(Am J Manag Care 2001;7:S433-43)
成人の1%で発症する自己免疫性疾患 (primary SSは0.09-0.6%)
他の自己免疫性疾患と同様, 女性で多く, 男女比 1/9.
30-60歳台の中年発症例が主.
自己免疫性疾患を伴わないPrimary, RA, SLEなどの自己免疫性疾患に伴うSecondaryに分類される.
それぞれ割合は同等. SecondaryではRAが最も多い.
RAの約20%にSSが合併するとの報告もあり.
Primaryでも45%に甲状腺炎, 72%でPBC合併例があるとの報告あり.
日本国内のSurvey (Mod Rheumatol, 2014; 24(3): 464–470)
4729の科(内科, 眼科, 耳鼻科, リウマチ科, 口腔外科)で調査
回答は1084科(23%)から得られた.
日本国内のSS患者数の推定は68483例.
SS 2195例を解析した結果, 年齢は60.8±15.2歳.
69.7%が50-79歳の間に含まれていた. 女性が94.2%を占めていた.
Primaryが58.5%, Secondaryが39.2%.回答は1084科(23%)から得られた.
日本国内のSS患者数の推定は68483例.
SS 2195例を解析した結果, 年齢は60.8±15.2歳.
69.7%が50-79歳の間に含まれていた. 女性が94.2%を占めていた.
二次性にはRA, SLE, SScの3つで3/4を占める
外分泌腺の障害による口腔内乾燥, 涙液の低下が最も多い初期症状(発症が中年であり, しばしば閉経後の変化と誤診される).
唾液腺の腫大も認められる.
他の外分泌腺(女性器, 皮膚, 鼻, 気管, 食道)にも侵襲あり.
組織学的にはリンパ球, 単球, 形質細胞浸潤を認める炎症変化.
リンパ球はCD4+ cellが主. CD8+ cellの3倍多く浸潤している.
他に, 腺管細胞の壊死, M3 muscarinic recptorに対する自己抗体の存在も, 外分泌機能低下に関与していると考えられている.
最も多い眼症状はDry Eye
異物感や結膜充血, コンタクトレンズが装着できない, 羞明, 眼疲労といった訴えのこともあり.
SS患者がペットボトルを持ち歩く = 口腔湿潤剤を使用すべき
食事時には特に口渇感が増強するため, 飲水をする. 病歴聴取では重要なポイント.
口腔タンジダもSSで多い症候であり, 口腔内のヒリヒリ感などには注意.
唾液腺の腫脹も多い症候. 舌下線、顎下腺の片側, 両側の腫脹.
他の全身症状
筋骨格系; 関節炎, 筋肉痛
皮膚; 皮膚乾燥, Hypoerglobulinemic purpura, Vasculitis
肺; Xerotrachea, Pulmonary infiltrate
消化器; Esophageal dysmotility, Pancreatitis, Hepatitis
腎; Renal tubular acidosis, 間質性腎炎
神経; 末梢神経障害, 脳神経障害, CNS障害
血液; Leukopenia, 貧血
Lymphoma; リンパ腫
536名のPrimary SS患者のRetrospective review.
(Medicine 2009;88: 284-293)
女性例が92.4%, 発症年齢は54y[43-64]
症状, 所見頻度.
日本国内の2195例の診断基準を満たす割合 (Mod Rheumatol, 2014; 24(3): 464–470)
外分泌腺の障害による口腔内乾燥, 涙液の低下が最も多い初期症状(発症が中年であり, しばしば閉経後の変化と誤診される).
唾液腺の腫大も認められる.
他の外分泌腺(女性器, 皮膚, 鼻, 気管, 食道)にも侵襲あり.
組織学的にはリンパ球, 単球, 形質細胞浸潤を認める炎症変化.
リンパ球はCD4+ cellが主. CD8+ cellの3倍多く浸潤している.
他に, 腺管細胞の壊死, M3 muscarinic recptorに対する自己抗体の存在も, 外分泌機能低下に関与していると考えられている.
最も多い眼症状はDry Eye
異物感や結膜充血, コンタクトレンズが装着できない, 羞明, 眼疲労といった訴えのこともあり.
SS患者がペットボトルを持ち歩く = 口腔湿潤剤を使用すべき
食事時には特に口渇感が増強するため, 飲水をする. 病歴聴取では重要なポイント.
口腔タンジダもSSで多い症候であり, 口腔内のヒリヒリ感などには注意.
唾液腺の腫脹も多い症候. 舌下線、顎下腺の片側, 両側の腫脹.
日本国内の2195例の解析(Mod Rheumatol, 2014; 24(3): 464–470)
腺症状の頻度, 眼所見の頻度, 病理所見, 検査所見頻度, 自己抗体の頻度.
27.2%がSS-A, B陰性のSeronegative SS.
他の全身症状
筋骨格系; 関節炎, 筋肉痛
皮膚; 皮膚乾燥, Hypoerglobulinemic purpura, Vasculitis
肺; Xerotrachea, Pulmonary infiltrate
消化器; Esophageal dysmotility, Pancreatitis, Hepatitis
腎; Renal tubular acidosis, 間質性腎炎
神経; 末梢神経障害, 脳神経障害, CNS障害
血液; Leukopenia, 貧血
Lymphoma; リンパ腫
536名のPrimary SS患者のRetrospective review.
(Medicine 2009;88: 284-293)
女性例が92.4%, 発症年齢は54y[43-64]
症状, 所見頻度.
症状, 所見
|
%
|
%
|
|
倦怠感
|
22.8%
|
リンパ節腫大
|
13.2%
|
発熱
|
12.9%
|
脾腫
|
2.6%
|
咳嗽
|
29.3%
|
肺病変
|
19.0%
|
Raynaud現象
|
37.3%
|
腎障害
|
8.2%
|
関節痛
|
肝障害
|
7.1%
|
|
関節炎
|
30.3%
|
自己免疫性甲状腺疾患
|
13.8%
|
Palpable purpura
|
11.0%
|
末梢神経; 感覚
|
19.2%
|
生検で皮膚血管炎
|
3.5%
|
末梢神経; 運動
|
7.3%
|
末梢神経; 脳神経
|
7.3%
|
||
筋炎
|
0.4%
|
腺組織障害頻度
腺組織障害
|
%
|
口腔症状
|
83.8%
|
眼症状
|
88.8%
|
耳下腺腫大
|
30.4%
|
Schirmer test ≤5mm/5min
|
46.3%
|
Rose bengal score>4
|
26.1%
|
Tear break-up time<10sec
|
30.4%
|
Minor salivary gland biopsy; Ly浸潤
|
66.0%
|
Primary SSと血液所見
血液障害
|
診断時(%)
|
フォロー(%)
|
血液障害
|
診断時(%)
|
フォロー(%)
|
血球減少
|
31.2%
|
27.1%
|
Ig高値(>20g/L)
|
26.3%
|
9.9%
|
Bicytopenia
|
4.3%
|
Ig低値(<8g/dL)
|
3%
|
2.8%
|
|
Pancytopenia
|
0.7%
|
Monoclonal Ig
|
3.9%
|
3.7%
|
|
貧血(Hb<12g/dL)
|
28.5%
|
16.4%
|
Cryoglobulinemia
|
8.2%
|
3.5%
|
ACD
|
20.7%
|
13.4%
|
Mixed monoclonal(type II)
|
3%
|
1.5%
|
βサラセミア
|
3%
|
0
|
Polyclonal(type III)
|
3.5%
|
1.7%
|
IDA
|
0.9%
|
0
|
C3低値(<75mg/dL)
|
8.8%
|
5.2%
|
B12/葉酸欠乏
|
0.6%
|
0.2%
|
C4低値(<10mg/dL)
|
3.9%
|
2.3%
|
自己免疫性溶血性貧血
|
0.6%
|
0.6%
|
ANA
|
68.1%
|
-
|
腎不全
|
0.4%
|
0.6%
|
SSA
|
36.6%
|
-
|
薬剤性
|
2.1%
|
1.3%
|
SSB
|
18.8%
|
-
|
白血球低下(<4000/µL)
|
14%
|
11.9%
|
anti-Sm
|
0.9%
|
-
|
薬剤性
|
4.5%
|
3.4%
|
RF
|
37%
|
-
|
好中球減少(<1500/µL)
|
2.1%
|
1.1%
|
IgM-aCL
|
9%
|
-
|
リンパ球減少(<1000/µL)
|
6.5%
|
2.6%
|
IgG-aCL
|
7.5%
|
-
|
PLT減少(<140k/µL)
|
3.7%
|
4.1%
|
|||
薬剤性
|
1.5%
|
1.1%
|
pSSの7.5%[5.4-10]にリンパ腫を併発. (40/536)
特に Neutropenia(HR 8.97[1.10-73.30]),
Cryoglobulinemia(HR 2.91[1.15-6.44)],
脾腫(HR 3.97[1.49-10.62]),
リンパ節腫大(HR 2.62[1.15-5.94]),
C4低値(HR 3.31[1.35-8.12])はリンパ腫のリスクとなる.
シェーグレン症候群とM蛋白血症 (Medicine 2005;84:90–97)
Primary SS患者を評価した4つのStudyの合計では, 433例中91例(21%)でM蛋白を認めた.
Primary Sjogren syndrome 200例とHCV関連 Sjogren syndrome 37例において, 免疫電気泳動施行
Primary SSでは18%(35)でM蛋白を検出. HCV SSでは43%(16)でM蛋白を検出.
Primary SSではIgGκ, λの頻度が高く, HCV SSではIgMκの頻度が高い.
クリオグロブリンもM蛋白陽性例の18%, 81%で陽性となった.
Primary SSにおけるM蛋白陽性 vs 陰性の比較では,
M蛋白陽性群のほうが有意にESR亢進を認めた程度の差.
シェーグレン症候群とSmall fiber neuropathy (Medicine 2013;92: e10-e18)
40例の解析; 女性例が大半であり, SS診断からSFN診断まで5-6年.
症状は焼ける様な感覚, しびれ感, 疼痛が主となる.
SFN合併症例のデータ;
SFNを合併するSSでは, RF, SS-A抗体が陰性例が多い
SSの診断
診断は臨床所見が重要.
Dry mouthは多いが, 他の原因(薬剤性, 糖尿病など)も否定すべき.
薬剤では抗ヒスタミン, Decongestant, 筋弛緩薬, 抗精神病薬が多い原因.
ウイルス感染, IMもSSと似た様な症候を示すため, 鑑別が必要.
HCV感染患者でSicca syndromeを来すことがあり, その場合, 唾液腺に異型リンパ球の浸潤を認める報告がある.
他にはHIVも鑑別必要.(Diffuse Infiltrative Lymphocytosis Syndrome)
一般的な膠原病診察 + 眼, 口腔, 頭頸部診察が診断には重要.
眼診察ではSchirmer test, Slit lamp test, 角膜所見などCheck.
Keratocunjunctivitis sicca(KCS)のCheck, Tear breakup time(BUT)の評価など.
唾液腺生検がGold standardとなる
特に悪性腫瘍が疑われる場合, Infiltrative systemic diseaseが疑われる場合は生検が重要な検査.
ANAやRFは感度は良好だが, 得意性無し.
SS-A, SS-Bはやや特異的だが, 感度はそれぞれ 30%, 15%と低い.
SS-AはSLEでも50%程度で陽性となる.
European-American Consensus Group Modification; Sn/Sp 95%
Dry eyeの症状あり
|
Dry eyeの所見あり(Schirmer test, Rose bengal exam)
|
Dry mouthの症状あり
|
唾液分泌機能試験の異常(Flow rate, scintigram, sialogram)
|
Minor salivary gland biopsy(focus score >1)
|
Autoantibodies(SS-A, SS-B)
|
診断クライテリアのValidation (Mod Rheumatol (2013) 23:219–225)
日本国内で, 694名のSS, SS疑い例を対象に厚生労働省のCriteria(JPN), The American-European Consensus Group Classification criteria(AECG), American College of Rheumatology classification criteria(ACR)の感度, 特異度を評価.
694名中, SSと診断されたのは476名(Primary SS 302, Secondary 174)
厚生労働省Criteria
AECGクライテリア
ACRクライテリア
各診断クライテリアの比較
各クライテリアの感度, 特異度
ACRが最も簡便だが, その分感度, 特異度は劣る
JPN, AECGが最も診断能が高いが, それでも感度70-80%, 特異度80-90%程度
JPNは53.8%, AECGは47.7%, ACRは49.6%のSS患者で満たす.
798例/2195はどのCriteriaも満たさない.
シェーグレン症候群の治療
SSの治療は3 phaseに分けられる.
Moisture replacement, preservation; 外分泌の補助. 口腔, 眼, 鼻, 皮膚, 女性器
Moisture stimulation; 分泌腺の刺激, Physical, 薬剤治療 (Pilocarpine, Cevimeline)
Systemic therapy; 肺病変, 血管炎, Pseudolymphomaなど全身症状に対する治療
NSAIDs, Corticosteroid, 免疫抑制剤(Cyclosporine), Cyclophosphamideなど.
分泌刺激薬はムスカリン受容体刺激するため,
喘息, 閉塞隅角緑内障, 急性虹彩炎, 心血管障害, 胆道疾患, 尿路結石症, 下痢, 潰瘍病変のある患者では投与注意.
SSではRTAからの尿管結石合併することもあり注意.
Pilocarpine, Cevimelineの2剤が使用可能
Pilocarpine
|
Cevimeline
|
|
半減期
|
~1hr
|
~5hr
|
薬効ピーク
|
1hr
|
1.5-2.0hr
|
副作用
|
発汗(40%)
悪心(10%) 鼻炎(9%) 下痢(9%) |
発汗(19%)
悪心(14%) 鼻炎(11%) 下痢(10%) |
Pilocarpine; サラジェン®
Cevimeline; エポザック®, サリグレン®
Cevimeline; エポザック®, サリグレン®
Systemic therapy
ステロイドの初期投与量はPSL 0.5-1.0mg/kg/d.
重症度に応じて,
MTX 7.5-2.5mg/kg/wk,
Cyclosporine A 2.5-5.0mg/kg/d,
Azathioprine 1-2mg/kg/d,
Cyclophosphamide 50-150mg/d と併用し, ステロイドを速やかに減量.