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2014年10月27日月曜日

静脈血栓症 (主にDVT): 診断について

下肢深部静脈血栓症の診断について
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DVTを疑う: Well's score
DVTを疑うきっかけとなるのがWell's score.

Wells Score for DVT
1pt
 活動性の悪性腫瘍
 下肢の麻痺・最近のギプス固定歴
 最近の3日以上のベッド上安静歴
  or 4週間以内のMajor Surgery
 深部静脈分布域の局所性圧痛(+)
 下肢全体の腫脹
 ふくらはぎの腫脹(片側よりも3cm以上の周囲長)
 Pitting Edema
 表在側副静脈(+)
-2pt
 DVT以外に考えられる疾患がある
下肢の症状, 所見があり, さらにRisk因子を認めることで下肢DVTを疑う.
High; >=3pt 検査前確率 53%[44-61]
Intermediate; 1-2pt 検査前確率 17%[13-23]
Low; <0pt 検査前確率 5.0%[4.0-8.0]

* Score ≦2pt, D-dimer(-)ならば3か月以内にDVTを罹患する確率は0.5%

他にはプライマリケアにおいてDVTを疑われた1028名の患者の評価 (検査前確率13%)
(Ann Intern Med 2009;150:229-35)
以下のスコアを用いて評価すると
Clinical Decision Rule
Pt
男性
1
経口避妊薬使用
1
6か月以内の活動性悪性腫瘍
1
1か月以内の外科手術歴
1
下肢外傷(-)
1
下肢の側副血行路の拡張(皮静脈)
1
下腿周囲径 左右差 >=3cm
2
D-dimer異常
6
Score =<3; 7/500(1.4%)が3mo以内にDVT, PE発症
Score >=4; 125/502(25%)がUSにてDVT(+). USにてDVT(-)でも3mo以内に3名がDVT(+)

これらを元にさらに検査を行って行くかを考慮する.

ただし, ICUでは身体所見でDVTに気付くことは困難. Crit Care Med 2010;38:S76-82
 2回/wkのUS検査をReference standardとし, 2回/wkのWell’s criteria評価によるDVT評価のROC 0.57-0.59
 ICU医によるCompression USは, 近位大腿DVTに対する感度86%, 特異度96% (Chest 2011;139:Issue 3, Mar.)
 ICUでは鎮静下であったり, もともと浮腫みが強かったりして, 症状, 身体所見を評価しにくい傾向にある.
 PEに関しても同様で, 無症候性PEも多いとの報告がある.
 急性発症の低酸素, ShockではPEも考慮する必要がある.

DVTの検査について
D−dimer: D-dimerは感度>95%だが, 特異度は40%程度
 母集団(検査前確率)によってもD-dimerの有用性は異なるが, 基本的に除外診断目的で用いるべき検査である JAMA 2006;295:199-207
検査前確率
Sn(%)
Sp(%)
PPV
NPV
LR(+)
LR(-)
5.0%[4.0-8.0]
88[81-92]
72[65-78]
17[13-20]
99[98-99]
3.3[2.6-4.1]
0.18[0.12-0.28]
17%[13-23]
90[80-85]
58[49-67]
32[25-41]
96[94-97]
2.1[1.8-2.5]
0.19[0.11-0.32]
53%[44-61]
92[85-96]
45[37-52]
66[56-75]
84[77-89]
1.6[1.5-1.8]
0.16[0.09-0.30]

D-dimer検査もHigh, Moderate Sensitivity Testにより異なる
Moderate-Sensitivity test
検査前確率
Sn(%)
Sp(%)
NPV
LR(+)
LR(-)
5.0%[4.0-8.0]
86[79-92]
78[71-83]
99[98-99]
4.0[3.0-5.4]
0.20[0.12-0.31]
17%[13-23]
85[73-93]
66[58-73]
95[93-97]
2.4[2.1-2.7]
0.23[0.13-0.39]
53%[44-61]
90[80-95]
49[40-58]
81[74-86]
1.7[1.5-1.9]
0.20[0.10-0.38]
High-Sensitivity test
検査前確率
Sn(%)
Sp(%)
NPV
LR(+)
LR(-)
5.0%[4.0-8.0]
95[82-99]
58[45-71]
99[97-100]
2.4[1.7-3.3]
0.10[0.03-0.37]
17%[13-23]
98[91-100]
41[31-52]
99[96-100]
1.7[1.5-1.9]
0.05[0.01-0.21]
53%[44-61]
97[94-99]
36[29-43]
92[81-97]
1.5[1.4-1.7]
0.07[0.03-0.18]

下肢静脈エコー: 下肢静脈エコーでの感度89-96%, 特異度94-99%と良好.

ERや病棟で行う場合, 2 point USが簡便で有用.
2 point US: 大腿, 膝窩静脈の2カ所に圧迫USを施行し, DVTを評価する
救急にてDVTが疑わしい50名に, 計200カ所で圧迫USを施行.
 RSとして, 専門医が下肢静脈エコーを施行.
 圧迫にて潰されない静脈 or 静脈内血栓(+)をDVTと診断し, 専門医の施行したエコー所見と比較したSingle center study.
Outcome; 45カ所でDVT(+)であった.
 救急医が施行する2-point-USはSn100%[92-100], Sp99.4[96-100]で下肢DVTを示唆. 
 圧迫でつぶされないパターンが22例, 血栓のみが6例, 圧迫でつぶされるが, 血栓(+)が17例.
Ann Emerg Med. 2010;56:601-610

[2-point US + D-dimer] vs [Whole-Leg Color Doppler] (JAMA 2008;300:1653-59)
下肢DVT症状(+)の患者2098名(>18yr), DVT既往歴(-)の患者群を上記2群にRandomに振り分け, 3moフォロー
 2-point US群では, USにて正常 ⇒ D-dimer測定 ⇒ 異常 ⇒ 2回目US(1wk) ⇒ 正常 ⇒ 経過観察の流れ.
 両検査にてDVTを診断されたのは,  22.1%[19.6-24.6] vs 26.4%[23.7-29.1] (Reference Standardが無く, 母集団中の有病率も不明であり, 比較は困難)
 両検査にてDVTを否定された患者の内, 3moのフォロー期間中に症候性DVTを診断された割合は, 0.9%[0.3-1.8] vs 1.2%[0.5-2.2], Differece 0.3%[-1.4%~0.8%]

2 point USとD−dimerを併用することで下肢全体の静脈エコーと同等の診断能が期待できる.

下肢エコー正常ならばもう大丈夫か?
臨床的にDVTを疑われた患者1926名にWhole-leg USを施行
 その内395名が陽性(20%).
 陰性の1531名中, 523名をRandomに抜き出し, 3moフォロー.
 63%が何らかの予防を施行(機械的, 薬剤, 併用)
3moのフォローにて,
 0.6%[0.1-1.7]が非致死的症候性VTEを発症.
 1.9%[0.9-3.5]が非致死的, 致死的症候性VTEを発症. (Am J Med 2010;123:158-65)
 エコーが陰性でも1.9%にVTEを生じるRiskがある

正常下肢エコー後のDVTのRisk; Meta-analysis
 7つのStudyのMeta-analysis(n=4731)
 DVTを疑われて下肢エコーを施行 ⇒ 陰性であった4731名の90d以内DVT発症Riskを評価
(JAMA 2010;303:438-45)
 抗凝固療法は未施行.
 Active cancerは13.7%, Major surgery後は15.3%
 3moのフォローにてVTEを来たしたのは0.7%
 その内Proximal DVT 20.6%, Distal DVT 32.4%,
 非致死的PE 20.6%, 死亡は26.5%
 3moのVTE発症率は0.57%[0.25-0.89]

DVTのRisk別の発症率は
 Low 0.29%[0-0.70]
 Moderate 0.82%[0-1.83]
 High Risk 2.49%[0-7.11] エコーで陰性でもリスクが高い場合は要注意といえる.

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