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2014年2月24日月曜日

アセトアミノフェン中毒 Acetaminophen poisoning

アセトアミノフェン中毒のReview

(NEJM 2008;359:285-92)
米国では70,000件/year, 死亡数は300件
中毒パターンとしては2種類
 自殺目的に1度に大量内服する
 除痛目的に大用量を頻回に内服

中毒症状は4 stagesに分けられる
 Preclinical toxic effect; 血中ALTが正常
 Hepatic injury; ALT上昇
 Hepatic failure; 肝傷害 + 肝性脳症
 Recovery; 回復期

Preclinicalで治療開始できれば, Hepatic failureへの移行を予防可能
 ⇒ ほぼ全例救命可能である
Hepatic failureまで無治療ならば死亡率は20-40%

アセトアミノフェンの代謝, 肝障害の機序
アセトアミノフェン 通常量内服では, 90%がグルクロン抱合にて代謝
5%がCYP450 2E1にてNAPQI(N-acetyl-p-benzoquinone imine)へ代謝

この代謝産物であるNAPQIが肝毒性を示すが, 通常Glutathioneと結合して無毒化される
(Cysteine, Mercapturic acid抱合)

Overdoseの場合, Glutathioneが消費され, 欠乏することでNAPQIが増加し, 肝障害を生じる
従って, アセトアミノフェン中毒の場合, 肝障害は用量依存性に必発であると言える.
特に低栄養患者や慢性的にアセトアミノフェンを常用している患者ではGlutathioneが少ない為に肝障害を生じやすい.

治療はN-acetylcystein
AcetylcysteineはGlutathione合成作用があり, NAPQIの代謝を促進させる.

血行動態安定化作用, 酸素化改善作用が認められる
Indocyanine green代謝亢進作用が認められる (Crit Care Med 1997;25:236-42)
脳浮腫の改善効果も認められる(BMJ 1991;303:1026-9) (作用機序不明)
NACの死亡率改善 NNT 4-5 (BMJ 1991;303:1026-9)
副作用は少なく, 疑わしい症例はNAC使用もOK

治療開始に際しては, Rumack-Matthew Nomogramが有用かもしれない.
Rumack-Matthew Nomogram

一度の過量服薬に対するNomogram
内服時間, 量が分かっているのが前提
Study nomogram lineを超えるようならばNACの適応と考える
内服時間が不明な場合, 大用量を頻回に内服した場合は
Acetaminophen濃度 > 20mcg/mLでNACを投与の適応と考える(ALT正常患者において)

NACの使用法
経口投与(ムコフィリン液20%® 352mg/2mL)
140mg/kgを初回投与, 70mg/kg q4hrで, 3日間投与

経静脈投与(国内製剤無し)
Loading 150mg/kg 15-60minでDIV
維持 12.5mg/kg/hr で4hr, その後 6.25mg/kg/hr 16hr

治療期間は血中ALT, アセトアミノフェン濃度を参考にしながら調節する

妊婦への投与
Category B, 経口投与の場合, 母体, 胎児で血中濃度が同じとなる
 ⇒ Therapeutic Effectも同等 ⇒ 妊婦では経口投与が推奨される

NACの副作用
不味い ⇒ 味, 臭いが×, でも95%は飲める(Crit Care Med 1998;26:40-3)
Anaphylactoid反応IV投与患者において15%で認められる. 嘔吐, Flushingが多い
副作用による投与中断は2%のみ(Crit Care Med 1998;26:40-3)

副作用への対応(主にIV患者において)
 Flushingのみは経過観察
 じん麻疹には抗ヒスタミン
 血管浮腫, 低血圧, 気道症状には抗ヒスタミン, ステロイド, 気管支拡張薬を使用
 症状が改善しなければNACを中断し, Rateを落として再開する. 中止はしない!

小児への使用については低Na, 脳浮腫に注意する(5%TZ投与に由来)
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NACについては経口投与 vs IV投与で様々な比較がされているが,
日本国内には経口投与しかないのでその辺は割愛します