ICU患者のAKIにおける透析導入を
積極的導入群 vs 通常の導入群で比較したRCT.
いままでは早期 vs 晩期としていたが, この晩期が通常導入 となっているところに歴史を感じる.
STARRT-AKI: ICU患者で重度のAKIを認める患者を対象とし, 積極的RRT導入群と通常導入群で比較したRCT
(N Engl J Med 2020;383:240-51.)
・ICU管理患者で, 18歳以上, Cr ≥1.13mg/dL(女性), ≥1.47mg/dL(男性), KDIGO 2-3を満たす群を対象.
・除外項目: 緊急導入基準を満たす群, 以前にRRTを行われていた群, 進行したCKD患者, 稀なAKIの原因がある場合.
また, 主治医の判断にて, すぐに腎機能が改善することが見込める場合も除外.
上記患者群を以下の2群に割り付け, 予後を比較
・積極的導入群: Studyに組み込まれてすぐに導入(12時間以内)
・通常導入群: 以下のいずれかを満たす場合に導入
K≥6.0mmol/L, pH≤7.20, HCO3≤12mmol/L, 臨床的にover volumeで, P/F ≤200, 上記AKIが72h以上持続する場合.
母集団
アウトカム
・RRTを導入したのは積極的導入群で96.8%, 通常導入群で61.8%
・両群とも脂肪リスクは有意差無し
90日後のCr値も同等.
・生存者におけるRRT依存は積極的導入群で10.4%, 通常群で6.0%と積極的導入群で多くなる
合併症頻度
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AKIにおける透析導入のタイミングは, 晩期導入でも予後は変わらない, というのは固まってきているが, では具体的な基準は? と言われると, 各Studyで微妙に異なっており, 厳密に定義するのが難しい.
参考までに, いままでのStudyの早期導入, 晩期導入をまとめる
黄色が早期導入, 青が晩期導入.
高K, 重度アシドーシス, Vol overloadによる肺水腫というのはほぼ固定されており,
他にBUNが時間経過を踏まえているものもある.
個人的にはそれを押さえた上で, 臨機応変に考えている.