今日のクリニカルクエスチョン.
急性膵炎で入院した患者さんのTGが数千と高値.
高TG血症は急性膵炎の原因となるが, 一部の膵炎でもTGが高値となる.
この辺りのデータってあるのだろうか?
ちなみに、高TG血症による膵炎はすでに森川先生がまとめてくれています.
急性膵炎 716例を対象とした前向きCohort
(Pancreatology 20 (2020) 608-616)
・急性膵炎発症初日のTG値を評価し, 高TG血症の頻度, 他の原因との兼ね合いを評価
・TGを5群に分類:
1: 正常 < 150mg/dL
2: 150-195mg/dL
3: 195-500mg/dL
4: 500-1000mg/dL
5: 1000-2000mg/dL
6: >2000mg/dL
・上の表: TG値別に見た時の急性膵炎の原因
Group 5,6 (TG >1000mg/dL)となる場合, その原因は胆石性, アルコール性, 高TG性に分けられる.
1000-2000mg/dLではアルコールと高TG性が半々程度.
>2000mg/dLとなると高TG性が多くなる.
・下の表: 原因別のTGの分布
高TG血症が原因の膵炎では, TG>2000mg/dLが8割弱
胆石, アルコール以外の原因ではTGはせいぜい <1000mg/dL程度の上昇まで.
高TG血症を伴う膵炎の特徴
・高TG血症を伴う膵炎では, 糖尿病有病率が高い
・高TG血症伴う膵炎と, 各血液データ
TGが高いほど, 膵酵素上昇が低く Na値も低値となる.
測定系への影響が考えられる(検査酵素を阻害する可能性が示唆. 検体の希釈にてAMY上昇を認める場合がある)
・TGが高いほどCRPは高く, 高血糖も多い. さらに, 合併症や膵壊死のリスクも高い