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2014年3月13日木曜日

急性心筋梗塞と心原性脳梗塞の関係

一週間前に急性心筋梗塞(前壁梗塞)を起こした患者さんが, 突如の痙攣を認め, 脳MRIで多発性の皮質梗塞を認めた症例.

脳梗塞は心原性のEmboliが疑われたが, 心房細動は認められていない.
頸部血管も問題無し. どこからEmboliが飛んだのか?
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AMI, 特に前壁梗塞ではLV血栓を合併することが知られている
 心原性脳梗塞の大半がAfに由来するものだが, 2-3%はAMI後のLV血栓症に由来するもの.
 1/3がAMI発症後24hr以内に発症し, 1/3が1d-7dで発症する.
(Stroke. 1999;30:2679-2682)

 MI発症後のLV不全でもLV血栓症のRiskとなり, そのような患者群での脳梗塞発症riskは1.5%/yr.
 特に, 高齢者, LV-EF低下, アスピリン内服無しが発症Risk上昇に関与
 
MI後のLV不全のある2231名のCohort study (N Engl J Med 1997;336:251-7)
心原性脳梗塞のリスク因子
Risk
RR
Risk
RR
LVEF; 5%低下毎
1.18[1.02-1.36]
抗凝固薬(+)
0.19[0.13-0.27]
年齢; 5yr増加毎
1.18[1.05-1.33]
アスピリン使用
0.44[0.29-0.65]


AMIとLV血栓症, 脳梗塞 (Br Heart J 1984;51:553-6)
 53名の前壁梗塞中, 28.3%(15名)でエコー上LV血栓(+). その内, 5名がStrokeを合併した.
 また, 28名の下壁梗塞患者ではLV血栓は認められず.
 LV血栓(+)患者全員がエコーにて心尖部のAkinesis(+)であり, 心尖部の壁運動が血栓形成に関与している可能性がある

AMI発症後<72hrの100名でTranscranial Dopplerを行い, Microemboliを評価 (Stroke. 1999;30:2679-2682)
 53名が前壁, 47名が下壁梗塞.
 Microemboliは17名で検出. 前壁梗塞の24.5%, 下壁梗塞の8.5%.
 Microemboli(+)群は有意にLV-EFの低下が大きい(22.8% vs 3.3%, o=0.019)
 また, LV血栓(+)率が高い(75.0% vs 14.6%, p=0.019)
 8日間でStrokeを来したのは3名のみ. 全例が前壁梗塞, LV-EF低下, LV壁運動の低下(+)を満たしていた.

造影MRIによるLV血栓の評価 (Circulation. 2002;106:2873-2876)
 AMI, OMI, 心筋症でMRI評価.
 造影MRIにて黒く抜ける像が血栓.

 12/57でLV血栓(+).
 LV血栓はEnd-diastolic volが大きい患者, EFが低値な患者, 壁運動が低下, 壁造影が遅延している患者, 心室瘤を形成している患者で有意に多い.

AMI患者のStroke合併リスクスコア (Am J Cardiol 2012;110: 628 – 635)

GRACE databaseより, 63118名のACS患者の解析.
うち217例が入院中に脳梗塞を発症(0.35%)
Stroke発症のリスクとなる因子;
GRACE risk nomogram
年齢, 体重, 不整脈, 血圧, 心不全, ST変化等でスコアを計算し, リスクを評価.

では, 急性前壁梗塞間じゃにおいて, LMWHの投与は予後を改善させ得るのか?
FRAMI study; 急性前壁梗塞患者776名のDB-RCT (J Am Coll Cardiol 1997;30:962–9)
Dalteparin 150IU/kg SC q12hr vs Placebo群に割り付け, 7-11dでのLV血栓(エコーで評価), 動脈塞栓のRiskを評価. 追跡率は67%.

Outcome
Dalteparin
Placebo

LV血栓+塞栓症
14.2%
21.9%
P=0.03
LV血栓のみ
13.8%
21.9%
P=0.022
塞栓症
1.0%
1.3%
NS
Major hemorrhage
2.9%
0.3%
P=0.006

LV壁運動障害が著明なほど, LV血栓のriskも上昇する.
DalteparinはAMI後のLV血栓形成, 塞栓症予防に有用だが, 反面, 出血リスクも上昇させてしまう. 死亡率は両者で有意差無し.

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