Eur Respir J 2006; 28: 862–871
DPBとは特発性の炎症性疾患であり, 日本から報告例が多い
名前の通り, 両側びまん性, 全細気管支の炎症を生じる.
組織学的には呼吸細気管支の炎症で, Foamy histiocyte, Neu, Lyの浸潤を認める. LyはCD8+ T cellが主.
副鼻腔炎を合併することも多く, H influenzae, S pneumoniae, P aeruginosaを喀痰から検出することが多い.
未治療で放置しておくと, 徐々に気管支拡張を生じ, 閉塞性呼吸不全を合併する.
好発年齢は40歳だが, 発症年齢は10-70歳台と幅広い.
日本国内からの統計では有病率は11/100000.
男女比は男性 : 女性 = 1.4-2 : 1と男性に多い傾向があるが, そこまで有意な差がないという見解.
2/3が非喫煙者で, 特に抗原吸入や毒素吸入の病歴も無いことが大半
原因は不明だが, 遺伝子が関連している可能性が示唆
特にHLAの遺伝子型が関与しており, DPBではHLA-Bw54の陽性率が高い(63% vs 11%) との報告があるが, それ以外にも様々な遺伝子の関連が示唆されている.
DPBの組織; 剖検例では気管支拡張と閉塞性肺障害.
小気管内に2-3mmの黄色の結節を認める.
病変はびまん性だが, 下肺でより高度な傾向がある.
呼吸細気管支周囲にHistocyte, 形質細胞, リンパ球の浸潤を認める.
呼吸細気管支の炎症所見という点がDPBに特異的であり, 他の閉塞性気管支炎では炎症はMembranous bronchiolesに主となる点で異なる.DPBの経過, 所見
咳嗽, 喀痰は20-50歳台に出現し, その後労作時呼吸苦も出現
身体所見ではCrackels, Wheezeを聴取する.
未治療では喀痰量は50ml/dにも及ぶ.
80%以上で副鼻腔炎の既往, 合併を認めている.
画像所見;
肺過膨張とびまん性の小葉中心性陰影, Tree-in-budを認める.
慢性経過例では気管支拡張所見や嚢胞を合併.
呼気CTでは部分的なAir Trappingの所見が認められる.
DPB81名の喀痰検査において,
44%でH influenzaeが陽性, 22%でP aeruginosaが陽性となった.
頻度は落ちるが, S pneumoniae, Moraxella catarrhalis, S aureusも早期例では陽性例あり.
治療開始後4年間でP aeruginosaの陽性率は60%まで上昇
肺機能検査では気管拡張薬に反応しない閉塞性障害
DPBの鑑別疾患
慢性気管支炎
気管支拡張症
感染性細気管支炎
Primary ciliary dyskinesia
Cystic fibrosis
低ガンマグロブリン症
RA関連気管支炎
IBD関連気管支炎
特発性慢性気管支炎
DPBの診断クライテリア
DPBの治療
マクロライドの長期投与が治療となるが, 2013年のコクランでは効果は証明できていない.
呼吸機能の悪化予防, 画像所見の改善が見込める.