高脂血症の治療はスタチンが基本となり, 高用量程効果も期待できる.
ACC-AHAガイドライン2013年でもリスクが高ければ高用量でのスタチン療法が推奨されている.
ただし, スタチンでは筋肉痛やCPK上昇等副作用もあり, 高用量と出来ない患者もいる.
そのような場合, スタチンを少量, 中等量とし他の抗高脂血症薬を併用することとなるが, スタチン単剤と他薬剤併用のどちらが副作用の観点, 効果の観点から好ましいか, という結論は未だ出ていない.
Effectiveness of Combination Therapy With Statin and Another Lipid-Modifying Agent Compared With Intensified Statin Monotherapy. A Systematic Review. Ann Intern Med 2014より
【Low-, Moderate-intensity statin】と【他の抗高脂血症薬の併用 vs Higher-intensity statin】を比較した36 trialsのMeta-analysis
比較されている併用薬とStudy;
アウトカム;
一つずつみてみると
胆汁酸抑制薬(Bile acid sequestrates)の併用では,Mid-intensity statinとの併用でHigh-intensityと同等のLDL-Chol低下作用
Low-intensity statinとの併用でMid-intensityよりも良好なLDL-Chol低下作用を示すという結果(5~14%低下する).
Ezetimibe(ゼチーア®)の併用では,
Low-intensity + EzetimibeはHigh-intensityと同等.
Mid-intensityとの併用ではHigh-intensityよりも良好な低下作用.
フィブラートでは
Low, Mid-intensityとの併用でもHigh-intensity statinには勝てず.
ナイアシンでは
Mid- との併用ではHigh-intensityには勝てず, Low-との併用でもMid-intensityには勝てない結果.
まとめると,
最もLDL-Chol低下作用が良好なのは,
Mid-intensity statin + 胆汁酸抑制薬 or Ezatimibe
> High-inteinsity statin = Low-intensity statin + Ezatimibe
> Low-intensity statin + 胆汁酸抑制薬 = Mid-intensity statin + フィブラート or ナイアシン
> Mid-intensity statin
> Low-intensity statin + フィブラート or ナイアシン
> Low-intensity statin
という順序となる.
ちなみに副作用については両者で有意差無し. 脱落率も有意差ないものの,
これらStudyはどれも1-12ヶ月の短期間のstudyのみであり, 長期的な副作用は不明.
また, LDL-Chol値の比較であり, 臨床的アウトカムについても不明.
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このへんの併用薬はLDL-Cholの低下のみをアウトカムとして出しているStudyが多く,
臨床的アウトカム(心血管イベントの予防等)の比較は未だ不十分な印象がある.
今回のMetaもその数値の比較であり,
『数値的には』という前置きが必要な知識である点に注意すべきだろう.
脱落率や副作用も短期的なものが多く, もうちょっと長期的な, 臨床的アウトカムがしっかりとしたStudyが欲しい所.