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2014年10月17日金曜日

多嚢胞性卵巣症候群 Polycystic Ovary Syndrome

Polycystic Ovary Syndrome(PCOS)
The American Journal of Medicine (2014) 127, 912-919

出産可能年齢女性の6-25%で認める病態.
排卵障害, 高アンドロゲン状態, 卵巣形態の異常で定義.
 高アンドロゲンによる脂質代謝異常症, 耐糖能障害等 様々な代謝障害を合併する.
 卵巣形態異常とは, 経腟超音波にて2-9mmの濾胞を12個以上認める, もしくは卵巣体積が>10mL増加している状態 (>10mLの濾胞が無い状態で)
 テストステロン測定は健常女性やPCOS患者では不正確であり, “高アンドロゲン”を証明するには不明瞭な指標.
 排卵障害があり, 排卵周期が不定でも, 生理周期は一定のことがあるため, 正常月経がある = 排卵障害がない ということにはならないので注意.

Anti-Mullerian hormone(AMH: 濾胞腔で産生)とLuteinizing hormone(LH)の組み合わせはPCOS診断に有用.
 PCOSでは濾胞が増加するため, AMHが増加する.
PCOS 90例, PCOM(多嚢胞のみで症状無し) 35例, 正常卵巣群 90例で上記ホルモン値を評価. 
Human Reproduction, Vol.28, No.4 pp. 1077–1083, 2013
 AMHは有意にPCOS, PCOMで高値となる. LHはPCOMで高値となる.

AMH≥48pmol/Lでは感度60%, 特異度 98.2%でPCOS.
さらにLH>6IU/Lを加えると, 感度 82.6%まで上昇する.

高アンドロゲンの精査目的で紹介された950例の解析 (J Clin Endocrinol Metab 91: 2–6, 2006)
抗アンドロゲンを疑うのは多毛症, 痤瘡, Androgenic alopecia(男性様の脱毛症).
最終診断の頻度
疾患
%
Classic PCOS
56.6%
Ovulatory PCOS
15.5%
特発性高アンドロゲン症
15.8%
特発性脱毛症
7.6%
NCAH*
4.3%
アンドロゲン分泌腫瘍
0.2%
(*NCAH: 21-hydroxylase-deficient nonclassic adrenal hyperplasia)

各疾患の比較. PCOSでは肥満の頻度がやはり高い.
卵巣の形態異常の頻度

PCOSの鑑別疾患と検査選択
アンドロゲン作用, 多毛, 無月経を呈する疾患の鑑別が必要

PCOSの管理 "MY PCOS" The American Journal of Medicine (2014) 127, 912-919
MY PCOSは,
 Metabolic, Cycle control, Psychosocial, Cosmetic, Ovulation and Fertility, Sleep apneaの頭文字をとったもの.
 PCOSの管理の際に必要なチェックポイントとなる.

Metabolic: 糖尿病, HT, HL, 脂肪肝, 肥満のリスクが上昇.  早期発見, 治療が予後に重要となる.
 特に75gOGTTはPCOS全例に推奨される検査.
 生活習慣の改善, ダイエットが初期治療として重要.
 それでもControl不十分な場合は薬物治療となる

CYcle control: 月経周期を最低でも3ヶ月に1回以上へ  PCOS患者では子宮内膜癌のリスクが2.7[1.0-7.29]倍となる.
 ルーチンのエコー評価の必要性は無いが, 月経周期を最低でも3ヶ月に1回以上にコントロールする.
 ただし, 月経周期をコントロールすることが, 内膜癌リスクを下げるかどうかは未だ不明.
 1st-lineではホルモン療法
 メトフォルミンは排卵率を上昇させるため, 2nd-lineとして考慮

Psychosocial: PCOS患者ではControlと比較してうつ病が3倍.  うつ病以外にも摂食異常の頻度も高い.
 過食が最も多く, 12.6%で認める報告もある(Controlでは1.9%)
 従って, PCOS患者ではうつ病や過食症のスクリーニングも大事.

Cosmetic: 多毛症が75%で認められる(米国).  多毛症以外にニキビやアンドロゲンによる脱毛(男性の様な禿げ)も認められる.
 エストロゲン含有の経口避妊薬はゴナドトロピンを抑制し, 卵巣からのアンドロゲン分泌を抑制するため, 効果が期待できる
 またethinyl estradiol含有が少ないタイプにすればエストロゲン自体の副作用も少なくなるため, 好まれる.
 副作用としては静脈血栓症が重要

他の薬剤: Progestin, 抗アンドロゲン製剤, スピロノラクトン等.
 抗アンドロゲン製剤は催奇形作用があるため, 避妊が必須.
 スピロノラクトンは毛根における抗アンドロゲン作用をもつ. 50-200mg/dで使用する.
 Finasteride 2.5-5mg/dは5-α reductaseを阻害し, 抗アンドロゲン作用を示す.

Ovulation and Fertility: PCOSにおける自然排卵率は32%.  さらに着床率の低下, 流産率の増加にて, PCOS患者での生殖機能は低下する.
 挙児希望がある場合, 排卵率を亢進させる必要がある.
 患者が肥満の場合はダイエットを指導するが, それを証明したStudyは小規模trialのみ.

Clomiphene citrate(CC): クロミッド
®
 
排卵率を改善させる薬物治療の第一選択.
 6回の排卵周期以内に排卵する確率は60-85%, 妊娠率は30-50%.
Metformin: メトグルコ
®
 排卵率を上昇させるが, 正常出産率については改善させない.

PCOSによる不妊症と診断された626例を対象としたRCT N Engl J Med 2007;356:551-66.
 Clomiphene 50mg 1-2T + Placebo群
 Metformin 500mg 1-2T + Placebo群
 Clomiphene + Metformin併用群に割り付け, 正常出産率を比較.
アウトカム
 出生率はClomipheneで有意に改善. Metforminの関与は無し.
アウトカム
Clomiphene
Metformin
併用群
AD(%)
併用 vs Met
AD(%)
併用 vs Clo
AD(%)
Clo vs Met
排卵
49.0%
29.0%
60.4%
31.4[24.7-38.0]
11.4[4.2-18.4]
20.0[9.1-30.9]
受胎
29.7%
12.0%
38.3%
26.3[18.4-34.2]
8.6[-0.4~17.6]
17.7[10.1-25.3]
妊娠
23.9%
8.7%
31.1%
22.4[15.0-29.8]
7.2[-1.3~15.7]
15.2[8.3-22.1]
出生
22.5%
7.2%
26.8%
19.6[12.6-26.6]
4.3[-4.0~12.6]
15.3[8.6-22.0]

Sleep Apnea: OSASはPCOSにも関連する.
 PCOS患者のRetrospective studyでは, SASは17.0%(Control 0.6%), 日中の眠気は80.4%(Control 27.0%)で認められた.
 OSASの合併は耐糖能障害との相関性もあり, OSASの症状を認める場合は夜間に4時間以上のCPAP使用が推奨される.

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