BMJ 2013;347:f6800
体温調節目的以上に発汗が生じる状態.
恥ずかしさもあり, 訴えない患者も多い.
発汗過多によりペンが握れない, 仕事が出来ない等, ADL障害にも関連する.
HyperhidrosisにはPrimaryとSecondaryがある.
局所的な発汗過多で, 他に問題が無い場合はPrimaryに属する
全身的な発汗過多で関連疾患や薬剤があればSecondary.
Primary hyperhidrosis: 一般人口の1-2.8%を占める
この問題で病院受診をしているのは38%のみ.
どの年代でも起きて良く, 10歳台1.6%を占めるが, 高齢者では少ない. 自然に改善することが推測される.
小児では手掌の発汗過多を生じる傾向があり, 腋窩の発汗はより思春期で多い.
汗腺の発達と関連していると考えられる.
腋窩が最も多く73%, 次いで手掌 45.9%, 足 41.1%, 頭蓋 22.8%, 鼠径 9.3%となる
男女差は無しとする報告が多い. 一部で女性が多いと報告されているが, 受診頻度の問題の可能性がある.
発症年齢の平均は14歳だが, 医療機関受診まで15年かかる.
家族歴陽性も65%であり, 遺伝的要素の関連も示唆される.
Hyperhidrosisの機序は不明瞭
汗腺の密度は正常だが, 皮脂の産生は亢進している.
汗腺の大半がEccrine腺であり, 血漿よりも薄い汗がでる.
>> 体温調節で使用される.
Eccrine腺は手掌, 腋窩に多く, ストレスや運動下で1日に10Lもの汗を産生できる機能を持つ.
Apocrine腺は毛嚢と直接連結している.
掌や足底からの発汗は出生後すぐに可能であるが, 腋窩からの発汗は思春期より可能となる.
これはApocrine腺の発達に関連しており, 18歳まで増加し,その頃には45%がApocrine腺となる.
汗腺は交感神経に支配される.
Acetylcholineにより調節される.
脊髄ではT1-4が顔面, 眼瞼, T2-8が上肢の皮膚, T4-T12が体幹, T10-L2が下肢を支配する.
Primary hyperhidrosisの診断
発汗は局所的で全般的ではない点
Secondary hyperhidrosisを来す疾患, 薬剤使用が除外される.
年齢も重要で, 典型的なPrimaryでは15-18歳がピーク.
25歳未満のことが多い.
診断Criteria: Multi-specialty working group
明らかな局所性の発汗過多が6ヶ月以上持続し, 原因が無い.
以下の2つ以上を満たす
両側性で左右対称性 ADLを障害している
週に1回以上ある 25歳未満の発症である
家族歴がある 睡眠中は発汗がない
Secondaryの原因となり得る病態, 薬剤
感染症: 急性感染症, 慢性感染(TB, マラリア, ブルセラ症)等
薬剤性: アルコール, コカイン, ヘロイン, CPFX, アシクロビル, Esomeprazole, sertraline, 抗鬱薬
内分泌: 糖尿病, 甲状腺機能亢進症, 閉経後, 妊娠, カルチノイド, 下垂体機能亢進症, 褐色細胞腫, Acromegaly
神経: 脳梗塞, 脊髄損傷, 耳下腺摘出後の味覚発汗, パーキンソン病
その他: リンパ腫, 骨髄増殖性疾患, CHF, 不安, 肥満
Secondaryを疑うポイント
全身性の発汗, 夜間に顕著な発汗, 原因となり得る薬剤を使用, 違法薬剤の使用, 体重減少, 動悸, 全身の不調の訴え等で疑う.
発汗の評価にはStarch-iodine testが有用.
ただし部位の評価のみで量の評価は出来ない
多汗症の治療
Primary hyperhydrosisの治療
Spicy foodやアルコール摂取, ストレスを避ける.
発汗抑制スプレーの使用, 吸汗性のよい衣服を着る, 等.
局所治療では, Aluminium chrorideが最も良く使用される.
Aluminiumイオンが汗腺の細胞に取り込まれると, 浸透圧を上昇させて汗を吸収させる.
ただし永続的ではなく, 6wk程度で効果は低下する.
恥ずかしさもあり, 訴えない患者も多い.
発汗過多によりペンが握れない, 仕事が出来ない等, ADL障害にも関連する.
HyperhidrosisにはPrimaryとSecondaryがある.
局所的な発汗過多で, 他に問題が無い場合はPrimaryに属する
全身的な発汗過多で関連疾患や薬剤があればSecondary.
Primary hyperhidrosis: 一般人口の1-2.8%を占める
この問題で病院受診をしているのは38%のみ.
どの年代でも起きて良く, 10歳台1.6%を占めるが, 高齢者では少ない. 自然に改善することが推測される.
小児では手掌の発汗過多を生じる傾向があり, 腋窩の発汗はより思春期で多い.
汗腺の発達と関連していると考えられる.
腋窩が最も多く73%, 次いで手掌 45.9%, 足 41.1%, 頭蓋 22.8%, 鼠径 9.3%となる
男女差は無しとする報告が多い. 一部で女性が多いと報告されているが, 受診頻度の問題の可能性がある.
発症年齢の平均は14歳だが, 医療機関受診まで15年かかる.
家族歴陽性も65%であり, 遺伝的要素の関連も示唆される.
Hyperhidrosisの機序は不明瞭
汗腺の密度は正常だが, 皮脂の産生は亢進している.
汗腺の大半がEccrine腺であり, 血漿よりも薄い汗がでる.
>> 体温調節で使用される.
Eccrine腺は手掌, 腋窩に多く, ストレスや運動下で1日に10Lもの汗を産生できる機能を持つ.
Apocrine腺は毛嚢と直接連結している.
掌や足底からの発汗は出生後すぐに可能であるが, 腋窩からの発汗は思春期より可能となる.
これはApocrine腺の発達に関連しており, 18歳まで増加し,その頃には45%がApocrine腺となる.
汗腺は交感神経に支配される.
Acetylcholineにより調節される.
脊髄ではT1-4が顔面, 眼瞼, T2-8が上肢の皮膚, T4-T12が体幹, T10-L2が下肢を支配する.
Primary hyperhidrosisの診断
発汗は局所的で全般的ではない点
Secondary hyperhidrosisを来す疾患, 薬剤使用が除外される.
年齢も重要で, 典型的なPrimaryでは15-18歳がピーク.
25歳未満のことが多い.
診断Criteria: Multi-specialty working group
明らかな局所性の発汗過多が6ヶ月以上持続し, 原因が無い.
以下の2つ以上を満たす
両側性で左右対称性 ADLを障害している
週に1回以上ある 25歳未満の発症である
家族歴がある 睡眠中は発汗がない
Secondaryの原因となり得る病態, 薬剤
感染症: 急性感染症, 慢性感染(TB, マラリア, ブルセラ症)等
薬剤性: アルコール, コカイン, ヘロイン, CPFX, アシクロビル, Esomeprazole, sertraline, 抗鬱薬
内分泌: 糖尿病, 甲状腺機能亢進症, 閉経後, 妊娠, カルチノイド, 下垂体機能亢進症, 褐色細胞腫, Acromegaly
神経: 脳梗塞, 脊髄損傷, 耳下腺摘出後の味覚発汗, パーキンソン病
その他: リンパ腫, 骨髄増殖性疾患, CHF, 不安, 肥満
Secondaryを疑うポイント
全身性の発汗, 夜間に顕著な発汗, 原因となり得る薬剤を使用, 違法薬剤の使用, 体重減少, 動悸, 全身の不調の訴え等で疑う.
発汗の評価にはStarch-iodine testが有用.
ただし部位の評価のみで量の評価は出来ない
多汗症の治療
Primary hyperhydrosisの治療
Spicy foodやアルコール摂取, ストレスを避ける.
発汗抑制スプレーの使用, 吸汗性のよい衣服を着る, 等.
局所治療では, Aluminium chrorideが最も良く使用される.
Aluminiumイオンが汗腺の細胞に取り込まれると, 浸透圧を上昇させて汗を吸収させる.
ただし永続的ではなく, 6wk程度で効果は低下する.
多汗症
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1st
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2nd
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3rd
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4th
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5th
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腋窩
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塩化アルミニウム外用
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Botulin A
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全身
抗コリン薬 |
Iontophoresis
± 抗コリン外用 |
胸腔鏡下
交感N切除 |
手掌
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塩化アルミニウム外用
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Iontophoresis
± 抗コリン外用 |
全身
抗コリン薬 |
胸腔鏡下
交感N切除 |
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足底
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塩化アルミニウム外用
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Iontophoresis
± 抗コリン外用 |
全身
抗コリン薬 |
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頭頸部
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塩化アルミニウム外用
Glycopyrrolate |
全身
抗コリン薬 |
胸腔鏡下
交感N切除 |
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塩化アルミニウム外用は市販されている.
Iontophoresisは水道水に患部を浸し, 電気を流す方法.
Iontophoresisは水道水に患部を浸し, 電気を流す方法.