剖検例の6%[1-32]で認められ, 近年CTの発達でその発見頻度は上昇している.
NEJM 2007;356:601-10
このIncidentalomaの原因頻度はアジア人のデータでは香港の139例のRetrospective studyがある
Arch Intern Med 2010;170:2017-20
男性53名, 女性86名. 平均年齢57.4yr[25.2-85.9]
平均サイズは2.5cm[0.8-19.8], 1-3cmが最多.
Incidentalomaの内訳
非機能性
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43.9%
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機能性
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37.4%
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Cortisol過多
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19.4%
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Aldosteronism
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8.6%
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カテコラミン過多
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8.6%
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Cortisol + Aldosteronism
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0.7%
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Malignant adrenal lesions
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10.8%
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Cortisol過多の27名中,
症状(+)は5名のみ(18.5%).
褐色細胞腫の12名中, HT(+)は5名のみ(42%)
悪性腫瘍性病変は15名. 原発癌が6名, 転移性腫瘍が8名, リンパ腫が1名. 大きさは2-18cmまで様々.
Incidentalomaをみつけたら, ホルモン分泌性かどうかという評価が必要となるのだが, その辺の検査はまた別項目で記載する(予定)
今回はCTによる画像検査での判別について.
CT値(HU), 大きさと悪性度; J Clin Endocrinol Metab 90: 871–877, 2005
299例の副腎摘出術より, CT値(HU)と腺腫, 非腺腫の関連を比較
Adenoma/hyperplasiaが156例, Carcinoma 15例, 転移癌 31例, 褐色細胞腫 61例, その他 28例.
副腎腫瘍の原因と腫瘍径.
Carcinomaではほぼ>5cmであるが, 転移癌では様々な大きさ.
褐色細胞腫も様々な大きさをとりえる.
原因とHU値(単純CT)
悪性や機能性腫瘍の場合HU値は高くなる傾向がある.
HUが低いのは脂肪組織が多いためであり, ≤10HUのAdenomaはLipid-rich, >10HUはLipid-poor adenomaと呼ばれる.
このStudyより, 腫瘍径の大きさとHU値によるAdenoma/Hyperplasia vs Nonadenomaの比較
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感度
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特異度
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HU≤10
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40.5%
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100%
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HU≤20
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58.2%
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96.9%
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腫瘍径≤2cm
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40.7%
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94.7%
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腫瘍径≤4cm
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81.3%
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61.4%
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HU≤20, 径≤4cm
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42.1%
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100%
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HU≤10や HU≤20且つ径≤4cmならばほぼ間違いなく腺腫と言える.
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問題点としては, HU>10となるLipid-poor adenomaの場合, Nonadenomaとの鑑別が難しくなる点.
これについては造影CTが有効である可能性が示唆されている.
Radiology 2009; 250:474–481
61例, 68の副腎腫瘍のRetrospective review (日本国内)
腺腫は53(Lipid rich 30, Lipid poor 23), 非腺腫が15
単純CT, 35秒造影CT, 5分造影CTでの所見を評価.
造影剤 2.5ml/secで100ml投与し, 造影.
造影後35秒での評価, 5分後の評価を行い, 造影効果の変化を評価した.
造影効果は以下の項目で評価;
A; attenuation. A0は単純CTのHU値, A35は造影後35秒後のHU値, A5は造影後5分後のHU値.
WI; Wash in = A35 - A0
WO; Wash out = A35 - A5
PEW; percentage enhancement wash-out ratio = WO/WI x 100
RPEW; relative PEW = WO/A35 x 100
各腫瘍と造影効果
造影CT所見のAdenoma vs Nonadenomaの比較に対する感度, 特異度
上表がLipid-rich adenomaであり, 単純CTにおいて≤10HUとなるため, 鑑別は比較的容易と言える.
これより造影5分後のHU値は高感度でありRule outに,
WO値, PEW, RPEWは特異度が高く, Rule inに有用な検査といえる.
ただし, このStudyはValidationが無い為に今後の追試が重要といえる.