NEJM 2010;362:726-38
NEJM 2009;360:994-1001
BMJ 2009;338:b560
NEJM 2009;360:994-1001
BMJ 2009;338:b560
甲状腺機能亢進症に伴う眼の症状.
主に眼球突出, 外眼筋障害, 眼球痛等を呈する.
2.9-16.0/100 000/yrの比較的稀な病態
Autoreactive T lymphocyteが関与
甲状腺, 眼窩の共通抗原に作用し, サイトカインを分泌
⇒ 眼窩の線維芽細胞活性化, 脂肪組織の増殖を来し, 眼球突出を来す
⇒ 眼窩の線維芽細胞活性化, 脂肪組織の増殖を来し, 眼球突出を来す
Hyperthyroidである必要はなく, 10%未満でEuthyroid, Hypothyroidで認める
専門センターではGraves’ Diseaseの50%に認められるとの報告
臨床的症状を来すものは20-30%, 重篤な症状は3-5%で認める
臨床症状; 複視, Photophobia, 流涙, 疼痛, 異物感など
バセドー病の70%がMRIにて眼窩の変化を認めるとの報告もあり.
眼瞼後退
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眼球突出
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外眼筋障害
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眼球痛
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流涙
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眼神経障害
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91%
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62%
|
43%
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30%
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23%
|
23%
|
Am J Ophthalmol 1996;121:284-90
甲状腺眼症の機序
抗サイロトロピン受容体抗体が眼症と関連している.
Euthyroid, Hypothyroid患者でも眼症を生じ得るが, その場合は少量の抗サイロトロピン受容体抗体が検出される. (少量であり、通常のAssayでは検出できない)
Graves’ disease患者では, 外眼筋の抗サイロトロピンRの増加を認める
喫煙は眼症のリスクを上昇させる(OR 7.7)
外眼筋, 挙筋には局所的な単核球の浸潤を認める. 大半がCD4+ cell.
また, 組織内のTNF, IL-2, IL4,5,10, TGF-βなどの濃度が上昇している.
他にはIGF-I R, Thy-1, Fibroblastの増生が組織肥大に関与している.
臨床症状
眼窩内の軟部組織腫大による症状が主
大半の患者では外眼筋, 脂肪組織双方の腫大を認める
<40yrではより脂肪組織が, >60yrではより外眼筋が腫大しやすい.
<40yrではより脂肪組織が, >60yrではより外眼筋が腫大しやすい.
下直筋が最も侵されやすい.
Upper-eyelid retractionは交感神経の亢進によるMuller’s muscleの刺激, 下直筋の亢進, 周囲組織の腫脹に対抗する挙筋のOveractionにより生じる
症候性の角膜乾燥はEyelid retractionによる瞬きの減少, 閉眼不全による.
眼周囲浮腫は軟部組織の腫大による静脈還流の低下が原因.
CT画像
A; →は視神経. 圧迫は認めない
内側直筋, 下直筋の肥厚を認める
内側直筋, 下直筋の肥厚を認める
B, C; 内側直筋, 下直筋の肥厚あり,
ステロイド投与後には改善を認めた(C)
ステロイド投与後には改善を認めた(C)
甲状腺眼症の鑑別診断
鑑別診断
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アレルギー性結膜炎
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眼窩腫瘍
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重症筋無力症
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頚動脈海綿静脈洞瘻
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眼窩筋炎
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炎症性眼窩疾患
(Wegener肉芽腫など) |
慢性進行性外眼筋麻痺
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CT, MRIにて評価した方が良い場合
片側性の病態
Thyroid dysfunctionが無いのに眼病変(+)
Upper eyelid retraction(-)
外斜視がある
複視のみ認める
1日の終わりのほうが複視がひどい
重症度の判断
Graves’ Ophthalmopathy重症度
特徴
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Mild
|
Moderate-Severe
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Eyelid retraction
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<2mm
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>=2mm
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眼球突出
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<3mm
|
>=3mm
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軟部組織侵襲
|
Mild
|
Moderate-Severe
|
外眼筋障害(複視)
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無し or 断続的
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持続的
|
角膜障害
|
無し or 軽度
|
中等度以上
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Graves’ Diseaseの病勢が強ければ眼症も重症化する
喫煙, Thyrotropin-R抗体, 甲状腺機能亢進症の重症度が関与
Factor
|
RR
|
Factor
|
RR
|
Thyrotropin-R Ab(1IU/L上昇あたり)
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1.27[1.11-1.46]
|
性別
|
5.39[0.82-35.2]
|
喫煙習慣
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9.03[1.96-41.71]
|
治療のType
|
1.74[0.94-3.22]
|
年齢(1yr上昇あたり)
|
1.14[1.07-1.23]
|
FT4 Level
|
0.96[0.86-1.07]
|
J Clin Endocrinol Metab 2006;91:3464-70
Tyrotropin-R Ab(TBII)値とGraves’ Ophthalmopathy経過予測
J Clin Endocrinol Metab 2006;91:3464-70
特異度 90%でのAb値Cutoff値
Outcome; Mild GO
発症からの時間
|
TBII cutoff
|
Sn(%)
|
OR
|
1-4mo
|
5.7
|
51%
|
13.9
|
5-8mo
|
2.6
|
56.9%
|
6.8
|
9-12mo
|
1.5
|
57.6
|
3.7
|
13-16mo
|
1.5
|
61.2%
|
15.6
|
17-20mo
|
1.5
|
64%
|
2.3
|
21-24mo
|
1.5
|
70%
|
14.7
|
Outcome; Severe GO
発症からの時間
|
TBII cutoff
|
Sn(%)
|
OR
|
1-4mo
|
―
|
―
|
―
|
5-8mo
|
8.8
|
66.7%
|
18.4
|
9-12mo
|
5.1
|
65.7%
|
16.9
|
13-16mo
|
4.8
|
61.9%
|
14.3
|
17-20mo
|
2.8
|
78%
|
31.1
|
21-24mo
|
2.8
|
62%
|
8.7
|
治療
Grave’s Diseaseの治療そのもので, 眼症の増悪を認める例もあり Mildでは基本的に治療は必要なし. フォローのみで良い
Moderate, Severe, 重症化するRiskが高い患者では治療(予防)を.
放射線治療後に, 0.3-0.5mg/kgのPrednisoneが効果的とのRCTがある
決まった治療は無いが,
準緊急を要する眼症ならば, Methylprednisolone 1g IV 3日間, 1-2wkで改善を認めない場合は外科的除圧を考慮する
Moderate, Severeならば, 500mg DIV 3日間を4wk毎に4サイクル
初回Prednisone 40mg, 4-6moかけてTaperingも良く使用される
Methlprednisolone 500mg/wk 6wk, 250mg/wk 6wkの計4.5gならば, 肝障害など副作用のRiskを少ないまま治療可能.
他, 放射線, 外科手術, Somatostatin.
各サイトカインに対する治療も近年提唱されている
TNF; Infliximab, AdalimumabTNF-R; Etanercept
IL-1 R; Anakinra
IL-6 R; Tocilizumab
TGF-β; Lerdelimumab
Oxygen free radicals; Selenium
CD20; Rituximab, ocrelizumab, ofatumumab
CD3; ChAglyCD3
CD28; Abatacept
CD154; IDEC-131
PPAR-γ; Selective PPAR modulators
Somatostatin R; SOM230
Thyrotropin R; NIDDK/CEB-52
軽症例に対するSelenium N Engl J Med 2011;364:1920-31
軽症の甲状腺眼症患者159名を対象としたDB−RCT
Selenium 100µg bid vs Pentoxifylline 600mg bid vs Placeboに割り付け, 6ヶ月間投与し, 終了後6ヶ月間フォロー.
Selenium(Antioxidant agent), Pentoxifylline(抗炎症作用).
Selenium(Antioxidant agent), Pentoxifylline(抗炎症作用).
QOL評価と眼科医による眼所見評価をOutcomeとし, 評価.
Baseline
アウトカム, 副作用頻度