Step 0: 予防!
Step 1: ABCの評価
Step 2: 疼痛の評価, 対応
Step 3: 不安の評価, 対応
Step 4: せん妄, 興奮の評価, 対応
Step 5: After Follow
Step 0: 予防 (N Engl J Med 1999;340:669-76)
せん妄のrisk factorに対応するだけで発症のriskは大きく低下する
認知障害, 睡眠減退, Immobility,視覚障害, 聴覚障害, 脱水の6つの要素への介入することで,
入院中のせん妄の発症率: 9.9% vs 15%
せん妄の罹患期間: 105日 vs 161日
せん妄エピソード数: 62 vs 90 と有意に改善を認める.
しかしながら, せん妄発症したPtに対しては, 再発頻度, 重症度は改善しない
認知障害への対応
Orientation: 医療スタッフの名前, その日のスケジュールを明確化する
Therapeutic: 認知機能刺激(現在の状況を議論するなど)
睡眠障害への対応
非薬剤: 就寝時の温かい飲み物, 音楽, massage
環境: 騒音の改善, サーカディアンリズムの確立
Immobilityへの対応
最小限にする。また、3回/dayでROM訓練を施行
視覚障害への対応
眼鏡などの作成, 拡大コピーしたプリントなど
聴覚障害への対応
補聴器, 特別なコミュニケーション技法
脱水への対応
早期発見と早期対応(輸液)
せん妄予防に少量のHaloperidolが有効かもしれない (Crit Care Med 2012; 40:731–739)
≥65yrで非心臓外科手術後でICU管理となった457名にて,
Haloperidol少量持続投与 vs Placeboに割り付け, せん妄の出現率を比較したDB-RCT.
Haloperidolは0.5mg IV, その後0.1mg/hrを12hr継続.
Outcome
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Haloperidol
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Placebo
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P
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ICU滞在時間(hr)
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21.3[20.3-22.2]
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23.0[20.9-25.1]
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0.024
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せん妄出現までの時間(d)
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6.2[5.9-6.4]
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5.7[5.4-6.0]
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0.021
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神経精神症状の出現頻度
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昏睡
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0.9%
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0.9%
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1.000
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せん妄
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15.3%
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23.2%
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0.031
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28d死亡率
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0.9%
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2.6%
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0.175
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Haloperidol少量持続注射はせん妄リスクを有意に低下.
死亡率や不整脈, QT間隔, 錐体外路症状, 昏睡は有意差無し.
副作用の頻度は少なく, せん妄予防として有用な方法として考えられる.
セレネース5mgをNSで希釈し, 5mg/50ccを作成.
5cc IV後, 1cc/hrで継続すればOK. かなり少量でいける.
Step 1: ABC
ABC: Airway, Breathing, Circulationの評価. 全ての基本.
低酸素や低血圧, 呼吸苦は全てせん妄の原因になり得る.
また, 発熱もせん妄の原因となり, バイタルサインの評価は絶対.
Step 2: 疼痛
疼痛の評価
疼痛, 不快な感覚に関しての質問
Pain scoreでの評価
疼痛への対応
原因が明らかならば対応
血行動態が不安定ならば
→ Fentanyl(フェンタネスト) 25-100mcg IV q5-15min
→ Hydromorphone() 0.25-0.75mg IVP q5-15min
血行動態安定
→ Morphine(塩酸モルヒネ) 2-5mg IV q5-15min
疼痛が原因でなければStep3へ
Step 3: 不安
不安の評価
不安関しての質問 → 質問困難ならばStep4へ
鎮静のスコア化(Ramsay, SAS, RASS)
不安への対応
原因が明らかならば対応
口頭による呼びかけ
急速の興奮状態に対しては
→ Midazolam(ドルミカム) 2-5mg IV q5-15min
→ Lorazepam(ワイパックス錠)
→ Propofol(1%プロポフォール) 5mcg/kg/min 5min毎にUP
Step 4: せん妄自体に対する治療
評価
状態に関しての質問
スコア化(CAM-ICU)
対応
原因が明らかならば対応
適応があるならば
→ Haloperidol: 0.5-1.0mg IV, 必要ならば10-20min後にDouble dose, ¼量を6hr毎に投与し、維持量とする (セレネース® 5mg 注)
適応外: アルコール性, ベンゾジアセピン離脱症状, 振戦せん妄, QT延長
せん妄への薬物治療
NS(100) + ドルミカム 1A 10-20ml DIV
入眠したのを確認し, セレネース 1Aを混注し, 3時位まで持続DIV
眠れない, 再度出現するならばDose UPして対応
翌日より21時-3時までの6hrに前日に使用した薬剤の総量をDIVする
朝, 薬剤が残っているような症状が出現すれば, 減量のSignとなる
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製品名
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Dose
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副作用
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Haloperidol
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セレネース®
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0.5-1.0mg bid PO
0.5-1.0mg IM, 30-60min経過観察後, 再投与可 |
錐体外路症状
QT延長, 肝傷害 悪性症候群 |
Risperidone
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リスパダール®
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0.5mg bid
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錐体外路症状
QT延長 |
Olanzapine
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ジプレキサ®
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2.5-5.0mg daily
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Lorazepam
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ワイパックス®
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0.5-1.0mg PO, 4hr毎に再投与可
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過沈静, 呼吸抑制
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Trazodone
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レスリン®
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25-150mg PO 就寝前
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過沈静
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せん妄治療薬としてのリスペリドンとハロペリドールの効果は同等
(Neurology 1999;53:Issue 5, BEHAVE-AD trial, Psychosomatics 2004;45:297-301)
薬物治療は極力避ける方向で考えるべきであり,
治療, 患者自身, 他人に危害が及ぶ可能性がある場合, 他の治療でうまくゆかない場合に薬剤を使用する.
薬剤自体がせん妄の原因となり得ることも忘れない.
Step 5: After Follow
せん妄は数週間~数か月続くこともある. 退院後のフォローも必要
院内のせん妄患者の予後 (8つのProspective studyのMeta-analysis, N=573)
Outcome
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頻度(%)
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施設入所
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@1mo
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46.5[16-82]
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@6mo
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43.2[12-65]
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死亡率
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@1mo
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14.2[3-25]
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@6mo
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22.2[14.3-27]
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Mental state改善
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@1mo
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54.9[46-80]
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平均入院期間は20.7d (CMAJ 1993;149:41-6)