(Neurol Neurosurg Psychiatry 2007;78:710–715)
三半規管は3つ: Posterior, Horizontal, Anteriorがあり, BPPVも其々で生じる
其々の特徴は以下の通り.
Posterior
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Horizontal
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Anterior
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頻度
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81-89%
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8-17%
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1-3%
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誘発テスト
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Dix-Hallpike
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Supine Roll test
(Pagnini-McClure) |
Dix-Hallpike
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眼振
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患側
上向回転性眼振 |
重力
or 反重力方向
|
患側
下向回転性眼振 |
Horizontalは10-42.7%という報告もあり
Mixed-canal BPPVというのもあり1.5-5.0%を占める.
通常同側のPC,HCが多いが, 反対側のこともある. 外傷性が多い.
通常同側のPC,HCが多いが, 反対側のこともある. 外傷性が多い.
Dix-Hallpike法
Posterior canal, Anterior canalのBPPVを疑った際に行う誘発方法.
Posterior canal BPPV
患側(下にした耳)方向への, 上向回転性眼振(+)
上方向と, 患側方向への回旋性眼振の混在.
下回旋性の場合はAnterior canalを疑う.
Horizontal canal BPPVにDix-Hallpikeを行うと, 誘発ができないか,
重力方向, 反重力方向への水平眼振を生じる(左右で眼振の向きが異なる)
Dix-Hallpikeの意味
Posterior canalの向きは耳介と一緒.
頚を右45度に向け, そのまま後方へ倒れると, 図の通り, 右のPosterior canalが強く刺激されることとなる.
倦怠感が強い, 嘔気が強い場合は, 抗ヒスタミン投与後に行うといい場合がある
Horizontal canal BPPVを疑った場合はPagnii-McClure法
(仰臥位頭位変換テスト)
これは簡便で, 仰臥位で頭を左右に振るのみ.
眼振は水平性で2パターンある,
Geotropic: 重力方向(例: 右に向いた際に右方向, 左に向いた際に左方向)
Apogeotropic: 反重力方向(例: 右に向いた際に左方向, 左に向いた際に右方向)
GeotropicとApogeotropicの違い
Geotropic HC-BPPV;
臥位において, 頭部を回旋させると, 重力方向へ眼振が生じるtype.
Horizontal canalの内リンパ内に耳石が存在している.
Apogeotropic HC-BPPV;
臥位において, 頭部を回旋させると, 反重力方向へ眼振が生じるtype
HCのCupula付近の前方部に耳石が存在しているか, Cupulaそのものに耳石が付着している為に生じるとされている.
HC-BPPVの患側はどちらか?
PC-BPPVならばDix-Hallpikeが陽性方向が患側と言えるが,
HC-BPPVは左右どちらを向いても眼振が生じる(向きは異なる)ため, 患側が判定しにくい.
左右首を回旋させたとき,
Geotropicでは眼振がより強い方が患側.
Apogeotropicでは眼振がより弱い方が患側とされる.
座位で頭部をもたげた姿勢で3分.
→ その後速やかに仰臥位とすると, Geotropicでは健側方向, Apogeotropicでは患側方向の眼振が誘発される.
ただし, この方法で眼振が誘発されるのは38.2%のみ.
(NEUROLOGY 2006;66:706–710)
Anterior Canal-BPPV
Anterior Canal-BPPVは全BPPVの1%程度であり, 非常に稀.
その大半が外傷後などの二次性と言われている.
またPC-BPPVの治療後にAC-BPPVを発症することもある.
BPPV 74症例のRetrospective study
85.1%が特発性BPPV, 14.9%が外傷後BPPV.
原因半規管の割合は,
PC-BPPV 87.8% HC-BPPV 10.8% AC-BPPV 6.8% 混合が 5.4%
特発性に限ると,
PC-BPPV 87.3% HC-BPPV 11.1% AC-BPPV 3.2% 混合は1.6%
外傷後に限ると
PC-BPPV 90.9% HC-BPPV 9.1% AC-BPPV 27.3%
(Otol Neurotol 32:1285-1290, 2011.)
外傷に伴う同側のPC,AC-BPPVの同時発症の機序
PC,ACの起始部が同じであり, その部位に耳石が流入する事で同時に発症し得る.