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2014年10月15日水曜日

Vibrio vulnificus感染症

Vibrio vulnificus感染症
Clinical Infectious Diseases 2011;52(6):788–792

好塩性のGNRで, 海水に生息する細菌. 魚介類摂取にて感染し, 重症感染症を来す.
 蜂窩織炎, 血性の水疱形成, 敗血症を呈し, 死亡率は50%に及び, 米国では毎年100例の報告, 50例が死亡.

Vibrio vulnificusは軟体生物に常在.
 カキや二枚貝, ムール貝, 甲殻類等.
 Vibrio属はChitinaseを産生. ⇒ キチンを破壊し, 甲殻類の外骨格に生息可能.
 感染症の大半が生ガキ摂取に伴うもの.
 カキ自体はSalmonella enterica serotype Typhiや, HAVなどの媒介となるが, V. vulnificusは最も重症な病原体.

V. vulnificus感染は夏場に多い.
 菌体自体は年中海水に存在するが, 夏場に増殖する.
 感染には一定以上の菌量が必要である可能性.
 最も増殖する海水温は>22度.

肝硬変はV. vulnificus感染の高リスク.
 免疫機能の低下のみならず, 門脈圧亢進があると腸管から血流への菌移行が生じ易い.
 また, 増殖に鉄を使用するため, 肝硬変患者でフェリチン値が高い場合はさらにHigh-riskとなる.
リスク因子 Am Fam Physician 2007;76:539-44


V. vulnificus感染症では外毒素が血管壁を破壊する.
 播種性感染における局所の腫脹, 皮下出血の原因となる.
 敗血症で軟部組織所見が顕著の場合はV. vulnificusを疑う必要あり.

V. vulnificus感染症の臨床経過
臨床経過は3タイプ.
 創傷感染症 45%
 菌血症 43%
 腸管に限局した感染症 5%
 非典型的なものとして, 髄膜炎, 腹膜炎, 角膜潰瘍, 骨髄炎, Otitis, 尿路感染症, 筋炎, 横紋筋融解の報告例がある.

菌血症の96%に7日以内の生ガキ摂取歴あり.
 平均年齢は54歳. 89%が男性例.
 慢性肝障害ある患者群では, 通常の感染症のリスクは80倍に上昇するが, V. vulnificus感染症のリスクは200倍にもなる.

創傷感染症ではしばしば壊死性病変となる
 開放創がある状態で暖かい海水に暴露することで感染.
 壊死性筋膜炎を発症する.
 溶連菌, S aureusなどと並んで重要な起因菌.
 創傷感染症での死亡率は15%程度.

腸炎はSelf-limited. 予後も良好.

V. vulnificus感染症62例の解析 Ann Intern Med 1988;109:318-323
Floridaにおける1981-1987年に診断した62例.
 敗血症が38例(61%), 創部感染が17例(27%), 腸管感染が7例.
 症状, 所見頻度は,
症状, 所見
敗血症
創部感染
腸管感染
全身症状
100%[91-100]
71%[46-96]
71%[30-100]
 発熱
92%[77-96]
65%[39-91]
57%[13-100]
 悪寒
53%[36-69]
29%[4-54]
43%[0-87]
 意識障害
50%[34-60]
18%[5-45]
0[0-44]
 低血圧
32%[18-49]
12%[0.05-38]
0[0-44]
消化管症状
71%[55-86]
12%[0-38]
100%[65-100]
 下痢
42%[25-59]
6%[0-31]
100%[65-100]
 腹痛
34%[18-50]
0[0-23]
100%[65-100]
 嘔吐
42%[25-59]
6[0-31]
29%[5-70]
皮膚症状
61%[44-78]
88%[62-98]
0[0-44]
 蜂窩織炎
50%[33-67]
88%[62-98]
0[0-44]
 水疱形成
37%[21-53]
41%[15-67]
0[0-44]
 斑状出血
32%[16-48]
18%[5-45]
0[0-44]
患者の基礎疾患
基礎疾患
敗血症
創部感染
肝疾患
66%[50-82]
12%[0-38]
慢性疾患(肝臓以外)
63%[47-79]
35%[9-61]
肝疾患+慢性疾患
95%[81-99]
35%[9-61]
7日以内の創傷の海水への暴露
0[0-11]
88%[62-98]
7日以内の生ガキの摂取歴
92%[77-96]
0%[0-23]
 暴露歴は陽性の場合が多い.
敗血症症例における抗生剤投与までの時間と死亡率
Abxまでの時間
死亡率
<24h
33%[2-64]
24-48h
53%[26-80]
48-72h
63%[24-99]
>72h
100%[39-100]
抗生剤投与無し
100%[74-100]
全体
57%[41-73]
季節性; 夏場, 海水温が高い時期に多い.
冬場の発症は稀.
暴露の機会と, 菌量がある程度感染には必要のためと言われている.

V. vulnificus感染症171例の解析; American Journal of Emergency Medicine 31 (2013) 10371041
死亡例が43例.
死亡に関連した因子を評価すると,
REMS, 肝疾患, 血疱が死亡リスクに関連する.
早期の手術は死亡リスクを軽減させる

*REMS; Rapid Emergency Medicine Score
MEDS; Mortality in Emergency Department Sepsis
ScoreとV. vulnificus感染症の死亡に対する 感度, 特異度

V. vulnificusの治療
発症24hr以内の抗生剤投与が重要.
 24hr以内の投与群では死亡率33%であるが, 24-48hでは53%, >72hでは100%に及ぶ.

抗生剤はDOXY + Deftazidime
 DOXYは100mgを1日2回, IVもしくは経口
 Deftazidime 1-2g q8hr, もしくは他の3rdセフェムが選択される.
 抗生剤の早期投与と創傷の治療, ICU管理が重要.

 他の選択肢として, CPFX 750mg bid or 400mg IV q12hが選択される

肝硬変患者は感染予防として海水暴露, 生ガキの摂取には注意すべきといえる.
Am Fam Physician 2007;76:539-44

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