木村病: Eosinophilic Granuloma of the Soft Tissue
・原因不明の慢性炎症性疾患で,
無痛性の頭頸部領域に多い皮下腫瘤とリンパ節腫脹
末梢血Eo, IgE上昇,
組織にてリンパ濾胞の過形成, 著明な好酸球浸潤を反応性の胚中心を認める病態.
・アジアの若年男性で多く報告されている.
215文献から238例の木村病をReview
・発症年齢は3-81歳. 平均年齢は男性で31歳, 女性で41歳
≥60歳発症は17例のみ. 最高81歳.
・男性が多く, 全体では4:1
<20歳では17:1,
20-39歳では4:1
≥40歳では2:1
・地域ではアジアが最も多く, 東アジア 115例, 南アジア 38例, 東南アジア 22例, 西アジア 16例 他の地域は12例のみ.
・症状は無症候が75%. 掻痒感が最も多い症状.
腎症を伴う例が1-2割あり, 血管炎も数%で認められる.
(QJM. 2020 May 1;113(5):336-345.)(Clinical Rheumatology (2019) 38:3661–3667)
・男性が87%
・発症年齢は中央値27歳. 2-56歳. <50歳が8割強.
・腫瘤径は4.1cm[範囲1.0-12.0cm]
・疼痛や発赤, 熱感を伴う症例はなく,
45.7%で掻痒感が認められた.
・色素沈着が13.0%, 粗像な皮膚変化が1例
び慢性の掻痒感を伴う皮疹が3例
腎疾患は3例で認められ, 全てネフローゼ症候群
また動脈閉塞が3例(下肢, 側頭動脈)
木村病と血管炎, 動脈閉塞
(Mod Rheumatol Case Rep. 2021 Jan;5(1):123-129.)
・48例のケースレビューにおいて, 6例で側頭動脈炎所見が認められた.
側頭動脈の病理では内膜に好酸球浸潤を認め, 若年性側頭動脈炎と同様の病理となる.
>> 若年性側頭動脈炎の一部は木村病と合併, Overlapし得る.
補足: 若年性側頭動脈炎. Juvenile TA
(Semin Arthritis Rheum 39:96-107)
・Non-giant cell granulomatous TA with Eosinophilia
・小児, 若年成人に起こる非常にRareな疾患. 平均年齢23歳[7-39]
・15例の報告例のうち, 男性例が13例と多い.
・無痛性の側頭動脈腫瘤が9例. 有痛性が6例.
・ESRは正常範囲. 好酸球増多を伴うものが4例.
・生検では血管内, 周囲の好酸球, リンパ球浸潤, 血栓閉塞など.
巨細胞は通常陰性となる.
・側頭動脈切除のみで改善する例が殆ど. ステロイドは必要としない.
1. 小児, 成人に起こる
2. 全身症状(-) (発熱, 筋痛, 視覚障害, 貧血)
3. 無痛性の側頭動脈腫瘤
4. ESR正常
5. 好酸球性血管炎, 血栓
6. 血管中膜の破壊
7. 好中球, 巨細胞浸潤(-)
木村病と腎症
・木村病では腎症, ネフローゼ症候群の合併率が高い.
好酸球増多, 皮下腫瘤, ネフローゼの鑑別では木村病は重要
・腎生検を行なった木村病23例のLiterature reviewでは,
MPGNが13例,
膜性腎症が4例,
MCDが3例,
FSGNが3例,
IgA腎症が2例,
ATNが1例. (BMC Nephrology (2018) 19:316)
・生検では, 上記糸球体腎炎の所見に加えて
間質への好酸球浸潤が認められる報告もある
(Ren Fail. 2019 Nov;41(1):126-130.)