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2014年3月11日火曜日

せん妄, Delirium: 対応

せん妄への対応
 Step 0: 予防!
 Step 1: ABCの評価
 Step 2: 疼痛の評価, 対応
 Step 3: 不安の評価, 対応
 Step 4: せん妄, 興奮の評価, 対応
 Step 5: After Follow

Step 0: 予防 (N Engl J Med 1999;340:669-76)
せん妄のrisk factorに対応するだけで発症のriskは大きく低下する
 認知障害, 睡眠減退, Immobility,視覚障害, 聴覚障害, 脱水の6つの要素への介入することで, 
 入院中のせん妄の発症率: 9.9% vs 15%
 せん妄の罹患期間: 105日 vs 161日
 せん妄エピソード数: 62 vs 90 と有意に改善を認める.

しかしながら, せん妄発症したPtに対しては, 再発頻度, 重症度は改善しない

認知障害への対応
 Orientation: 医療スタッフの名前, その日のスケジュールを明確化する
 Therapeutic: 認知機能刺激(現在の状況を議論するなど)
睡眠障害への対応
 非薬剤: 就寝時の温かい飲み物, 音楽, massage
 環境: 騒音の改善, サーカディアンリズムの確立
Immobilityへの対応
 最小限にする。また、3回/dayでROM訓練を施行
視覚障害への対応
 眼鏡などの作成, 拡大コピーしたプリントなど
聴覚障害への対応
 補聴器, 特別なコミュニケーション技法
脱水への対応
 早期発見と早期対応(輸液)

せん妄予防に少量のHaloperidolが有効かもしれない (Crit Care Med 2012; 40:731–739)
≥65yrで非心臓外科手術後でICU管理となった457名にて,
Haloperidol少量持続投与 vs Placeboに割り付け, せん妄の出現率を比較したDB-RCT.
 Haloperidolは0.5mg IV, その後0.1mg/hrを12hr継続.
Outcome
Haloperidol
Placebo
P
ICU滞在時間(hr)
21.3[20.3-22.2]
23.0[20.9-25.1]
0.024
せん妄出現までの時間(d)
6.2[5.9-6.4]
5.7[5.4-6.0]
0.021
神経精神症状の出現頻度



 昏睡
0.9%
0.9%
1.000
 せん妄
15.3%
23.2%
0.031
28d死亡率
0.9%
2.6%
0.175

Haloperidol少量持続注射はせん妄リスクを有意に低下.
 死亡率や不整脈, QT間隔, 錐体外路症状, 昏睡は有意差無し.
 副作用の頻度は少なく, せん妄予防として有用な方法として考えられる.
セレネース5mgをNSで希釈し, 5mg/50ccを作成.
 5cc IV後, 1cc/hrで継続すればOK. かなり少量でいける.

Step 1: ABC
 ABC: Airway, Breathing, Circulationの評価. 全ての基本.
 低酸素や低血圧, 呼吸苦は全てせん妄の原因になり得る.
 また, 発熱もせん妄の原因となり, バイタルサインの評価は絶対.

Step 2: 疼痛
疼痛の評価
 疼痛, 不快な感覚に関しての質問
 Pain scoreでの評価
疼痛への対応
 原因が明らかならば対応
 血行動態が不安定ならば
  → Fentanyl(フェンタネスト) 25-100mcg IV q5-15min
  → Hydromorphone() 0.25-0.75mg IVP q5-15min
 血行動態安定
  → Morphine(塩酸モルヒネ) 2-5mg IV q5-15min
疼痛が原因でなければStep3へ

Step 3: 不安
不安の評価
 不安関しての質問 → 質問困難ならばStep4へ
 鎮静のスコア化(Ramsay, SAS, RASS)
不安への対応
 原因が明らかならば対応
 口頭による呼びかけ
 急速の興奮状態に対しては
  → Midazolam(ドルミカム) 2-5mg IV q5-15min
  → Lorazepam(ワイパックス錠) 
  → Propofol(1%プロポフォール) 5mcg/kg/min 5min毎にUP

Step 4: せん妄自体に対する治療
評価
 状態に関しての質問
 スコア化(CAM-ICU)
対応
 原因が明らかならば対応
 適応があるならば
  → Haloperidol: 0.5-1.0mg IV, 必要ならば10-20min後にDouble dose, ¼量を6hr毎に投与し、維持量とする (セレネース® 5mg 注)
 適応外: アルコール性, ベンゾジアセピン離脱症状, 振戦せん妄, QT延長

せん妄への薬物治療
NS(100) + ドルミカム 1A 10-20ml DIV
入眠したのを確認し, セレネース 1Aを混注し, 3時位まで持続DIV
眠れない, 再度出現するならばDose UPして対応
翌日より21時-3時までの6hrに前日に使用した薬剤の総量をDIVする
朝, 薬剤が残っているような症状が出現すれば, 減量のSignとなる

製品名
Dose
副作用
Haloperidol
セレネース®
0.5-1.0mg bid PO
0.5-1.0mg IM,
 30-60min経過観察後, 再投与可
錐体外路症状
QT
延長, 肝傷害
悪性症候群
Risperidone
リスパダール®
0.5mg bid
錐体外路症状
QT
延長
Olanzapine
ジプレキサ®
2.5-5.0mg daily
Lorazepam
ワイパックス®
0.5-1.0mg PO, 4hr毎に再投与可
過沈静, 呼吸抑制
Trazodone
レスリン®
25-150mg PO 就寝前
過沈静

せん妄治療薬としてのリスペリドンとハロペリドールの効果は同等
(Neurology 1999;53:Issue 5, BEHAVE-AD trial, Psychosomatics 2004;45:297-301)

薬物治療は極力避ける方向で考えるべきであり, 
治療, 患者自身, 他人に危害が及ぶ可能性がある場合, 他の治療でうまくゆかない場合に薬剤を使用する.
薬剤自体がせん妄の原因となり得ることも忘れない.

Step 5: After Follow
せん妄は数週間~数か月続くこともある. 退院後のフォローも必要
院内のせん妄患者の予後 (8つのProspective studyのMeta-analysis, N=573)
Outcome
頻度(%)
施設入所
@1mo
46.5[16-82]

@6mo
43.2[12-65]
死亡率
@1mo
14.2[3-25]

@6mo
22.2[14.3-27]
Mental state改善
@1mo
54.9[46-80]
 平均入院期間は20.7d (CMAJ 1993;149:41-6)

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