子宮内膜症 Obstet Gynecol Sci 2014;57(2):172-175, .Ann of Surgery 1960;151:903-909
妊娠可能年齢女性の5-15%で子宮内膜症を認める.
骨盤内臓器の内膜症が最も多い(卵巣, ダグラス窩, 骨盤腹膜)
骨盤腔外で生じる内膜症をExtrapelvic endometriosisと呼び, 消化管や尿路, 胸腔内, 臍部, 腹壁やCNS, 骨などで認める.
それら異所性子宮内膜症では大きさよりも部位で症状が決まる.
このなかで鼠径部での子宮内膜症をInguinal Endometriosisと呼び, ヘルニアなどの疾患との鑑別が重要となる.
骨盤内臓器の内膜症が最も多い(卵巣, ダグラス窩, 骨盤腹膜)
骨盤腔外で生じる内膜症をExtrapelvic endometriosisと呼び, 消化管や尿路, 胸腔内, 臍部, 腹壁やCNS, 骨などで認める.
それら異所性子宮内膜症では大きさよりも部位で症状が決まる.
このなかで鼠径部での子宮内膜症をInguinal Endometriosisと呼び, ヘルニアなどの疾患との鑑別が重要となる.
Inguinal Endometriosis .Ann of Surgery 1960;151:903-909
鼠径部の子宮内膜症であり, 主に円靭帯の腹膜外部位での子宮内膜症.
鼠径部の腫瘤形成, 鼠径痛を呈し, しばしばヘルニアや腫瘍性疾患との鑑別において重要となる.
1000例の子宮内膜症の評価では, Inguinal Endometriosisは34例であった.
516例の評価では, Inguinal Endometriosisは4例. そのうち3例は円靭帯の鼠径側であり, 1例はNuck管であった.
3250例の子宮内膜症のうち26例(0.8%)が円靭帯, そのうち13例は腹膜外領域であった.
958例中6例がInguinal Endometriosis(0.6%) (Obstet Gynecol 1991;78:191)
鼠径部の子宮内膜症であり, 主に円靭帯の腹膜外部位での子宮内膜症.
鼠径部の腫瘤形成, 鼠径痛を呈し, しばしばヘルニアや腫瘍性疾患との鑑別において重要となる.
1000例の子宮内膜症の評価では, Inguinal Endometriosisは34例であった.
516例の評価では, Inguinal Endometriosisは4例. そのうち3例は円靭帯の鼠径側であり, 1例はNuck管であった.
3250例の子宮内膜症のうち26例(0.8%)が円靭帯, そのうち13例は腹膜外領域であった.
958例中6例がInguinal Endometriosis(0.6%) (Obstet Gynecol 1991;78:191)
外科的治療された子宮内膜症947例の部位 Ann of Surgery 1960;151:903-909
女性器
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計905
|
消化管
|
35
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泌尿器
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3
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子宮頸部
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46
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虫垂
|
15
|
膀胱
|
1
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子宮漿膜
|
54
|
虫垂漿膜
|
2
|
膀胱周囲組織
|
1
|
子宮
|
69
|
直腸
|
2
|
子宮周囲組織
|
1
|
子宮傍結合組織
|
25
|
結腸
|
2
|
|
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子宮筋層
|
9
|
S状結腸
|
11
|
Inguinal Endometriosis
|
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卵管
|
64
|
盲腸
|
1
|
円靭帯(腹膜外)
|
4例
|
卵巣
|
555
|
小腸, 大腸
|
1
|
|
|
卵巣, 卵管, 子宮漿膜
|
44
|
胆のう
|
1
|
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|
子宮広靭帯
|
5
|
|
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|
|
円靭帯(腹膜内)
|
1
|
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|
子宮仙骨靭帯
|
18
|
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膣直腸部位
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1
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膣
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12
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会陰
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1
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骨盤内臓器
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1
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Inguinal Endometriosisの原因
鼠径部の子宮内膜症の機序には先天性, 化生, 直接浸潤, 転移, Implantationの5つの機序がある
先天性: 発生途中にMullerian, Wolffian管より内膜組織が生じる
Metaplasia(化生): ホルモン, 炎症, 外傷の影響で, 腹膜鞘状突起に繋がる中皮細胞, 血管に繋がる内皮細胞から生じる
直接浸潤: Abdominal ring内の腹膜子宮内膜症が鼠径部に広がる
転移: 子宮での内膜症が血管やリンパ管を介して転移する
Implantation: ヘルニア嚢内へ月経が逆流することで生じる
Inguinal Endometoriosis 20例の解析 手術治療した20例のうち, 術前に子宮内膜症と診断されたのは7例のみであった.
ヘルニア(9), 鼠径リンパ節腫大(2), Nuck管水腫(1), 骨髄炎(1), 原因不明の腫瘤(2), 診断なし(4)
症状頻度(手術治療なので腫瘤形成が多いことは想像できる)
鼠径部の子宮内膜症の機序には先天性, 化生, 直接浸潤, 転移, Implantationの5つの機序がある
先天性: 発生途中にMullerian, Wolffian管より内膜組織が生じる
Metaplasia(化生): ホルモン, 炎症, 外傷の影響で, 腹膜鞘状突起に繋がる中皮細胞, 血管に繋がる内皮細胞から生じる
直接浸潤: Abdominal ring内の腹膜子宮内膜症が鼠径部に広がる
転移: 子宮での内膜症が血管やリンパ管を介して転移する
Implantation: ヘルニア嚢内へ月経が逆流することで生じる
Inguinal Endometoriosis 20例の解析 手術治療した20例のうち, 術前に子宮内膜症と診断されたのは7例のみであった.
ヘルニア(9), 鼠径リンパ節腫大(2), Nuck管水腫(1), 骨髄炎(1), 原因不明の腫瘤(2), 診断なし(4)
症状頻度(手術治療なので腫瘤形成が多いことは想像できる)
鼠径腫瘤
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19例
|
疼痛, 圧痛あり
|
14
|
月経に関連
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11
|
月経で腫大
|
4
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月経で血性分泌物あり
|
1
|
右側
|
17
|
左側
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2
|
両側
|
1
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腫瘤を認めず, 疼痛のみは1例であった
1896年から症例報告された82例を解析 Southern Medical Journal 2009;102:206-7
平均診断年齢は38歳.
最も多い症状は鼠径部の1-3cmの腫瘤.
右側が94%を占める
最も多い症状は鼠径部の1-3cmの腫瘤.
右側が94%を占める
Inguinal Endometriosisのエコー所見 J Ultrasound Med 2010; 29:105–110
エコーでは嚢胞状や充実性でLow echo様と様々
内部の隔壁や血流エコーも様々.
内部の隔壁や血流エコーも様々.
CTやMRIも診断には有用.
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報告例は全て外科症例であり, 組織的に証明された例のみであるため, 腫瘤形成例も多い.
疼痛のみといった軽症例も多いはずであり, その辺の評価はまだされていない.
女性の鼠径部痛を見た際は鼠径ヘルニア, スポーツマンヘルニアに加えて考慮すべき疾患と考えられる.