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2021年4月2日金曜日

ICUにおける透析導入: 晩期導入 vs もっと晩期導入

 重症患者におけるAKIの透析タイミングの導入については、

・早期導入: 主にKDIGO 2-3以上での導入 と、

・晩期導入: 高K血症、肺水腫、アシドーシスなど腎不全による障害が出現してから導入 

する群で今までも多く比較され, 晩期導入群の方が透析使用率は低く, そして予後は変わらない結果が主であった。

参考: ICU患者における透析導入のタイミング

今回, AKIKI2 trialという,

晩期導入 vs もっと晩期導入群に割りつけ比較したRCTが発表

(Lancet 2021; 397: 1293–300)

AKIKI 2: ICU管理となった患者で, KDIGO stage 3を満たすAKI患者を対象としたOpen-label RCT.

・対象患者群をフォローし, >72hの乏尿(<0.3mL/kg/h, または<500mL/d), BUN>112mg/dL(, <140mg/dL)を満たす群を以下の2群に割り付け, 予後を比較した.

・Delayed: 上記を満たした際に透析導入を行う

More-delayed: 緊急導入が必要な病態を認める(K血症, 代謝性アシドーシス, 肺水腫), BUN≥140mg/dLのいずれかを認める際に導入する.

母集団データ

透析時のMore-Delayed群のパラメータ

More-Delayed群における導入基準は, BUN 140mg/dL59%と最多.

 高K血症が20%, 代謝性アシドーシスが13%, 肺水腫が10%, 13%

アウトカム


RRT-free daysは両者で有意差なし

More-delayed群で実際に導入したのは79%でありおよそ2割は導入が不要となる.

・28日死亡リスクは両者で同等だが,

 60日死亡リスクは多変量解析にて有意にMore-delayed群で高い

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・早期導入群と晩期導入群(主に肺水腫や電解質異常, アシドーシスを認めてから導入)を比較した報告では予後に差はなく, 基本的にAKIにおける透析導入はこれら指標を考えて決め, BUNについては指標としないことが推奨されてきた.

・今回, More-delayedとして、BUN≥140mg/dLを基準の1つとして導入した群では, RRT導入頻度は低下するものの, RRT-free daysは変わらず, さらに60日予後の増悪が認められた. 

(140とした理由はAKIKIで採用した112の25%増として設定)

ちなみに, いままでのRCTもいくつかはBUN>100, 112あたりをCutoffとし、晩期導入群の1指標としている.

・More-delayed群の6割がBUNを基準に導入されており, 晩期導入として肺水腫や電解質異常, アシドーシスがないからといってRRT導入を長く躊躇っていると、予後が悪くなる可能性があることが示された.

やはりBUNも気にしておくべきかもしれない