Hematol Oncol Clin N Am 2007;21:163-176
輸血関連死亡原因の第2位
全血輸血で1/432unit, RBC輸血で1/5000unit,
血清含有輸血では1/2000unit (Crit Care Med 2008;36:3080-4)
血清含有輸血では1/2000unit (Crit Care Med 2008;36:3080-4)
輸血後1-6hrで発症, 48hr以内に改善へ向かう, 非心原性の肺水腫, 呼吸苦, 低酸素, 発熱
(肺, 心疾患の除外は大切. TACO; Transfusion-assosiated Circulatory overload)
TRALIの頻度 (Lancet 2013; 382: 984–94)
TRALIのリスク
古い血液製剤, FFPの使用, 患者要素(手術, サイトカイン療法, 感染症)で特にリスクは高い
すべての血液製剤にてRiskがある (特にFFP, PLT)
Risk (輸血の種類別)
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OR
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Any RBCs
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1.39[0.79-2.43]
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Any FFP
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2.48[1.29-4.74]
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Any PLT
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3.89[1.36-11.52]
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(Chest 2007;131:1308-14)
Retrospective Case-control studyより (Crit Care Med 2010;38:771-8)
Control; 年齢, 性別, 診断をMatchさせた輸血患者
Risk Factorを評価
Variable
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OR
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APACHE II(/1)
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1.1[1.0-1.1]
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血液腫瘍
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13.1[2.7-63.8]
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Sepsis
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2.5[1.2-5.2]
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人工呼吸器管理
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3.0[1.3-7.1]
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大量輸血
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4.5[2.1-9.8]
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緊急CABG
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17.6[1.8-168.5]
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TRALI発症群では有意にPLT輸血量, Plasma輸血量が多い.
RBC, FFPに関しては有意差認めず.
リスク因子のまとめ(Lancet 2013; 382: 984–94)
TRALIの原因
原因は明らかではない, 大きく分けて2つの説
Antibody-mediated; Anti-granulocyte antibodies
ドナー, もしくはレシピエント血液内の抗体が証明
大半はドナー側が原因。レシピエントは<10%.
大半はドナー側が原因。レシピエントは<10%.
特に妊娠を経験した女性の献血でRisk上昇
HLA class I, II, 5bが関与
Non-antibody-mediated TRALI
血液収集時にProinflammatory mediatorsが貯留する, もしくは古いRBC, PLT自体で炎症が惹起される.
TRALI診断;
①新規, 急性発症のALI
②以前には認めない
③輸血後6時間以内の急性発症
④その時点で他にALI発症のリスクが無い
②以前には認めない
③輸血後6時間以内の急性発症
④その時点で他にALI発症のリスクが無い
TRALI vs TACOの比較(Lancet 2013; 382: 984–94)
TRALIではWBCは一過性に低下する例が5-35%である.
抗好中球抗体等, 血液に対する抗体によるものと推測されている.
同様にPLT低下する例もある.
同様にPLT低下する例もある.
TRALIの経過;
回復は早い(死亡率は5%程度)
大半の患者が48hr以内に抜管可能
胸部レントゲンは4日程度で改善を認める
呼吸機能も正常化することが多い
TRALI治療
原則 Supportive care; ABCの確保, 対応
高流量酸素, PEEP 挿管,人工呼吸器は72%で必要
利尿薬にてDry sideで管理する
ステロイドIV治療は幾つかのCase reportで報告例がある
輸血センターにTRALI発症の報告は忘れずに
TRALIをおこした患者での今後の輸血は?
Recipient側
同じドナーからの血液製剤は今後使用しない
TRALIの既往があっても, 他のドナーの血液ならばRiskは上がらないとの報告が多い
Donor側
TRALIを来たした血液ドナーは特定されるべきであり, 今後献血は控える必要がある
米国にて致死的TRALIを来たした女性ドナー
それまでに290回の献血をしておりその内 36名分のカルテをReview
→ 7名に軽度, 中等度の反応, 8名に重症TRALIをおこしていた.
それまでに290回の献血をしておりその内 36名分のカルテをReview
→ 7名に軽度, 中等度の反応, 8名に重症TRALIをおこしていた.
原因血液のドナーは女性が多く, 男性ドナーのみの血液を使用することも予防になり得る
(Lancet 2013; 382: 984–94)
Non-antibody-mediated TRALIでは, なるべく新鮮な輸血製剤を使用する.
献血時に時間がかかると炎症メディエーターが惹起され易いため, 短時間での献血を行う.
Delayed TRALI (Crit Care Med 2008;36:3080-4)
Riskのある患者にて, 輸血後6-72hrに生じるTRALI
大量輸血後, ICU患者に認められる
“通常のTRALI” とは患者背景, 時間要素が異なる
改善も遅く, 死亡率も35-45%と高い
抗好中球抗体ではなく, Bioactive mediatorが関与
12hr以内の>10UのRBC輸血, 24hr以内の>15Uの輸血を施行された患者では, 57%でARDSを生じた(J Trauma 2005;59:717-23)
大量輸血ではなくとも, ALI/ARDSのRiskのあるICU患者ならば, 1Uの輸血でもARDSを起こし得る; OR 2.13[1.75-2.52] (Crit Care Med 2008;36:2667-74)