Am Fam Physician 2000;62:2485-90,
Endocrinol Metab Clin N Am 2006;35:687-98,
Top Emerg Med 2001;23(4):44–50
Endocrinol Metab Clin N Am 2006;35:687-98,
Top Emerg Med 2001;23(4):44–50
Myxedema comaはHypothyroidismの0.1%のみと稀だが,
死亡率は治療を行っても20%を超える
治療無しでは80%に及ぶとされる.
女性に多く, 男女比は1:5-10, 高齢者で多い傾向. >80%が60yr以上.
5%が甲状腺原発ではなく, 下垂体, 視床の異常によるものとされる.
⇒ THSが正常 ~ 低値である場合がある
FT4は低いのは当然だが, この場合T3も低値(<25ng/mL)となる
Myxedema comaの身体所見
意識障害
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心血管系; 徐脈.
早期ではdBP上昇. 晩期で低血圧, |
低体温
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脱毛症
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Myxedematous face; 全体の腫脹.
巨大舌, 眼瞼下垂, 眼周囲浮腫, 粗く, まばらな毛髪 |
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膀胱膨満, 緊張性の低下
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腱反射の遅延
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消化管; 蠕動運動低下,
腹部膨満, 麻痺性イレウス, 便秘, Myxedema megacolon |
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乾燥, 冷たい皮膚
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Nonpitting edema
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低換気
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Myxedema Comaでは全患者が程度の差はあれ意識障害を来す
昏睡~見当識障害, 認知機能障害など重いものから微細なものまで様々.
精神症状もある. 痙攣は25%で認める
低体温も多く, 80%の患者がBT<35.5度となる.
血圧は初期ではdBP上昇を来すが, 晩期では低血圧となる.
徐脈, 心拍出量の低下はさらに低血圧を助長する.
頚部の手術痕は甲状腺切除後を示唆しているかもしれない.
Am Fam Physician 2000;62:2485-90, Endocrinol Metab Clin N Am 2006;35:687-98
Myxedema comaの検査所見
電解質異常;
Free water clearanceの低下を認める ⇒ 低Na(Euvolemic hypoNa)
(腎血流の低下, ADHの上昇が関与)
低血糖も代謝の低下にて生じる. 副腎不全がさらに助長することもあり
CPK上昇;
心機能低下, 徐脈, Shock, CPK上昇があると, AMIと間違えることもある.
筋骨格筋由来であり, CK-MBは上昇しない.
血液ガス所見;
通常呼吸性アシドーシスを来す.
23名のMyxedema comaの解析. (Critical Care 2008;12:R1)
87%が女性例, 平均年齢は59.5±14.4yr[30-89],
65%が冬期に発症し, 74%で敗血症を合併していた.
Primary hypothyroidが82%, Secondaryが17%.
各Lab所見; Cortisol欠乏(+)は7例で認められた
Na
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134.2±10.4 mEq/L
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118-160
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T4 (Primary)
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1.48±1.13 µg/dL
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T4 (Secondary)
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1.79±1.19 µg/dL
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TSH (Primary)
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68.9±41.5 µIU/mL
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TSH (Secondary)
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3.17±3.47 µIU/mL
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検査値は死亡率に相関せず, 臨床的重症度(SOFA, APACHE II)が予後に相関する.
ちなみに, Total-T4の0.3%, Total-T3の0.03%がFree.
11名のMyxedema coma患者の解析 (Journal of Endocrinology 2004;180:347-50)
平均年齢68.1±19.5yr[20-84]
FT4の値は平均0.27~0.24 mmol/L [0.15-0.46](正常値 0.7-1.9 mmol/L)
TSHは Primaryならば55.90~50.27 µIU/mL[28-153]
(FT4の単位が一般的ではなく, おそらくは誤植と考えれるが, 正常値の範囲がng/dLと一致しており, 同等考えても良い)
Myxedema comaの治療
ICU管理とし, 挿管が必要となることは多い
脱水, 電解質異常の補正は重要.
心血管系のMonitoringは必須;
AMIと病態が似ているため, 鑑別が重要.
さらに, Thyroid hormone補充に伴うAMI発症にも注意する.
昇圧剤, 強心剤は不整脈誘発Riskがあるため, 極力避ける.
欠乏しているThyroid hormoneの補充は必須
T4 100-500mcgをIVし, その後75-100mcg iv/dを継続.
経口摂取可能になれば切り替える. 国内ではIV製剤無し.
T4(チラーヂン®); Bioavailability 70-80%, T1/2 7d
T3(チロナミン®); Bioavailability 100%, T1/2 1d
Thyroid hormone投与について
Thyroid hormone大量投与によりAMIのRiskがある
Risk-Benefitを考慮して投与すべき.
しかしながら, Myxedema Comaの本質は非代償性の甲状腺機能低下であり, 投与することが推奨される. 投与無しでは良くならない.
迅速に組織中のThyroid hormone濃度を高める方が利点が大きい.
High Risk患者, 高齢者ではDoseを調節して投与する方が良い.
Thyroid hormoneはT4 or T3?
T3の方が作用は早い.
又、Myxedema comaではT4 ⇒ T3の代謝速度も遅くなっている.
おまけにT3はBBB通過性も良好.
ただし, Studyも乏しく, 未だ一致した見解無し.
Expert opinionでは, T4の単剤投与が推奨される.
T4の投与経路, 量は?
国内にはT4(チラーヂン®)の内服製剤のみ.
従ってNGチューブ留置し, 経腸管投与が必須.
然し, Myxedema comaでは腸管運動も減弱しており, できればIVの方が良い.
T4の初期投与量は300-600mcg(100-500mcg)とされる.
これは, 体内のT4貯蔵量が500mcgであり, 迅速に正常良まで増加させる目的.
Loading Dose後は50-100mcg/dで維持可能.
Bioavailabilityは70-80%であり, 経管投与量は125-625mcgだが, 健常人のBioavailabilityであり, 実際の血行動態は不明.(低いことが予測される.)
Expert opinionでは, 4mcg/kgの初期投与量を支持する意見もあり(継続投与量は100mcg/d)
T3を使用する場合
初期投与量は10-20mcg,
その後4hr毎に10mcg for 24hr ⇒ 6hr毎に10mcg for 1-2d. T4が経口摂取可能となるまで.
初期投与量10mcg ⇒ 8-12hr毎に10mcg投与を継続する方法もあり
結局、維持療法はT4で行うため, 最初からT4を使用した方が良い.
T4の吸収率がMyxedema Comaでさら悪化していることを考えると, 経口薬しかない日本国内ではT3の活用を考えても良いかもしれない.
その他の治療
抗生剤;
非代償性となるTriggerとして感染症は多い原因.
感染部位に応じた抗生剤投与は積極的に考慮すべき.
Steroids;
続発性甲状腺機能低下, HypopituitarismのRiskがあるため, Hydrocortisoneは副腎不全が否定されるまでは続けるべきである.
Hydrocortisone 50-100mg q6-8hrが推奨.
ステロイド投与前にRandom Cortisol Testは必須.
必要があればCRH刺激試験も考慮する.
まとめ
Myxedema Comaは知っていないと分からない. 知らないといけない病気
特に, 『高齢者』 『女性』 『意識障害』 『低体温』 『低Na血症』
があれば, Myxedema ComaのCheckを忘れてはならない.