分子式 C4H10O3, 示性式 O(CH2CH2OH)2
粘稠の無色の液体で, 水など極性溶媒に溶けやすく, 不凍液で用いられる.
他にはブレーキ液, 潤滑剤, インキ, たばこの添加物, 織物の柔軟剤, 接着剤等に使用される.
引火せず, 有毒な蒸気も生じず, 経皮吸収もないため, 安全な溶媒として用いられる. (wikipediaより)
DEG中毒 Ann Emerg Med. 2014;64:38-47.
経皮吸収されないため, 中毒は経口摂取によるもの.
故意や偶発的に摂取する以外に, 医薬品等に使用されることで集団中毒を引き起こす例も報告されている.
中毒では急性尿細管壊死を来たし, 急性腎不全を誘発する.
また, 急性の弛緩性麻痺, 脳神経麻痺, 脳症等の神経障害もある
また, 急性の弛緩性麻痺, 脳神経麻痺, 脳症等の神経障害もある
2006年のパナマにおける集団中毒の解析: Ann Emerg Med. 2014;64:38-47.
国内で生産された咳シロップに混入しており, それを摂取し, 急性腎不全, 四肢麻痺を生じた集団中毒事例. 分かっているだけで119例が報告された.
DEG中毒46名を解析:
DEG中毒の症状頻度:
症状, 所見
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神経所見
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87%[74-95]
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乏尿, 無尿
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74%[59-86]
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四肢脱力
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67%[52-80]
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呼吸症状
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54%[39-69]
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反射減弱, 消失
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65%[50-79]
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悪心, 嘔吐
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50%[35-65]
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自律神経障害
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63%[48-77]
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下痢
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35%[21-50]
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顔面麻痺
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59%[43-73]
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発熱
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28%[16-43]
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両側性
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50%[35-65]
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全身倦怠感
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20%[9-34]
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痙攣
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33%[20-48]
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腹痛
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11%[4-24]
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脳症
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33%[20-48]
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弛緩性四肢麻痺
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22%[11-36]
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失調
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11%[4-24]
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片側性
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9%[2-21]
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中毒症状出現〜神経症状出現までは2.5日[0-15],
神経症状出現〜痙攣発症までは4日[0-23]
神経症状出現〜痙攣発症までは4日[0-23]
DEG中毒の検査所見;
DEG中毒の予後:
死亡率は 27/46 (58.7%)と高い. 死亡までの中央期間は18.6d (2-50日)
パナマの中毒では, 咳シロップの使用状況が評価できた28例より, DEG摂取量を評価すると, 0.36g/kgであった.
過去の集団中毒事例より, 中毒量を評価すると, 0.014-0.174mg/kg 〜 1.0-1.5g/kgを幅がある.
ちなみに組織検査では,神経病理では末梢神経のミエリンの空胞変性を認め, 肝臓病理では肝炎所見が認められる. 腎臓では尿細管上皮の菲薄化, 壊死所見が目立つ.