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2021年4月9日金曜日

COVID-19に関連する皮疹は凍瘡様皮疹が多い?

最近, 外来で凍瘡様皮疹で紹介される症例が立て続いてあった.

そんななか,  いつもの論文漁りの際に, 

Pernio (Chilblains), SARS-CoV-2, and COVID Toes Unified Through Cutaneous and Systemic Mechanisms (Mayo Clin Proc. 2021;96(4):989-1005)

というReview文献が目に止まり, おや、、、まさか、、、ということで, 調べてみることにした.

まあ, 関係があるかどうかは, わかりませんが...

COVID-19による皮膚病変で最も頻度が高いものがPernioChilblainsであり血管攣縮やtype 1 IFN反応が関連している 

 (Mayo Clin Proc. 2021;96(4):989-1005)

スペインにおけるCOVID-19に関連した皮膚所見を評価した前向きStudy.
(British Journal of Dermatology (2020) 183, pp71–77)
・スペインの全ての皮膚科医に対して2週間以内に出現した皮膚所見で, 他の原因が認められずCOVID-19が疑われる/確定した症例を報告するように依頼
202043-16日の2週間の間に報告された症例は429
このうち他に原因を認めた(VZCproriasis)症例COVID-19の基準を満たさない症例, 情報が不十分な症例を除外し最終的に375例で評価. この群の死亡率は1.9%
・皮膚所見と頻度は以下の通り:

所見

頻度


Pseudo-chilblain

19%

四肢末端の一部水疱や膿疱を伴う発赤浮腫凍瘡や紫色の変化を伴うこともある
通常非対称性

Vesicular eruptions

9%

上記以外の水疱大きさは様々血疱のこともある

Urticarial lesions

19%

体幹や複数部位に分散したじん麻疹様皮疹一部手掌に認めることもある

Other maculopapules

47%

毛胞周囲の分布や落屑を伴うものバラ色粃糠疹様の皮疹点状紫斑丘疹多形滲出性紅斑や象牙様紅斑など

Livedo, necrosis

6%

様々な程度の閉塞性血管病変を示唆する所見体幹や四肢の虚血所見など




皮疹と他の症状

Pseudo-chilblainは若年女性で多く, 肺炎の頻度も入院率も他の皮疹と比較して少ない
 = 軽症例で認められやすい皮疹?

皮疹のタイミング

・皮疹は他の症状と同時に出現する例が多いが後に生じる例もある.
・Pseudo-chilblainは後に生じる例が多い.

フランスにおける後ろ向きのNationwide study
(J Am Acad Dermatol. 2020 Aug;83(2):667-670.)
・2020318-49日のCOVID-19流行期間に外来を受診した患者で皮膚所見を評価, 写真を撮影した患者群を解析した. 277, 年齢中央値は27[2-98]
・皮膚所見は6つに分類

 A)じん麻疹様 9%,
 B) 水疱性 15%
 C) 四肢末端病変 51%
 D, E) 麻疹様 9%
 点状出血 3%
 Livedo reticularis 1%
 その他 15%

20204/8~5/2, American Academy of Dermatology(AAD), International League of Dermatologic Societies(ILDS)を介してCOVID-19と診断(確定/疑い)された患者における皮膚所見を調査.
(J Am Acad Dermatol. 2020 Aug;83(2):486-492.)
・8カ国より, 505例の症例が報告. 皮膚科医からが50%
このうち318(63%)Pernio様病変であった.
年齢は25[17-38]と若く, 男女は半々
 下肢が94%と多く, 手は15%のみ
 無症候性は11%, 疼痛は66%, 掻痒感 43%, 寒冷不耐が6.9%
 発症のタイミングは, COVID-19症状後が26%, COVID-19自体無症候であったのが55%


AAD, ILDSを介して4/8-5/17COVID-19と診断(確定/疑い)した患者群における皮膚所見を調査
(J Am Acad Dermatol 2020;83:1118-29)
・31カ国より716例が報告
・皮疹の頻度
・全体的にはPernioが最も頻度が高く62%
 COVID-19が確定した症例171例における評価では18%と低下するが, それでも多い方

COVID-19確定例における皮疹の種類と特徴
・Pernioは比較的若い患者群
・手が32%, 足が84%
 疼痛が71%で伴い, 掻痒感が36%
・COVID-19症状の後に出現することが多く, また無症候で皮疹のみもある

COVID-19の重症度と皮疹関連
(J Am Acad Dermatol 2020;83:1118-29)
・COVID-19軽症例や無症候性ではPernioが認められることが多く
 中等症となると他の皮疹が増加
 最重症となると虚血性の所見が認められる.

各皮膚所見の病理

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COVID-19における皮疹は様々あるが, そのなかで凍瘡様皮疹 Pernioは頻度が高い
若年, 軽症・無症候のCOVID-19で多く認められる.
またCOVID-19発症後に後から出現することもある.

やはり最近多い印象があるのは, 関連しているのだろうか?
COVID-19のIgGやIgMが測定できる様なれば, その点の診療が進むかもしれない.