重症患者におけるAKIの透析タイミングの導入については、
・早期導入: 主にKDIGO 2-3以上での導入 と、
・晩期導入: 高K血症、肺水腫、アシドーシスなど腎不全による障害が出現してから導入
する群で今までも多く比較され, 晩期導入群の方が透析使用率は低く, そして予後は変わらない結果が主であった。
今回, AKIKI2 trialという,
晩期導入 vs もっと晩期導入群に割りつけ比較したRCTが発表
(Lancet 2021; 397: 1293–300)
AKIKI 2: ICU管理となった患者で, KDIGO stage 3を満たすAKI患者を対象としたOpen-label RCT.
・対象患者群をフォローし, >72hの乏尿(<0.3mL/kg/h, または<500mL/d), BUN>112mg/dL(, <140mg/dL)を満たす群を以下の2群に割り付け, 予後を比較した.
・Delayed群: 上記を満たした際に透析導入を行う
・More-delayed群: 緊急導入が必要な病態を認める(高K血症, 代謝性アシドーシス, 肺水腫), BUN≥140mg/dLのいずれかを認める際に導入する.
母集団データ
透析時のMore-Delayed群のパラメータ
・More-Delayed群における導入基準は, BUN ≥140mg/dLが59%と最多.
高K血症が20%, 代謝性アシドーシスが13%, 肺水腫が10%, 他 13%
アウトカム
・RRT-free daysは両者で有意差なし
・More-delayed群で実際に導入したのは79%であり, およそ2割は導入が不要となる.
・28日死亡リスクは両者で同等だが,
60日死亡リスクは多変量解析にて有意にMore-delayed群で高い
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・早期導入群と晩期導入群(主に肺水腫や電解質異常, アシドーシスを認めてから導入)を比較した報告では予後に差はなく, 基本的にAKIにおける透析導入はこれら指標を考えて決め, BUNについては指標としないことが推奨されてきた.
・今回, More-delayedとして、BUN≥140mg/dLを基準の1つとして導入した群では, RRT導入頻度は低下するものの, RRT-free daysは変わらず, さらに60日予後の増悪が認められた.
(140とした理由はAKIKIで採用した112の25%増として設定)
ちなみに, いままでのRCTもいくつかはBUN>100, 112あたりをCutoffとし、晩期導入群の1指標としている.
・More-delayed群の6割がBUNを基準に導入されており, 晩期導入として肺水腫や電解質異常, アシドーシスがないからといってRRT導入を長く躊躇っていると、予後が悪くなる可能性があることが示された.
やはりBUNも気にしておくべきかもしれない