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2014年11月26日水曜日

間質性腎炎(2014/11/26 UpDate)

急性間質性腎炎 Acute Interstitial Nephritis
Journal of the American Society of Nephrology 1998;
Kidney International 2001;60:804-17

Am Fam Physician 2003;67:2527-34


血尿, 蛋白尿(+)患者の腎生検中, 1%で認められる
急性腎不全患者における腎生検では15%で認める所見.
間質性腎炎の原因は大きく5つに分類
 Drug hypersensitivity reactions; Abxで有名. 最も多い原因.
 Infection 
 Immune-mediated diseases 
 Glomerular disease 
 Idiopathic 

薬剤自体による沈着や, 免疫複合体による障害が主な原因.
薬剤性AIN
原因薬剤として有名なのは
 ペニシリン, セファロスポリン, Sulfonamide, NSAID
原因薬剤一覧;
β-lactam
Methicilllin, Ampicillin
Penicillin, Oxacillin,
Nafcillin, Cephalosporins
利尿薬
thiazides, furosemide
chlorthalidone, triamterene
その他のAbx
Sulfonamides, Rifampin
polymyxin, ethambutol,
tetracycline, vancomycin
erythromycin, ciprofloxacin
acyclorvir, indinavir
alpha-interferon
その他
diphenylhydantoin, cimetidine
sulfinpyrazone, allopurinol
aspirin, carbamazepine
phenindione, clofibrate
phenylpropanolamine, aldomet
phenobarbital, azathioprine
diazepam, captopril
NSAIDs
fenoprofen, indomethacin
naproxen, ibuprofen,
tolmetin, diflunisal
piroxicam, ketoprofen
diclofenac

 
Kidney International 2001;60:804-17

薬剤歴は詳細に聞くことが必要.
 NSAIDは市販薬にもあり, 薬剤として認識していない可能性がある
 NSAID中止でAINは改善するが, 他の種類のNSAID使用にて再発するため, 患者教育が重要.

感染症によるAIN
 様々な感染症でAINを来しうるが, 近年, 抗生剤が使用しやすい世の中となってからは, 感染症によるAINは減少傾向にある.
細菌性
Streptococci, Staphylococci
Diptheria, Brucella
Legionella, Campylobacter,
Yersinia.
その他
Toxoplasma, Mycoplasma,
Mycobacterium,
Rickettsia, Leishmania,
Syphilis, leptospirosis
ウイルス
CMV, EBV
Hantavirus, HCV, HSV
HIV, rubeola, Mumpus, Polyoma viurs


自己免疫疾患によるAIN
全身性, 腎の自己免疫疾患によるAIN
 有名なのはSLEであるが, その場合糸球体も侵される.
 腎移植後の拒絶反応, 糸球体腎炎, リンパ増殖性疾患, 壊死性血管炎, Plasma cell dyscrasia での報告例.
 他にはSarcoidosis, Sjogren症候群, Cryoglobulinemia, PBC, Tubulointersitial nephritis-uveitis syndromeなどで合併する.

AINの経過
 古典的には, 原因(薬剤,感染など)暴露2-3wk後に出現する腎不全で, 発熱, 皮疹, 好酸球増多, 好酸球尿を認める.
 上記特徴があればAINを強く疑わせるが, かといって, 上記特徴が無い場合はAINを否定できない.
 発熱, 皮疹, 好酸球増多の3つ揃うのは30%のみとの報告もある. β-lactamによるAINでは揃うことが多い
 暴露~発症期間は, 薬剤暴露後10-20dでの発症以外にも, すでに感作されている場合は2-3dで発症することもある.
 一方, NSAIDでは服用開始後mo-yrの単位で発症することもある

薬剤性AINでは様々な症状を呈する
 NSAIDによるAINでは, 80%がネフローゼ様の蛋白尿を伴う
 また, 発熱, 皮疹, 好酸球増多は少ない.

慢性腎不全 + AIN
 慢性腎不全にも合併し得る.
 その場合, 腎機能増悪以外の症状が認められないことがある
 慢性的な間質の線維化, 尿細管基底膜の肥厚があると, 尿中WBCが増加しない場合もある.

腎生検で診断したAIN症例133例の解析 Am J Kidney Dis. 2014;64(4):558-56
薬剤性が70%であった

全AIN
薬剤AIN
その他AIN
年齢*
58[43-70.5]
62[48-71]
49.5[37.5-59]
男性例
48%
52%
39%
皮疹*
17%
22%
3%
発熱
17%
20%
8%
乏尿
14%
17%
8%
WBC上昇
29%
29%
26%
Eo上昇*
18%
23%
6%
発熱, 皮疹, Eo上昇*
7%
10%
0
膿尿
47%
47%
45%
血尿
30%
34%
21%
尿中Eo上昇
34%
38%
15%
蛋白尿
92%
91%
95%
WBC円柱
3%
4%
06. 

全AIN
薬剤AIN
その他AIN
基礎Cre(mg/dL)
1.1[0.9-1.3]
1.1[0.9-1.2]
1.1[1-1.6]
生検時Cre
3.5[2.4-5.7]
3.8[2.6-5.9]
2.7[1.7-4.3]
ピークCre
3.8[2.8〜6.7]
4.3[3.1-7.5]
2.9[2.1-4.9]
透析
22%
24%
16%
ステロイド治療
86%
87%
84%
ステロイド期間
7.5w[4~16]
5w[3-8]
24w[10-52]
開始量(PSL)
60mg[40-60]
60mg[40-60]
55mg[20-60]
6M以内の改善



寛解
47%
46%
52%
部分的
38%
42%
30%
改善なし
14%
12%
18%
改善までの期間(wk)
12[8−24]
12[8-21]
12[4-24]
6Mでのアウトカム



正常
54%
53%
55%
CKD増悪
42%
40%
45%
ESRD
4%
7%
0

AINの原因頻度
原因



薬剤性
71%
感染症
4%
抗生剤
35%
細菌性
2%
PPI
10%
ウイルス性
1%
NSAID
7%
真菌性
1%
8%


多剤
11%
その他
4%


Reactive interstitial nepritis
2%
自己免疫疾患
20%
悪性腫瘍
2%
サルコイドーシス
9%
CVID
1%
シェーグレン
4%


TINU症候群
2%
不明
1%
MCTD
2%


Sweet症候群
1%


 感染症ではEnterococcus, E coli, adenovirus, candida
 腫瘍ではCLL, Mantle cell lymphoma
 TINU: Tubulointerstitial nephritis and uveitis
 CVID: Common variable immunodeficiency

原因薬剤の内訳
薬剤



抗生剤
49%
NSAIDs
11%
ペニシリン
20%
イブプロフェン
5%
キノロン
14%
Nabumetone
1%
セファロスポリン
5%
サリチル酸
1%
バンコマイシン
4%
セレコキシブ
1%
Sulfonamide
2%
Rofecoxib
1%
リファンピン
2%
NSAID複数併用
1%
イミペネム
2%




11%
PPIs
14%
アロプリノール
2%
オメプラゾール
12%
シメチジン
1%
Esomeprazole
1%
Creatine supplement
1%
Rabeprazole
1%
Hydrochlorothiazide
2%


リシノプリル
1%
併用
15%
メサラミン
1%
Abxと他
10%
Oimesartan
1%
他薬剤併用
5%
レナリドミド
1%


Risedronate
1%

AINの検査
特異的な検査は無く, Gold standardは腎生検となる.
 AINが疑わしく, 薬剤や原因治療をしても改善しない場合, 腎生検が推奨される.
 また, AINか否か判断できず, 原因薬剤が中止できない場合も腎生検の適応.
 Evidenceは無いが, Cre, BUNの上昇はAKIと比較して緩徐 (腎毒性の薬剤, SepsisによるAKI)

尿検査所見
 尿検査ではU-WBC, WBC-cast.
 RBCは認められるが, RBC-castは非常に稀.
 好酸球増多や, 尿中好酸球(>1%)は診断に有用な所見.
 尿中好酸球はSn 40%, Sp 72%, PPV 30%でAINの診断に有用.
 検査はWright’s stainとHansel’s stainがあるが, 後者の方が有用
 他に尿中好酸球(+)となる疾患は, Prostatitis, 急速進行性糸球体腎炎, Renal atheroembolic disease, 膀胱癌.

尿蛋白の程度は様々だが, 大半が<1g/24hr.  NSAIDによるAINの様に, 糸球体障害も合併すると, 蛋白尿は増悪する.
 NSAIDによるAINでは70-80%がNephrotic syndrome.
 他にはRifampicinによるAINで多い.
 Oliguriaの頻度は印象的には<20%と少ないが, 50%に及ぶとの報告もある.
 血尿はMacroscopicであることが多いが, RBC円柱は稀.
 一方で, WBCはWBC castを伴うことが多い.
 腎不全は成人例で50%, 小児例で15%, 乏尿は50%.
 腎障害(+)中, 33%で透析を必要とする. (Methicillin-induced AIN)
 Rashは25%, 発熱は80%. 関節炎は稀. 好酸球は500-5000/mcLの範囲.
Kidney International 2001;60:804-17

生検で診断したAIN 21例の尿所見 Am J Kidney Dis. 2012;60(2):330-331 
 peak Cre値は1.4-14.6mg/dL [4.7±3.3]
 蛋白尿は90.4%で陽性であり, 0.29-12.1g/24h [1.36±2.65]
尿沈渣所見では, 
 WBC陽性 57.1%, RBC陽性 47.6%, 尿細管上皮陽性 14.2%
 RBC円柱は28.5%と稀ではなかった..

腎生検結果と尿中好酸球を評価し, 関連を評価したRetrospective study Clin J Am Soc Nephrol 8: 1857–1862, 2013.
 566例の腎生検のうち, 133例がAINであった.
 そのうち91例で尿中Eoを評価 (薬剤性が80%)
 AIN群の年齢は56.0±16.7歳, 男性51.6%, Cre値は1.12mg/dL[0.5-3.9], Peak Cre 6.64mg/dL[1.2-22.8], 蛋白尿 95%, 1.58g/24h [0.07-10.25]
 薬剤性のうち抗生剤が42.9%, NSAID 11%, PPI 7.7%
 AINの63/91(69%)が尿中Eo陰性(<1%)
腎生検結果と尿中好酸球  AIN以外にも様々な疾患で尿中Eoは上昇する.
 ATNでも上昇するため, ATNとAINの鑑別にはならない
尿中好酸球のAINに対する感度, 特異度
AIN vs 他
感度
特異度
LR+
LR(-)
U-Eo>1%
30.8%[22.2-40.9]
68.2%[63.7-72.2]
0.97
1.01
U-Eo>5%
19.8%[12.9-29.1]
91.2%[88.3-93.4]
2.3
0.9
薬剤AIN vs 他
感度
特異度
LR+
LR(-)
U-Eo>1%
35.6%[25.6-47.1]
68.2%[63.9-72.2]
1.1
0.9
U-Eo>5%
23.3%[15.1-34.2]
91.2%[88.3-93.4]
2.6
0.8
AIN vs ATN
感度
特異度
LR+
LR(-)
U-Eo>1%
30.8%[22.2-40.9]
71.0[59.4-80.4]
1.06
0.97
U-Eo>5%
19.8%[12.9-29.1]
91.3%[82.3-96.0]
2.3
0.9
薬剤AIN vs ATN
感度
特異度
LR+
LR(-)
U-Eo>1%
35.6%[25.6-47.1]
71.0%[59.4-80.4]
1.2
0.9
U-Eo>5%
23.3%[15.1-34.2]
91.3%[82.3-96.0]
2.7
0.8
 5%を超えるならばそれなりに価値があるが, 1%程度では評価するだけ無駄という結果.

Gaシンチ
国内では間質性腎炎の評価にGaシンチがよく行われる.
 厚生労働省の間質性腎炎指針にも明記されているが, 引用文献が書いていない!
 唯一, 急性腎不全患者における, 急性尿細管壊死と急性間質性腎炎の鑑別にGaシンチが有用とのStudyはある(Sn100%, Sp84%). Clin Nephrol 1985; 24:84-7.
 腎盂腎炎, 間質性腎炎, ループス腎炎で取り込み増加との報告もあり, 結局のところ, AINの確定も除外もできない.
 炎症性 vs 非炎症性の腎障害 との鑑別有用との解釈が正しい.

病理所見
間質への炎症性細胞浸潤を認める
 びまん性, 局所性の浸潤パターンをとる.
 炎症性細胞はT-cell, Monocyte, Plasma cell, Eosinophilが混在. 
 薬剤性AINではGranulomaを形成することもある.
 Immunofluorescence染色は通常陰性.
 尿細管基底膜はIgG, IgM染色でLiner, granularに染まることも.

診断フローチャート. Am Fam Physician 2003;67:2527-34
基本的に経過観察で改善無い場合には生検を考慮
生検が困難な場合はGaシンチ, 超音波検査にて炎症性かどうかを評価する

高齢者(≥65歳)と18−64歳のAINの比較 
Clinical characteristics, causes and outcomes of acute interstitial nephritis in the elderly. Kidney Int. 2014 sep.3
 臨床所見は両者でさほど差はないが, 高齢者では薬剤性が87%と多い(vs 64%)。
 反対に自己免疫性、感染性は少ない傾向となる
 また、原因薬剤も高齢者ではPPIが20%と多い(vs 9%)

PPIによるAINと抗生剤によるAINを比較すると,
 PPIによるAINではより発熱、皮疹を認める割合が少ない傾向にあった.
PPIによるAINではPPI投与期間は10−800日と様々 (BMJ 2010;341:c4412)

Case control studyでは, PPIのCurrent userのAIN発症率は12/10万人年.
高齢者ほど発症頻度も高い傾向にある Kidney International (2014) 86, 837–844 


AINの治療
基本は支持療法.
 原因薬剤の中止, 感染症の治療.
 原因が除去されれば数週の単位で改善する. 平均1.5ヶ月(薬剤性).
 薬剤中止でも改善しない場合, 腎不全の進行が急速な場合, 自己免疫性が関与している場合, 生検でびまん性の障害を認める場合は薬剤治療が必要となる
 
薬剤性のAINでは, 免疫抑制療法前に腎生検をすべき
 → 診断の確定, 治療前の評価目的
  線維化が強い場合は薬剤の効果が期待できない.

PSL 1mg/kg/dから開始されるのが多い.
また, AINに対する薬剤治療では殆どRCTが無い.

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