炎症性腸疾患(IBD)では血管炎の合併が一般人口と比較して多くなるとの報告がある.
どのようなタイプの血管炎が多いのだろうか?
Canadian Vasculitis research networkにおいて, IBDと血管炎を合併した32例をReviewした報告
(Seminars in Arthritis and Rheumatism 45 (2016) 475–482)
・大型血管炎が13例. 高安動脈炎が12例, GCAが1例.
IBDでは, CDが8例, UCが5例.
・AAVが8例. GPAが6例, EGPAが2例
・皮膚血管炎が5例,
・他は川崎病, IgA血管炎, PAN, CNS血管炎など.
・最も多いのが高安動脈炎(TAK)であった
この論文より, Literature reviewにてIBDと血管炎を合併した306例を解析.
・Literature reviewでも大型血管炎がおよそ半数を占める
・さらに92%が高安病. 8%がGCA
・UCとCDは半々で, 8割強が女性例.
・IBDが先行する例が7割
IBD+高安病症例とIBD-の高安病症例の比較
・IBD+高安病ではアジア人が7割と多い. また, 発症年齢が低い.
日本国内の14施設より, 470例のTAK症例を評価したところ, 潰瘍性大腸炎を合併した症例が30例(6.4%[4.3-9.0])
(ARTHRITIS & RHEUMATOLOGY Vol. 67, No. 8, August 2015, pp 2226–2232 )
・一般人口におけるUCの有病率は0.11%であり, 有意にTAK合併リスクが高いと言える
・HLA-B*52:01とIL12Bのrs6871626はUCとTAK双方に関与する遺伝子型であり, この頻度を調べたところ, 有意にHLA-B*52:01の頻度がUC患者で高く, さらにTAK合併例で多い.
・TAK+UC例で92.6%, UC単独例で50.7%. OR 12.14[2.96-107.23]
-----------------------------