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2021年4月6日火曜日

シクロホスファミド投与後の悪性腫瘍リスク

RA患者における報告 (Arthritis Rheum. 1995 Aug;38(8):1120-7.)

1968-1973年に経口CYCで治療されたRA患者119例と,年齢, 性別, 関節機能, 罹患期間を合わせたCYC非使用のRA患者119例で悪性腫瘍リスクを比較した報告.

・平均フォロー期間はCYC群で13.1, CYC群で14.4年間.

悪性腫瘍はそれぞれ37例で51, 25例で26件診断. P<0.05

膀胱癌がCYC群で9(Controlでは0)

 皮膚癌が19 vs 6例と有意にCYC群で多い

CYCの投与期間が長いほど総投与量が多いほどリスクは上昇.

長期的にリスクが上昇する.

AAVにおける報告

1973-1999年にGPAと診断された患者293例を2010年までフォローした結果(9.7[0-36]), 73例で悪性腫瘍を発症

(Rheumatology 2015;54:1345-􏰀1350)

・このうち30例がnon-melanoma skin cancer(NMSCs)であり11例が膀胱癌

・膀胱癌SIR 3.6[2.5-5.2]

 NMSC SIR 4.0[2.7-5.7]

他にMyeloid leukemiaリスク上昇

時間経過/CYC投与量とリスク

・数年以上経過してリスクが上昇. また, CYCの投与量が多いほどリスク

CYC非投与患者ではリスク上昇はない


1991-2013年に診断されたAAV患者の平均10年間フォローにおける悪性腫瘍リスクを評価

(ARTHRITIS & RHEUMATOLOGY
Vol. 67, No. 12, December 2015, pp 3270–3278)

・AAV患者は138. 診断が判明した患者では, GPA79, MPA38

9.7年のフォローにおいて, 38例で85件の悪性腫瘍を診断.

・NMSCで有意にリスクが上昇する(SIR 4.23[2.76-6.19])


長期間のCYC使用でリスクは上昇

2000-2014年に治療されたAAV 323例において治療内容(CYC, RTX)と悪性腫瘍発症リスクを評価.
(Ann Rheum Dis. 2017 Jun;76(6):1064-1069.)
・MPA160, GPA109, EGPA54
・平均5.6年のフォローにおいて, 33, 45件の悪性腫瘍を診断
NMSCのリスクは有意に上昇. SIR 4.58[2.96-6.76]
他の悪性腫瘍リスクの上昇は認められない

治療内容とリスク
・CYC使用との関連が認められる.
・CYCを使用していない場合, RTXのみを使用している場合は悪性腫瘍リスクの上昇は認めない

CYCの総量が多いほど, リスクも上昇する

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・シクロホスファミドは長期的に皮膚癌(NMSC), 膀胱癌のリスクを上昇させる薬剤.
・そのリスクは長期使用, 総投与量に比例する.
・投与が終了してもリスクは残るため, 注意が必要.
・CanVasc consensus recommendation for the management AAV 2020 update.では, CYCで治療したAAVでは, 3-6ヶ月毎の尿検査を継続し, 新たに血尿が出現した場合で他の原因がない場合は膀胱癌精査を行うべきとの記載がある
(J Rheumatol
2020 Sep 15;jrheum.200721.
 doi: 10.3899/jrheum.200721.)