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2014年10月7日火曜日

咽頭炎、扁桃炎

細菌性咽頭炎 NEJM 2001;344:205-11
細菌性で最も多いのは溶連菌による咽頭炎.
 細菌性咽頭炎の内, 小児例の15-30%, 成人例の5-10%を占める
 抗生剤が唯一推奨される原因菌でもある >> 膿瘍, リウマチ熱発症予防目的
 診断は迅速検査があるが, Gold standardは咽頭培養.

 培養検査結果まで24-48hrかかるが, その間抗生剤を投与せずに待っても特に問題はないとされる.
急性咽頭炎の原因頻度
Viral

Bacterial

Rhinovirus
20%
Streptococcus pyogenes
15-30%
Coronavirus
>=5%
Group C β-hemolytic Strep
5%
Adenovirus
5%
Neisseria gonorrhoeae
<1%
Herpes simplex virus 1,2
4%
Corynebacterium diphtheriae
<1%
Influenzavirus
2%
Arcanobacterium haemolyticum
<1%
Parainfluenza virus
2%
Chlamydia pneumoniae
不明
Coxsackievirus A
<1%
Mycoplasma pneumoniae
<1%
EBV
<1%


Cytomegalovirus
<1%


HIV
<1%



溶連菌性咽頭炎
臨床では診断スコアを使用する事が多い. JAMA 2000;284:2912-8
スコアはCentor criteria, FeverPAINが有名

Centor criteria
 発熱
 前頸部リンパ節腫脹
 扁桃白苔
 咳嗽(-) の4項目で評価
Point
LR
0
0.16
1
0.3
2
0.75
3
2.1
4
6.3

年齢要素を含んだcriteria
 38度以上の発熱 1pt
 咳嗽(-) 1pt
 前頸部リンパ節 腫脹, 圧痛 1pt
 扁桃腫大, 白苔 1pt
 年齢<15yr 1pt
 年齢>=45yr -1pt
Point
LR
-1~0
0.05
1
0.52
2
0.95
3
2.5
4-5
4.9

臨床スコアはFeverPAINの方がより精度が高い
 FeverPAINは 24h以上の発熱(Fever), Purulence(化膿), Attend rapidly(発症3d以内), Inflamed tonsils, No cough/coryza(鼻炎症状) で評価
 上記のAUCは0.71-0.74, 一方でCentor criteriaは0.65-0.72と,FeverPAINの方がより診断精度はやや高い. BMJ 2013;347:f5806

溶連菌迅速検査の感度は75.5%, 特異度92.8% (培養検査は感度92.6%, 特異度97.1%)
(The Pediatric Infectious Disease Journal: 2002; 21:922-926)

扁桃白苔のグラム染色は?
 培養をRSとした場合,  グラム染色のSn 70%, Sp 89%, LR(+) 6.4, LR(-) 0.34
 弱拡にてWBC(-) ⇒ 陰性
 WBC(+), Chain GPC(+) ⇒ 陽性と判断
 結局, グラム染色をしたとしても, 否定はしきれない (Postgrad Med J 1981;57:13-15)

IDSA guidelineでは, 成人例の臨床的に溶連菌性扁桃炎が疑われる場合は迅速検査を行うことを推奨.
 それで陰性ならば除外してもよいとしている.
 これは軽症の溶連菌性扁桃炎はSelf-limitedである点と, 成人例ではリウマチ熱や腎炎のリスクが低いことが理由.

ACP-ASIM guidelineでは, 臨床症状で迅速試験適応を決める
 Centor score 0-1では検査はしない, 2-3で検査を施行する.
 4ptならば検査せずに溶連菌性扁桃炎と診断する.
 検査にて陽性ならばAbxを, 陰性ならば対症療法を推奨している.
Clinical Infectious Diseases 2014;59(5):643–50

溶連菌性咽頭炎, 診断と抗生剤投与閾値についてのStudy
PRISM trial; 溶連菌性扁桃炎疑い患者を3群に分けて評価したRCT BMJ 2013;347:f5806
 ①改善が無い場合に抗生剤を開始する群* (Control)
 ②溶連菌スコア** を用いて適応を決定する群
 ③スコア + 迅速検査***を用いて適応を決定する群.

* 患者には抗生剤を処方しておき, 3-5dたっても症状が改善し始めない場合に使用するように指導する群.
**スコアは当初はCentor scoreを用いていた(n=1129)が, その後FeverPAINが発表されてからはそちらに変更(n=631).
 FeverPAIN群ではScore 0-1ではAbx無し, ≥4ptではすぐに開始, 2-3ptでは①と同じマネージメント.
***FeverPAIN 0-1では検査もAbxも無し.
 2ptでは①と同じマネージメント.
 ≥3ptでは迅速検査を行い, 陰性ならばAbx無し, 陽性ならばAbx開始.

アウトカムは臨床症状, 症状の期間, Abx使用率等. 割り付け後2-4日後の咽頭痛, 嚥下困難を評価.
アウトカム:
 Centor scoreをもちいたN=1129群では全て3群で有意差無し.
 FeverPAINを用いたN=631の群では, ②群(スコアを用いた判断群)において, 抗生剤使用頻度, 症状の程度, 持続期間の改善が認められる.
 迅速検査は必要なく, スコアと症状の経過で抗生剤を判断しようという結果.

DESCARTE trial: 2wk以内の咽頭痛で受診した12829例のprospective cohort.
Antibiotic prescription strategies for acute sore throat: a prospective observational cohort study. Lancet Infect Dis 2014
 咽頭痛が主訴で, 咽頭の異常所見を認める16歳以上の成人例.
 抗生剤処方無し群, すぐに処方した群, 遅れて処方した群で, 合併症のリスクを比較.
 また, Propensity score-matched analysisを施行し, リスクを比較した.
アウトカム:
 合併症の頻度は抗生剤処方無しが38%, すぐに処方が48%, 遅れて処方が14%
 抗生剤処方群では, 非処方群よりも合併症が少ないが, それでもNNTは193と174.
 Propensity-matchedでは有意差無し.
 症状の残存, 新規症状の出現は抗生剤処方群の方が少なくはなる.
 NNTはすぐに処方群で40, 遅れて処方群で18

Reflexive Throat Cultureについて Clinical Infectious Diseases 2014;59(5):643–50
溶連菌迅速検査が陰性の場合に咽頭培養を提出する方法.
 ACP-ASIM guidelineでは推奨されていない.
 CDCでは迅速検査の感度が80%程度であることから, Reflexive cultureも行って良いとしている.
 AHAやICSI guidelineでもこの方法を支持している.

13歳以上の咽頭炎患者で, 迅速検査陰性, Reflexive throat culture陽性となった726例の解析.
 咽頭の白苔は47%のみ.
 咳嗽(-)も67.6%,
 前頸部LN腫大は51.3%
 38度以上の発熱は13.8%のみ
mCentor socreは(≥18yの群)
 ≥3が25%のみであり,
 1-2が59.5%. 0ptが15.5%.

 >> Centor criteriaが1-2程度で, 迅速検査も陰性の咽頭炎 でも咽頭培養で溶連菌が陽性となる例はある. 
 むしろ迅速検査陰性で培養陽性例の場合は溶連菌性咽頭炎としても非典型症状, 軽症のことが多いともとれる. 
 だからといってそれらの症例で培養を採取し, 治療を変更することが臨床的アウトカムに関わるかどうかは不明.

どのような咽頭炎で化膿しやすいのか? 
急性咽頭炎 14610名のProspective cohort BMJ 2013;347:f6867 
 化膿性合併症(扁桃周囲膿瘍, 中耳炎, 副鼻腔炎, 膿痂疹, 蜂窩織炎)の頻度と, リスク因子を評価.
 患者は16歳以上, 14日未満の急性咽頭炎症状(+)の患者群.
 抗生剤無し 5243名, 遅れてAbx 6269名, 抗生剤あり 2501名.
 全体で合併症は1.3%, 新規症状出現, 改善しない症例は14.2%であった.
 化膿性合併症に関連する因子としては非常に強い耳痛と重度の扁桃炎所見の2つ.
 非常に強い耳痛と重度の扁桃炎所見の2つのうち1つ満たせばOR 2.4, 2つで5.4となる.
 Centor criteriaでは4ptでOR 1.94[1.13-3.35], FeverPAINでは4-5ptでOR 2.09[1.18-3.70]とリスクとなるが, 上記2つの因子には及ばない.

溶連菌性扁桃炎に対する治療: ステロイド治療
ステロイド IM vs Placebo
Outcome
ステロイド
Placebo
Design
咽頭痛の軽快時間
8.06±4.86hr ¶
19.90±9.39hr
RCT, DB, N=73 Center Criteria >=2
ステロイド; Dexamethasone 8mg IM
全例にアジスロマイシン, アセトアミノフェン
咽頭痛の完全消失時間
28.97±12.00hr ¶
53.74±16.23hr
咽頭痛の軽快時間
6.3hr ¶
11.3hr
RCT, DB, N=93 溶連菌が疑わしい咽頭炎患者
ステロイド; Betamethasone 
全例にEM 10Day, or PCG IM
咽頭痛の完全消失時間
42.0hr ¶
55.8hr
† The J of Emerg Med 2008, May 10.
‡Academic Emerg Med 1998;5:567-72
¶ 有意差あり(P<0.05) 
 明らかな副作用の報告は両群で認めず
 溶連菌性咽頭炎疑い患者に対するステロイドIMは疼痛改善を期待できる
 疼痛の評価に関してはVASを使用している

ステロイド IM vs PO
 RCT, DB, 溶連菌疑いの咽頭炎患者118名を3群に割り付け:
Dexamethasone 10mg IM vs PO vs Placebo (Laryngoscope 2002;112:87-93)
 投与後12hrにて, IM, PO群で有意に咽頭痛の改善を認めた
 投与後24hrでは疼痛の改善に有意差認めず

ステロイドの投与経路(IM vs PO)での比較では, 24hr, 48hr後の疼痛(VAS)改善度合い, 咽頭痛改善までの時間は有意差認めない  (Academic Emerg Med 2002;9:9-14)
 RCT, DB, 溶連菌疑いの咽頭炎患者70名で比較
 ステロイド; Dexamethasone 10mg IM, PO

咽頭炎に対するステロイドのMeta
8つのRCTのMeta-analysis(n=743) (BMJ 2009;339:b2976)
 小児369, 成人374名, 47%が滲出性咽頭炎, 44%でA群溶連菌検出
 ステロイドはBetamethason 2ml(8mg), Dexamethasone ~10mg, Prednisone 60mg. 投与経路はIM, PO
Outcome
Outcome
Steroid
Placebo
RR
疼痛消失@24hr
38.8%
12.2%
3.16[1.97-5.08]
疼痛消失@48hr
75.5%
46.8%
1.65[1.32-2.06]
Onset~疼痛消失までの時間(hr)
6.3-9.6hr
10.1-19.9hr
MD -6.32[-9.29~-3.35]
 ステロイド投与群のほうが症状改善速度は有意に速い.
 小児-成人, 培養陽性-陰性で大きな相違は認めない.

繰り返す咽頭炎に対する扁桃切除の意義
扁桃切除にて紹介された260例中, 86名でRCTを施行.
Short-term outcomes of tonsillectomy in adult patients with recurrent pharyngitis: a randomized controlled trial. CMAJ 2013. online first
 切除せずに経過観察する群 vs 切除する群に割り付け, 5ヶ月以内の扁桃腺炎の頻度, 重症度を比較.
アウトカム;
 重症の扁桃炎は少なく, 両者で有意差無し.
 咽頭炎の頻度は切除群で有意に低下する.

咽頭炎の症状は切除した方が有意に軽症となる.
 受診する頻度, 学校や仕事を休む頻度は切除群で有意に低下する.

切除した方がより頻度は低下し, 軽症となる.

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