最近, 外来で凍瘡様皮疹で紹介される症例が立て続いてあった.
そんななか, いつもの論文漁りの際に,
Pernio (Chilblains), SARS-CoV-2, and COVID Toes Unified Through Cutaneous and Systemic Mechanisms (Mayo Clin Proc. 2021;96(4):989-1005)
というReview文献が目に止まり, おや、、、まさか、、、ということで, 調べてみることにした.
まあ, 関係があるかどうかは, わかりませんが...
COVID-19による皮膚病変で最も頻度が高いものがPernioやChilblainsであり, 血管攣縮やtype 1 IFN反応が関連している
(Mayo Clin Proc. 2021;96(4):989-1005)
スペインにおけるCOVID-19に関連した皮膚所見を評価した前向きStudy.
(British Journal of Dermatology (2020) 183, pp71–77)
・スペインの全ての皮膚科医に対して, 2週間以内に出現した皮膚所見で, 他の原因が認められず, COVID-19が疑われる/確定した症例を報告するように依頼
・2020年4月3-16日の2週間の間に報告された症例は429例
・このうち他に原因を認めた(VZCやproriasis)症例, COVID-19の基準を満たさない症例, 情報が不十分な症例を除外し最終的に375例で評価. この群の死亡率は1.9%
・皮膚所見と頻度は以下の通り:
所見 | 頻度 | |
Pseudo-chilblain | 19% | 四肢末端の一部水疱や膿疱を伴う発赤, 浮腫. 凍瘡や紫色の変化を伴うこともある |
Vesicular eruptions | 9% | 上記以外の水疱. 大きさは様々. 血疱のこともある |
Urticarial lesions | 19% | 体幹や複数部位に分散したじん麻疹様皮疹. 一部手掌に認めることもある |
Other maculopapules | 47% | 毛胞周囲の分布や, 落屑を伴うもの, バラ色粃糠疹様の皮疹, 点状紫斑, 丘疹, 多形滲出性紅斑や象牙様紅斑など |
Livedo, necrosis | 6% | 様々な程度の閉塞性血管病変を示唆する所見. 体幹や四肢の虚血所見など |
・Pseudo-chilblainは若年女性で多く, 肺炎の頻度も入院率も他の皮疹と比較して少ない
= 軽症例で認められやすい皮疹?
・皮疹は他の症状と同時に出現する例が多いが, 後に生じる例もある.
・Pseudo-chilblainは後に生じる例が多い.
フランスにおける後ろ向きのNationwide study
(J Am Acad Dermatol. 2020 Aug;83(2):667-670.)
・2020年3月18日-4月9日のCOVID-19流行期間に外来を受診した患者で皮膚所見を評価, 写真を撮影した患者群を解析した. 277例, 年齢中央値は27歳[2-98]
A)じん麻疹様 9%,
B) 水疱性 15%
C) 四肢末端病変 51%
D, E) 麻疹様 9%
点状出血 3%
Livedo reticularis 1%
その他 15%
2020年4/8~5/2に, American Academy of Dermatology(AAD), International League of Dermatologic Societies(ILDS)を介して, COVID-19と診断(確定/疑い)された患者における皮膚所見を調査.
(J Am Acad Dermatol. 2020 Aug;83(2):486-492.)
・8カ国より, 505例の症例が報告. 皮膚科医からが50%
・このうち318例(63%)がPernio様病変であった.
・年齢は25歳[17-38]と若く, 男女は半々
下肢が94%と多く, 手は15%のみ
無症候性は11%, 疼痛は66%, 掻痒感 43%, 寒冷不耐が6.9%
発症のタイミングは, COVID-19症状後が26%, COVID-19自体無症候であったのが55%
AAD, ILDSを介して4/8-5/17にCOVID-19と診断(確定/疑い)した患者群における皮膚所見を調査
(J Am Acad Dermatol 2020;83:1118-29)
・31カ国より716例が報告
COVID-19が確定した症例171例における評価では18%と低下するが, それでも多い方
COVID-19確定例における皮疹の種類と特徴
・Pernioは比較的若い患者群
・手が32%, 足が84%
疼痛が71%で伴い, 掻痒感が36%
COVID-19の重症度と皮疹関連
中等症となると他の皮疹が増加
最重症となると虚血性の所見が認められる.
各皮膚所見の病理
----------------------------COVID-19における皮疹は様々あるが, そのなかで凍瘡様皮疹 Pernioは頻度が高い
若年, 軽症・無症候のCOVID-19で多く認められる.
またCOVID-19発症後に後から出現することもある.
やはり最近多い印象があるのは, 関連しているのだろうか?
COVID-19のIgGやIgMが測定できる様なれば, その点の診療が進むかもしれない.