Ann Rheum Dis 2006;65:564-72
原因不明の炎症性疾患. しばしば不明熱の原因となる
1日1回, 1日2回のSpiking Fever, 一過性のRash, 関節炎, 多臓器症状を来すのが特徴的.
女性での発症が男性をわずかに上回り(60%), 3/4は16-35yrでの発症.(25yr[16-65]). 27%は35yr以降の初発となる.
日本からの報告では, 67%が35yr以降の発症であり, 65-70%が女性.
原因は不明. HLA-B17, B18, B35, DR2は発症RR 2.1-2.9との報告.
感染症がトリガーとなる可能性も示唆されている.
Th1 cytokine(IL2, IFNγ, TNFα)の上昇が認められており, AOSDとの関与が推測されている
AOSDの所見
各症状, 所見の頻度
Spiking fever, Rash, Arthritis/arthralgiaが3徴.
発熱は通常4hr以内の持続で, 1日1回 or 2回の発熱パターンをとる. 夕〜深夜の発熱が多い.
典型的な皮疹は一過性のSalmon-pink, maculopapular eruption. 体幹や四肢の近位部に多く, 衣服に隠れていることが多い.
所見
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頻度
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所見
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頻度
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咽頭痛
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35-92%
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リンパ節腫脹
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32-74%
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筋肉痛
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12-84%
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皮疹
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51-94%
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発熱
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95.7%[82-100]
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脾腫
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14-65%
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関節炎
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68-100%
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胸膜炎
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12-53%
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関節痛
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11-100%
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心膜炎
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10-37%
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関節炎は様々; 膝, 手首, 肘, 肩, DIP, PIP, MP, 顎関節など. 対称性が多い.
関節
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頻度
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関節
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頻度
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膝
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69-82%
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MCP
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35-42%
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手首
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67-73%
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MTP
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11-18%
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足首
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38-55%
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股関節
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7-11%
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PIP
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44-47%
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DIP
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9-10%
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肘
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29-44%
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PIP
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0-3%
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肩
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24-40%
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TMJ
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3-4%
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血液所見では炎症反応, 肝酵素上昇など.
フェリチンが著明高値を示し, >=5ULNはSn 80-82%, Sp 41-46%でAOSDを示唆する所見.
骨所見は早期には認められないことが多い. 手関節, IP関節の癒合など.
AOSDのPET/CT所見 Mod Rheumatol, 2014; 24(4): 645–650
7例のAOSD患者でPET/CTを施行.
また, 7例の症例報告例のデータも合わせて評価.
集積部位は, 骨髄 100%, 脾臓 90.9%, リンパ節 80.0%, 関節 75.0%
骨髄はびまん性に集積し, 特に全脊椎への集積は全例で認めた.
リンパ節もびまん性だが, 左右非対称性のこともあった.
他に心外膜(2), 胸膜(1), 唾液腺(2), 眼瞼(1), 筋(1), 大血管(1)への集積例あり.
AOSDの診断Criteria
Yamaguchi criteria
Sn 93.5% |
Cush criteria
Sn 80.6% |
Fautrel criteria
Sn 80.6%, Sp 98.5% |
Major
関節痛 >2wk 間欠的な39度以上の発熱 >=1wk 典型的な皮疹 WBC>10000(顆粒球>80%) |
2 pt
1日1回の発熱 >39度 一過性の典型的なRash WBC>12000 + ESR>40mm/hr RF, ANA陰性 手根骨癒合 |
Spiking fever>39
関節痛 一過性の紅斑 咽頭痛 PMN>=80% Glycosylated ferritin=<20% |
Minor
咽頭痛 リンパ節腫大 and/or 脾腫 肝酵素異常 ANA, RF陰性 |
1pt
発症年齢が35歳未満 関節炎 咽頭痛の前駆症状 網様系の浸潤 or 肝酵素異常 滑膜炎 頸部, 手根骨癒合 |
丘疹
WBC>10000/µL |
除外; 感染, 悪性腫瘍, リウマチ疾患
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Probable; 12wk観察で10pt
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4 major or 3 major + 2 minor
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2つ以上のMajor, 計5つ満たせば診断
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Definite; 6mo観察で10pt
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経過, 予後
経過はパターンにより分けられる.
Self limited or monocyclic pattern; 大半が1yr以内に寛解(平均9mo)
Intermittent or polycyclic systemic pattern; 寛解後に症状を繰り返す. 全身症状が主で関節症状は強くない.
Chronic articular pattern; 関節症状が強く, 関節破壊を来す. 67%の患者が28mo[13-60]以内に関節置換を必要とする. 最も機能予後が不良なパターン.
AOSDの治療
治療はNSAID, ステロイドによる症状緩和.
NSAIDだけで病状コントロールできるのは7-15%のみ.
76-95%の患者がステロイド投与を必要とする. また, 46%がステロイドによる維持療法を必要とする.
Self limited patternでは57%, Intermittent patternでは67%, Chronic articular patternでは77%がPSL投与を必要とする.
ステロイドへの反応性が低い場合はパルス療法も考慮.
MTX 11.5(3.6)mg/wkはSteroid sparing drug, Steroid抵抗性に対する薬剤として期待できる.
他にはIVIG, TNF阻害薬が有用との報告.
Hospices Civils de Lyon(フランス)で1998-2010年に診断した成人Still病57例の解析
Medicine 2014;93: 91–99
男性27例, 女性30例. 平均年齢は36歳[16-75]. 発症〜診断まで平均4ヶ月[1-312m]であった.
経過はMonocyclicが30%, Polycyclic 44%, Chronic 26%
母集団; 経過と症状, 所見の頻度
治療選択と寛解時の治療薬
初回はステロイドとNSAID, 2nd lineとしてMTXを用いる事が多い.
ステロイドとMTXの併用で寛解となる例が多い.
予後因子