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2021年4月26日月曜日

木村病: Eosinophilic Granuloma of the Soft Tissue

木村病: Eosinophilic Granuloma of the Soft Tissue

・原因不明の慢性炎症性疾患で, 


 無痛性の頭頸部領域に多い皮下腫瘤とリンパ節腫脹


 末梢血Eo, IgE上昇,


 組織にてリンパ濾胞の過形成, 著明な好酸球浸潤を反応性の胚中心を認める病態.

・アジアの若年男性で多く報告されている.


215文献から238例の木村病をReview

・発症年齢は3-81歳. 平均年齢は男性で31歳, 女性で41歳

 
≥60歳発症は17例のみ. 最高81歳.

・男性が多く, 全体では4:1


 <20歳では17:1, 


 20-39歳では4:1

 
≥40歳では2:1

・地域ではアジアが最も多く,
 東アジア 115例, 南アジア 38例, 東南アジア 22例, 
 西アジア 16例
 他の地域は12例のみ.

・症状は無症候が75%. 掻痒感が最も多い症状.
 

 腎症を伴う例が1-2割あり, 血管炎も数%で認められる.

(QJM. 2020 May 1;113(5):336-345.)

中国のPeking Union Medical College Hospitalにおいて, 1980-2018年に診断されたKD症例46例の解析
(Clinical Rheumatology (2019) 38:3661–3667)
・男性が87%
・発症年齢は中央値27歳. 2-56歳. <50歳が8割強.
・腫瘤径は4.1cm[範囲1.0-12.0cm]
・疼痛や発赤, 熱感を伴う症例はなく,
 45.7%で掻痒感が認められた.
・色素沈着が13.0%, 粗像な皮膚変化が1例
 び慢性の掻痒感を伴う皮疹が3例
 腎疾患は3例で認められ, 全てネフローゼ症候群
 また動脈閉塞が3例(下肢, 側頭動脈)

・血液データ


木村病と血管炎, 動脈閉塞
(Mod Rheumatol Case Rep. 2021 Jan;5(1):123-129.)
・48例のケースレビューにおいて, 6例で側頭動脈炎所見が認められた.
 側頭動脈の病理では内膜に好酸球浸潤を認め, 若年性側頭動脈炎と同様の病理となる.
 >> 若年性側頭動脈炎の一部は木村病と合併, Overlapし得る.

補足: 若年性側頭動脈炎. Juvenile TA
(Semin Arthritis Rheum 39:96-107)
・Non-giant cell granulomatous TA with Eosinophilia 
・小児, 若年成人に起こる非常にRareな疾患. 平均年齢23歳[7-39]
・15例の報告例のうち, 男性例が13例と多い.
・無痛性の側頭動脈腫瘤が9例. 有痛性が6例.
・ESRは正常範囲. 好酸球増多を伴うものが4例.
・生検では血管内, 周囲の好酸球, リンパ球浸潤, 血栓閉塞など.
 巨細胞は通常陰性となる.
・側頭動脈切除のみで改善する例が殆ど. ステロイドは必要としない.

診断クライテリア

1. 小児, 成人に起こる
2. 全身症状(-) (発熱, 筋痛, 視覚障害, 貧血)
3. 無痛性の側頭動脈腫瘤
4. ESR正常
5. 好酸球性血管炎, 血栓
6. 血管中膜の破壊
7. 好中球, 巨細胞浸潤(-)

木村病と腎症
木村病では腎症, ネフローゼ症候群の合併率が高い.

 好酸球増多, 皮下腫瘤, ネフローゼの鑑別では木村病は重要
・腎生検を行なった木村病23例のLiterature reviewでは,

 MPGNが13例, 
 膜性腎症が4例,
 MCDが3例,
 FSGNが3例,

 IgA腎症が2例, 
 ATNが1例. (BMC Nephrology (2018) 19:316)
・生検では, 上記糸球体腎炎の所見に加えて
間質への好酸球浸潤が認められる報告もある
(Ren Fail. 2019 Nov;41(1):126-130.)

木村病治療
・外科的切除やステロイドが多く選択される
・ネフローゼを伴う場合は免疫抑制療法の併用も行われる.
・再発率は2-3割