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2014年11月11日火曜日

心房細動 治療: Rateコントロールについて

心房細動の治療: Rateコントロールについて
心房細動のリスク因子はこちら
心房細動と脳梗塞リスクについてはこちらを参照
心房細動 治療: Rate vs Rhythmコントロールはこちら
心房細動 治療: Rateコントロールについてはこちら
心房細動 治療: Rhythmコントロールいついてはこちら
心房細動と心不全はこちら

Rateコントロールの目標
 平均HR=<80bpm
 安静時60-80bpm, 中等度運動時90-115bpm (ACC/AHA/ESC)
 24hrホルターECGにて平均HR=<100bpm
 年齢調節HR推定値の上限の110%を超えない

 6分間歩行にてMax HR=<110bpm

ただし, HR目標達成がGood outcomeとは限らない
AFFIRM studyのSubanalysis (Am J Cardiol 2004;93:1247-1253)
 Rate Control群で来院時, 2Mフォロー時にAf持続していた680名
 安静時HR, 6min歩行後のHRを評価
安静時HR達成 vs 全体
 全死亡 or 心血管疾患による入院 HR 0.95[0.85-1.06]
 全死亡Risk HR 1.03[0.88-1.22]
運動時HR達成 vs 全体
 全死亡 or 心血管疾患による入院 HR 0.98[0.84-1.15]
 全死亡Risk HR 1.22[0.95-1.57]
QOLに関しても, 安静, 運動時HRとの相関は認められなかった
 無理に目標値を達成する必要はなく, 自覚症状, 副作用を考慮し, 調節する方法も可と考えられる.

RACE II trial; Permanent Af患者614名のRCT  N Engl J Med. 2010 Apr 15;362(15):1363-73.
 Lenient control(安静時HR<110bpm) vs Strict control(安静時HR<80, 中等量の運動時HR<110)
 患者; =<80yr, 12mo以上Afが持続, 安静時HR >80, 抗凝固中
 アウトカム; 2yr(Max 3yr)フォローし, 心血管イベント, HF, 死亡率を比較.
 Target達成時, 薬剤再調節時にはHolter ECGを施行し, 徐脈をCheck.
Outcome;
 Target達成率は97.7% vs 67.0%とLenient群で良好.
Outcome
Lenient
Strict
HR
心血管死亡
2.9%
3.9%
0.79[0.38-1.65]
心不全
3.8%
4.1%
0.97[0.48-1.96]
Stroke
1.6%
3.9%
0.35[0.13-0.92]
出血Risk
5.3%
4.5%
1.12[0.60-2.08]
失神
1.0%
1.0%

 Lenient ControlもStrictと比較してOutcomeに有意差は無い.
 全死亡率, 呼吸苦も有意差無し. StrokeはStrictでやや多い.
 又, Target達成率はLenient群で高く(当然と言えば当然), やや甘めにTarget設定しても良い

使用薬剤は
 カルシウムch阻害薬 CCB(ジルチアゼム, ベラパミル)
 β阻害薬
 ジゴキシンの3種類.
 一般的にCCBは休憩時、運動時双方に、β阻害薬は運動時、ジゴキシンは休憩時のRateコントロールに効果が高いとされる.
Lancet online first, 2011, Dec.

AFFIRMでは、薬剤の選択は医療者の主観
 β阻害薬: 心疾患で多く使用
 CCB: 肺疾患, 女性患者で多い
 Digoxin: 心筋症, 白人以外への使用が多い
初期Rateコントロールでの効果
 Beta-blocker ± Digoxin: 70%
 Beta-blocker: 59%
 Digoxin: 58%
 CCB ± Digoxin: 54%
 CCB: 38%

疾患に応じた薬剤選択 Lancet online first, 2011, Dec.
活動性があまりない場合は安静時のみのコントロールがメインとなるためジギタリス
基礎疾患として高血圧や冠動脈疾患があればβ阻害薬やCCB、心不全があればβ阻害薬かジギタリス, COPDの場合はβ阻害薬を避けるか、β1選択制のβ阻害薬を用いる.

使用薬剤とHRのコントロール
安静時にHR<80bpmを達成できているのは半数程度

中等度運動時のHRは

 単剤治療では運動時HR目標達成は困難であり, β-blockerとの併用が目標達成には重要
 安静時HR目標値達成 ≠ 運動時HR目標値達成
Am J Cardiol 2008;102:704-708

各薬剤ごとにReveiw
β阻害薬
 副作用: HF, 徐脈, 気道狭窄, PAD増悪, 低血圧, 高K血症など
 HF (Systolic dysfunction) への作用
  LVEFの改善, 酸素消費量の減少仕事許容量の増加, リモデリングの低下作用
 Atenolol; 25-100mg/d (テノーミン®)
 Bisoprolol; 2.5-10mg/d (メインテート®)
 Metoprolol; 25-200mg q12hr. (セロケン®, ロプレソール®)
 心不全患者では陰性変力作用があるため, 要注意.

Af+HF患者群に対するβ阻害薬のMeta-analysisでは, Lancet 2014; 384: 2235–43 
 β阻害薬にて予後改善効果が認められるのはPaf群のみ。慢性Af群では死亡率、入院率に有意差認めなかった.
HR
Paf群
慢性Af群
全死亡リスク
0.73[0.67-0.80]
0.97[0.83-1.14]
心血管死亡
0.72[0.65-0.79]
0.92[0.77-1.10]
心血管入院
0.78[0.73-0.83]
0.91[0.79-1.04]
心血管死亡, 入院
0.76[0.72-0.81]
0.89[0.80-1.01]
HF関連入院
0.71[0.65-0.77]
0.91[0.78-1.07]
心血管死亡, HF入院
0.70[0.65-0.75]
..70[0.65-0.75]
0.90[0.79-1.03]
非致死的Stroke
1.02[0.78-1.32]
1.04[0.66-1.63]

Ca-ch阻害薬
 副作用: SA node抑制, LES圧低下
Verapamil(ワソラン®) vs Diltiazem(ヘルベッサー®)
 Rateコントロール作用 Verapamil > Diltiazem
 陰性変力作用 Verapamil > Diltiazem → 低血圧, HFに注意
 VerapamilはDigoxinの腎排泄をDown → 併用に注意

 Diltiazem; 0.25mg/kg iv, 経口では120-360mg/d 分2-3で投与
 Verapamil; 120-360mg/d 分2-3で投与

Verapamilによる低血圧を予防するにはCaを併用する
Verapamil(ワソラン®)投与による低血圧がCa製剤で予防できる可能. (Ann Pharmacother 2000;34:622-9)
 Verapamil投与で75%が血圧低下を示し, sBP<100となるのが25%.
 動物実験では, Ca製剤のIVにて, Verapamilによる心拍出量低下, 末梢血管抵抗低下を完全にリバース可能.
 ただしAV nodeの伝導速度は遅延したまま(一部改善).
Clinical trialのまとめでは,
 Verapamil投与で低下した血圧は, CaG投与にて10分以内に改善.
 CaG(米国では10%製剤で1gあたり90mgのイオン化Ca)よりもCa含有量の多いCaCl(1gあたり, イオン化Ca 270mg)を使用した場合, HRの低下具合も緩徐となる傾向がある.

結論としては, Verapamil 5mg投与前に, CaG 1g 3minかけて投与を推奨.
国内では, CaG 8.5%製剤であり, 1Vあたり78.5mgとやや少ない.

Digoxin(ジゴシン®)
 Rateコントロール作用は最弱
 特に運動時のHRコントロールが困難 → First Lineで使用する頻度は少ない
 Systolic dysfunction合併例では使用されることがある
 血中濃度測定を忘れないように!

 0.25mg iv q2hr, 1-1.5mgまでUP
 経口では0.125-0.5mg/d (維持量は0.125-0.375mg/d)
 経口 → IVに変更するときは20-25%減で開始.

急性期のRateコントロールにおけるDiltiazem vs Digoxin vs Amiodarone
Crit Care Med 2009;37:2174-9
Af患者(Rate>120bpm)で緊急入院となった150名のRCT, Diltiazem vs Digoxin vs AmiodaroneでRate Control達成を比較
 Diltiazem; 0.25mg/kg 2minでIV ⇒ 15min後 HR>90bpmならば再度0.35mg/kg bolus ⇒ その後10mg/hrで24hr持続注射
 Digoxin; 0.5mg bolus, その後0.25mg bolus q8hr
 Amiodarone; 300mg div を税所の1hr, その後10mg/kg 24hrで.
Outcome
Diltiazem
Digoxin
Amiodarone

24hr HR<90, for 4hr
90%
74%
74%

HR Control達成までの時間
3hr[1-21]
6hr[3-15]
7hr[1-18]
*P<0.0001
SR conversion
34%
24%
36%
有意差無し
Hospital Stay
3.86d
4.74d
4.66d
*P<0.05
Diltiazemは他2剤と比較し, 有意にHRコントロール, 入院期間, 症状改善度が良好
副作用は認められなかった.

さらにDiltiazemはLow−doseでもRateコントロール作用は同等.
また低血圧は少ない.
通常Diltiazemは0.25mg/kgを2分間で投与するのが基本.
180名のRapid Af患者のRetrospective study.
Diltiazem投与にて治療. 以下の3群で比較.
 Low-dose; ≤0.2mg/kg 61名 (平均0.14±0.04),
 Standard; 0.2-0.3mg/kg 83名 (平均0.24±0.02),
 High-dose; >0.3mg/kg 36名 (平均0.34±0.02).
治療反応性は同等. 低血圧頻度はHigh-doseほど多い.
American Journal of Emergency Medicine (2011) 29, 849854

Digoxinは死亡リスク因子となりえる
カナダにおける1998-2012年に診断された65歳以上のAf患者のRetrospective cohort. (Am J Cardiol 2014;114:401-406)
 HF合併例39512例, HF非合併例100599例
 Digoxin使用例 vs 非使用例をPropensity score matched analysisで比較 (各々, HF合併例 13986例, 非合併例 23131例で比較)
アウトカム: Digoxin使用と死亡リスク(HR)
 HF合併群では, HR 1.14[1.10-1.17]
 HF非合併群では, HR 1.17[1.14-1.19]と, 有意にDigoxin使用で死亡リスクが上昇する結果.

奥の手? マグネシウム
Mgの心臓への主な影響は心房, AV nodeの不応期延長 ⇒ Afに対してのRhythm, Rateコントロール双方に有用
A⇒His伝導を選択的に延長し, His ⇒ V, V ⇒ A伝導には影響しない
Reentry回路では Anterograde slow pathwayを優先的に抑制 ⇒ PSVTではAVNRTの方がRhythm Conversion効果高い (Am J Cardiol 2007;100:1249-53)

低MgはAf患者の20-53%に認められる
 心臓手術後では特に多い ⇒ MgSO4の予防的投与(後述)
投与量は2-4gを5minでIV

AfのRate, Rhythmコントロールに対するMgSO4の効果 (Am J Cardiol 2007;99:1726-32)(Meta-analysis; vs Placebo, Ca-ch blocker, amiodarone)

OR

OR
Rate Control(<100bpm)
Rhythm Control
 vs Placebo
2.97[1.73-4.37]
 vs Placebo
1.56[0.86-2.85]
 vs CCB
0.22[0.08-0.81]
 vs CCB
6.34[2.41-16.66]
Rhythm or Rate Control
 vs Amiodarone
0.71[0.34-1.47]
 vs Placebo
5.50[3.01-10.05]
Outcome達成までの時間(hr)
 vs CCB
1.75[0.43-7.10]
 vs Control
-6.98[-9.27-(-4.68)]
副作用; 対処が必要な合併症
 Placebo, CCB, Amiodaroneと比較しても有意差認めず

Mg IVによる心臓手術後のArrhythmiaの予防効果のMeta
(Am J Med 2004;117:325-33)(Publication biasあり)
SVT(Af,AF,PSVT) RR 0.75[0.61-0.93] NNT 13
Afのみ RR 0.71[0.55-0.93] NNT 5.26
VT(VT, VF) RR 0.46[0.23-0.90] NNT 14
入院期間, AMI発症率, 全死亡率では有意差認めず
Mg投与量; 100mg ~ 2.5g, タイミングは術当日IV ~ Max 5日後

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