.8%
3.7%
神経, 筋症状
3.4%
2.0%
4.3%
眼症状(視力以外)
2.1%
2.0%
2.3%
呼吸器症状(咳嗽以外)
1.6%
2.0%
1.4%
関節痛
1.5%
1.4%
1.4%
リンパ節腫脹
1.2%
0.8%
1.2%
体重減少
0.8%
2.0%
0.2%
症候性の中では視力障害, 視覚症状, 呼吸器症状, 皮膚症状が多い.

肺, 眼症状, 所見頻度

全体
男性
女性

全体
男性
女性
肺病変
86.0%
87.8%
85.0%
眼病変
54.8%
43.9%
60.6%
BHL
75.8%
75.1%
76.2%
ぶどう膜炎
40.6%
30.4%
46.2%
肺野所見
46.6%
56.9%
40.9%
虹彩, 隅角
26.3%
22.0%
28.7%
 びまん性陰影
44.0%
55.3%
37.7%
硝子体
22.9%
18.9%
25.0%
 線維化
8.3%
8.5%
8.3%
網膜
22.5%
19.2%
24.4%
PFT異常
16.6%
13.0%
18.7%
視力障害
20.5%
14.6%
23.7%
 拘束性障害
9.0%
8.5%
9.3%
続発性緑内障
14.1%
13.1%
14.7%
胸部XP Staging



視野障害
7.4%
6.3%
8.0%
 Stage 0
14.3%
12.3%
15.4%
視神経
5.0%
4.8%
5.2%
 Stage 1
40.5%
31.6%
45.4%
結膜
2.9%
1.8%
3.5%
 Stage 2
29.3%
38.0%
24.4%
涙腺
2.4%
0.9%
3.2%
 Stage 3
7.9%
10.1%
6.7%
眼球
0.7%
0.3%
1.0%
 Stage 4
8.1%
8.1%
8.1%





皮膚, 心臓病編頻度

全体
男性
女性

全体
男性
女性
皮膚
35.4%
25.0%
41.1%
心臓
23.0%
26.1%
21.2%
皮膚結節
20.0%
14.2%
23.1%
ECG異常
20.6%
22.6%
19.5%
皮下結節
12.1%
6.6%
15.1%
 上室性不整脈
8.0%
8.4%
7.8%
Plaque type cutaneous
8.9%
8.2%
9.2%
 Bundle branch block
6.9%
7.8%
6.4%
結節性紅斑
6.2%
4.0%
7.4%
 ST-T異常
6.6%
6.4%
6.6%
Lupus pernio(霜焼け)
2.6%
1.4%
3.2%
 AVブロック
5.7%
6.4%
5.3%
その他
4.3%
4.0%
4.5%
 心室性不整脈
4.8%
4.9%
4.8%




壁運動異常
11.7%
12.5%
11.2%




心筋シンチ異常
27.5%
24.7%
29.4%

その他の臓器障害

全体
男性
女性
胸郭外リンパ節
15.2%
15.5%
15.0%
神経
7.2%
4.5%
8.6%
肝臓
5.6%
6.8%
5.0%
4.2%
2.0%
5.5%
腎臓
3.7%
5.7%
2.6%
耳下腺
3.1%
3.1%
3.1%
消化管
1.6%
1.0%
1.9%
0.7%
0.3%
1.0%
その他
4.4%
4.3%
4.4%

過去の日本国内のSurveyのデータ.
 眼症状は半数で認められ, 肺についで主な症状. 検診で発見される頻度は3割弱

サルコイドーシスの症状, その他(JAMA 2011;305:391-9)
両側の肺門部リンパ節腫大が最も多く, 片側のみは3-5%のみ.
 肺門部リンパ節(-)で縦隔リンパ節(+)は非常に稀であり, 他の疾患を考慮すべきPointとなる.
 安静時肺高血圧症は6-23%, 運動時は40%に合併. 
 肺機能検査では, 拘束性障害を示すが, 約50%で閉塞性障害パターンも.
 倦怠感が66%.
 QOLの低下につながり, 発熱, 体重減少, 疲労感が伴う

Late-onset Sarcoidosis (Medicine 2012;91: 137-143)
Sarcoidosisの好発年齢は<40歳であり, 25-40歳が70%を占める.
 ただし, 25-35歳と50-65歳の2峰性のピークをとるとの報告もあり. また, >65歳での発症例も多く報告されている.

65歳以上での発症例をLate-onsetと定義.
 Late-onset Sarcoidosis 30例と, <65歳発症例70例を比較.
 人種差は無し. 高齢発症の方がより女性が多い傾向.

Late-onset
<65yr
年齢
70.6±5.3
38±11.1
: (女性%)
5:25 (83.3%)
35:35 (50%)
高齢者の方が, 無力症, 特異的皮膚所見, ブドウ膜炎合併例が多い. 結節性紅斑は少ない傾向がある.
予後, 死亡率は同等だが, PSLによる副作用は高齢者の方が出やすい.

サルコイドーシスのLab
CBC 
 貧血の合併は通常ない. あればAIHA, 脾機能亢進などを考慮
 Leukopeniaは5-10%, Eosinophiliaは25%
 血小板減少は稀だがあり得る
 ESRは亢進するが, 病勢を反映しない
Chemo 
 高Ca尿症(>400mg/24hr)は高Ca血症よりも高頻度
 高Ca血症は5-10%, 高Ca尿症は40-62%, BMDの低下は40-55%. (Rheumatology 2000;39:707-13)
 高γグロブリン血症は30-80%, RFも陽性となることあり

サルコイドーシスとCa異常
Sarcoidosisでは40-62%に高Ca尿症を認める.
 症候性の高Ca血症は稀で, 5%程度. 殆どは無症候性.
 慢性の高Ca血症を生じるため, 腎石灰化も認められる. 10%で腎結石(+).
 BMDも低下することが知られており,  ステロイド投与していない患者群では, 61%でZ score <-1となる.

Sarcoidosis → 高Ca血症の機序
 1,25(OH)2D (Calcitriol)の増加が関与. 肺胞上皮のMφで産生される.
 SarcoidosisではNegative feedback機構が破綻し, 過剰産生となる.
 PTHはSarcoidosisでは抑制されているが, 稀に亢進している報告例もあり.
 PTHrP増加の報告例もあり.

ACE測定
 正常値; 16-52nmol/min/ml
 ACEはSarcoidosisに対するSn57%, Sp90%. 陰性でも除外は困難
 ACEは未治療Sarcoidosisで50%, 治療Sarcoidosisで20%が陽性
 ACEの偽陽性として以下のものがある,  (J Clin Pathol 1983;36:938-47)
疾患
偽陽性
疾患
偽陽性
結核
3.6%
Silicosis
42%
内因性アレルギー性肺胞炎
1.4%
原発性肺癌
0.6%
らい病
34%
COPD
0.5%
Coccidioidomycosis
7%
Asthma
1.5%
PBC
27%
糖尿病
1.5%
Hodgkin’s
3%
アルコール性肝炎
28.5%
ベリリウム肉芽腫
75%
Hyperthyroidism
81%
Asbestosis
11%
全体
12%
サルコイドーシスの診断 (NEJM 1997;336:1224-34)
診断は組織検査による
 侵襲の少ない部位のリンパ節, 浸潤臓器からのBiopsy, 皮膚生検, 気管支鏡検査でのTBLB, リンパ節生検が一般的.

Sarcoidosisは除外診断!
 生検から非乾酪性肉芽腫が検出されたとしても, 他の肉芽腫性疾患の除外は必要(Wegener, CSS, 真菌, TB)

診断がついた場合, Checkすべき項目は,
 胸部XP, 肺機能検査 ⇒ Spirometory + Gas exchange
 心電図 ⇒ Blockを評価
 他, 臓器浸潤に合わせた評価が必要(眼, 神経など)

気管支鏡検査
Bronchoalveolar lavage(BAL)
 CD4の増加, CD8の低下が特徴
 CD4/CD8 <1はSarcoidosisをほぼ100%否定可能
 CD4/CD8 >4, Ly>=16%, TBLBで非乾酪性肉芽腫 ⇒ 100%でSarcoidosisの診断可能
 Neu>2%, Eo>1%はSarcoidosis以外の診断を示唆
報告ではBAL CD4/CD8 >3.5としているものもある.
リンパ節生検が可能な部位がなければTBLBもGOOD

気管支鏡よりもエコーを用いたFNAの方がStage I,IIのサルコイドーシス診断は有用.
GRANULOMA study; 304名のStage I/IIのサルコイドーシス疑い患者のRCT.
(JAMA. 2013;309(23):2457-2464)
 気管支鏡を用いたTBLB, BALによる診断群と, 気管支鏡エコー, 食道エコーを用いた結節評価+FNA群で診断能を比較.
 アウトカム; 肉芽種を検出できたのは, 気管支鏡群で48% vs. エコーFNA群で74%と有意にエコー群で有用. 
 また, 診断能は気管支鏡群で53%[45-61]  vs. エコー群で80%[73-86]とエコーFNA群でより診断は高精度.

検査異常の頻度:
日本国内のサルコイドーシス1027例の解析より (Eur Respir J 2008; 31: 372–379)
(生検で診断したサルコイドーシスであり,  当然Gaシンチ集積は多いと予測される.)

全体
男性
女性
Gaシンチ集積
87.6%
85.2%
89.0%
BALF所見異常
81.2%
79.7%
82.2%
ツベルクリン陰性
73.1%
71.2%
74.2%
Lysozyme上昇
58.4%
59.0%
58.0%
ACE上昇
51.9%
51.6%
52.1%
γグロブリン上昇
21.4%
16.4%
24.2%
Ca血症
7.4%
10.8%
5.5%
Ca尿症
6.4%
6.7%
6.1%
一度サルコイドと診断され, ステロイドにて改善した症例で, 数年後に再度胸部所見が増悪した際, サルコイドの再増悪としてステロイド投与すると落とし穴にはまるかも.
 胸部陰影の増悪  >> 結核やリンパ腫など, サルコイドとの鑑別が必要な疾患を再度否定する必要がある. 特にリンパ腫と結核は治療方針が異なるので要注意.

肺の肉芽腫性病変を来し得る疾患(The American Journal of Medicine (2012) 125, 118-125)

サルコイドーシスの治療
大多数の患者では無治療で寛解する.
状態
治療
Erythema nodosumにて疼痛を認める
NSAID, アセトアミノフェンを短期間投与
Stage 1-3で無症候 or 軽度の症状のみ
無治療, 経過観察
Stage 2-3で中等度-重度の症状, 進行性
経口ステロイド投与
Ca血症, 神経障害, 心障害, 眼症状
ステロイドの絶対適応
吸入ステロイドは通常治療, 維持療法としては使用しない.
治療抵抗性の咳嗽には有用な治療方法.

ステロイド; Prednisolone 0.5mg/kg/d 4wk. ⇒ その後6moかけてTapering, ~10mgで維持.
ステロイドのTaperingが困難(10mg以下にできない)場合, Evidenceには乏しいが, MTX, AZT, Cyclophosphamideを併用

ステロイドのみでコントロール不良なサルコイドーシスで治療開始から2年以内にAZT or MTXを使用した200名のRetrospective study. (Chest 2013;144:805-812)
 145例はMTXを使用し, 55名でAZTを使用.
 MTXもAZTもPSL減量, 呼吸機能の変化で差はなく, 双方とも2nd line treatmentとして有用である可能性が高い.

高Ca血症合併例では, 
 1日2Lの飲水, 
 日光暴露を避ける
 Vit D含有脂質の摂取を控える, など行い, 高Ca血症Riskを低下させる.
 ステロイド PSL15-25mg/dが有効であり, Sarcoidosisの治療もかねてPSL導入する.

ステロイド投与不可能な患者では, Ketoconazole(ニゾラール)を
 KetoconazoleはCytochrome P450を阻害し, 25(OH)D3-1α-hydroxylaseを阻害し, Calcitriol産生を低下させる.
 HydroxychloroquineもCalcitriol産生低下作用あり.
 ただし, 上記治療の臨床的効果は確立しているとは言い難い.

治療のまとめ(Am J Respir Crit Care Med 2011;183:573–581)

サルコイドーシスの予後
肺病変 Stage別の寛解率
Stage
寛解率

Stage I
1-3yr75%, 10%が慢性化
肺門部リンパ節腫脹(+), 肺実質障害(-)
Stage II
50-60%
肺門部リンパ節腫脹(+), 肺実質障害(+)
Stage III
<30%
肺門部リンパ節腫脹(-), 肺実質障害(+)
Stage IV

浸潤影, Volume loss, Cyst, 気管支拡張
Nodular sarcoid

びまん性結節影

気管内病変はStage Iで40%, II-IIIで70%認める
予後は良いが, 50%が恒久的に軽度の臓器障害を呈する. その場合の死亡率は1-6%程度.
予後不良因子; 黒人, >40yr発症, 6mo以上続く症状, 皮膚症状(-), 脾腫(-), Stage III は予後不良を示唆

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