実際困るのは脳梗塞発症時にはAf所見が認められない場合であり, その際背後にAfが隠れているリスクがどの程度あるのか, 評価方法はなにがベストかは未だ結論を得ていない.
Afの既往, 出血性梗塞, 動脈解離を除いた脳梗塞, TIA患者149名のProspective cohort.
(Stroke 2004;35:1647-51)
入院時にECGを施行し, 正常ならば入院後, 24hr-holter ECGを施行,
Holterも正常ならばその後7dのECG monitoringを施行した.
Holterも正常ならばその後7dのECG monitoringを施行した.
上記の精査にて, 22/149(14.8%)で新規Af, AFが検出.
入院時ECGで4名, Holterで7名, 入院後5日以内のECG再検で6名, 7日間のECG monitoringで5名のAf, AFが検出された.
脳梗塞, TIA患者では, Silent Afが隠れている可能性が高い.
可能ならば長期間のMonitoring(当然毎日リコール確認)が大事ということが分かる.
可能ならば長期間のMonitoring(当然毎日リコール確認)が大事ということが分かる.
入院中は持続ECGモニターをし, そして毎日しっかりとリコールを確認する.
(モニターしているのにリコールも確認しないならばモニターする意味は無い.)
CRYSTAL AF trial; (N Engl J Med 2014;370:2478-86.)
40歳以上で, 過去90日以内に脳梗塞, TIAを発症した患者群.
24h ECG, TTE, 凝固障害, 血管評価を行い原因不明のCryptogenic strokeと診断された441例のRCT.
24h ECG, TTE, 凝固障害, 血管評価を行い原因不明のCryptogenic strokeと診断された441例のRCT.
埋め込み型 loop recorderを使用する群 vs 通常のモニタリング群で6ヶ月間のAf検出率, 抗凝固療法率, 脳梗塞, TIA再発率を評価.
Af検出率は以下の通り:
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介入群
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Control
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HR
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@6M
|
8.9%
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1.4%
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6.4[1.9-21.7]
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検出までの期間
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41d[14-84]
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32d[2-73]
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無症候性の率
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74%
|
33%
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脳梗塞, TIA
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5.2%
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8.6%
|
|
抗凝固薬
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10.1%
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4.6%
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p=0.04
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@12M
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12.4%
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2.0%
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7.3[2.6-20.8]
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検出までの期間
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84d[18-265]
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53d[17-212]
|
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無症候性の率
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79%
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50%
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脳梗塞, TIA
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7.1%
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9.1%
|
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抗凝固薬
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14.7%
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6.0%
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p=0.007
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脳梗塞, TIA再発に着いては有意差ないものの, 長期的では有意差が出る可能性がある.
EMBRACE trial: (N Engl J Med 2014;370:2467-77.)
55歳以上で, 過去6ヶ月以内に原因不明の脳梗塞, TIA歴(+)の572例を対象としたRCT.
原因不明とは, 一般的な原因検査, 24h Holter ECG, TTEでも原因がないこと.
患者群はAfの既往無し.
患者群はAfの既往無し.
上記患者群をさらに30日間のevent-triggered loop recorder群, vs 24h Holter-ECG群に割り付け, 30秒以上持続するAfを評価.
患者群の平均年齢は72.5-73.2歳.
アウトカム:
アウトカム
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持続ECG
|
24h ECG
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AD
|
NNS
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90日以内の≥30秒のAf
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16.1%
|
3.2%
|
12.9[8.0-17.6]
|
8[5.7-12.5]
|
モニターで検出された≥30sのAf
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15.5%
|
2.5%
|
13.0[8.4-17.6]
|
8[5.7-11.9]
|
≥2.5分持続するAf
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9.9%
|
2.5%
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7.4[3.4-11.3]
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14[8.8-29.4]
|
持続期間に関係しないAf
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19.7%
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4.7%
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15.0[9.8-20.3]
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7[4.9-10.2]
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NNS: No. needed to screen
測定期間とAfの検出率.
24hのみでは不十分. 少なくとも2wk〜4wkの評価が重要.
抗凝固薬使用頻度
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持続ECG
|
24h ECG
|
AD
|
最初の脳梗塞, TIA前の抗凝固薬
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1.0%
|
0.7%
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-
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イベント後, 割り付け時の使用
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5.6%
|
6.7%
|
-
|
Study開始後90dの使用
|
|
|
|
抗凝固薬のみ
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18.6%
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11.1%
|
7.5[1.6-13.3]
|
抗血小板薬のみ
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79.6%
|
88.2%
|
-8.6[-14.6~-2.5]
|
Study開始後90dでの投薬変化
|
|
|
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抗血小板薬→抗凝固薬
|
13.6%
|
4.7%
|
8.9[4.2-13.6]
|
抗凝固薬→抗血小板薬
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1.1%
|
0.7%
|
0.4[-1.2~1.9]
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これらデータより,
他に原因のない脳梗塞, TIA患者の10-15%で発作性心房細動が隠れている.
Pafの検出には24h ECGでは不十分であり, 可能ならばLoop recorderが推奨される.
それが出来ない場合は入院中は持続モニターを行い, 毎日必ずPafのチェックをする.
ということが分かる.
では, 来院時のLabでPafのリスクが分かるかどうか?
これについては以下のデータがある
D-dimer, BNPの有用性
126名の脳梗塞患者において, Day 1, 6, 12でD-dimerを評価
(Arch Intern Med 2002;162:2589-93)
平均年齢75.5yr, 27%が心原性, アテローム性は27%, ラクナ25%.
D-dimer値は有意に心原性梗塞群で高値を示した.
Subtype |
Day 1 |
Day 6 ± 1 |
Day 12 ± 1 |
心原性(34) |
2.96±0.51 |
2.58±0.40 |
3.79±0.53 |
アテローム(34) |
1.34±0.21 |
1.53±0.26 |
2.91±0.59 |
ラクナ(31) |
0.67±0.08 |
0.72±0.06 |
0.64±0.10 |
Cryptogenic(27) |
1.08±0.15 |
1.19±0.17 |
1.72±0.30 |
D-dimer値は, 心原性 > アテローム性 = Cryptogenic > ラクナ梗塞
Subtype |
Cutoff |
Sn(%) |
Sp(%) |
LR(+) |
LR(-) |
心原性 |
>2.00 |
59.3[38.8-77.6] |
93.2[85.7-97.4] |
8.69 |
0.44 |
ラクナ |
<0.54 |
61.3[42.2-78.1] |
96.2[89.2-99.2] |
15.94 |
0.4 |