IgG4関連腹部大動脈瘤 Curr Opin Rheumatol 2011;23:18-23
炎症性大動脈炎による大動脈瘤は稀ながら報告例がある
後腹膜へ炎症が波及すると後腹膜線維症となり, 関連性を認める.
自己免疫性膵炎, 後腹膜線維症などIgG4-related systemic diseaseに大動脈炎が併発することもあり, IgG4が大動脈炎に関連している可能性.
炎症性の大動脈瘤はAAA全体の2-10%を占める原因.
炎症性大動脈瘤患者は通常のAAAと比較して若年.
血清IgGは高値を示し, ANAは高頻度に陽性となる.
血清IgGは高値を示し, ANAは高頻度に陽性となる.
PETでは大動脈周囲が高信号を示す.
胸部大動脈単独発症の報告は無し. 腹部からの波及はあり得る程度.
しかしながら, 今後発見される可能性あり.
SMA, 冠動脈にIgG4関連血管炎が生じた報告もあり.
しかしながら, 今後発見される可能性あり.
SMA, 冠動脈にIgG4関連血管炎が生じた報告もあり.
肉眼所見では白色, グリス状の大動脈瘤周囲の線維化.
組織所見ではLymphoplasmacytic infiltrationが認められる.
鑑別疾患としては,
炎症性大動脈瘤
高安病, GCA, RA, Cogan病, 強直性脊椎炎,
Behet病で炎症性大動脈炎を来す.
高安病, GCA, RA, Cogan病, 強直性脊椎炎,
Behet病で炎症性大動脈炎を来す.
感染性動脈瘤が重要.
IgG4-IAAA vs non-IgG4-IAAA (Inflammatory Abdominal Aortic Aneurysm)
臨床, 治療上, IgG4関連IAAA vs 非関連IAAAの鑑別は重要.
一般的にIgG4関連では炎症が強い傾向あり. 特に外膜の肥厚が強い.
組織所見では好酸球浸潤, Lymphoid follicle形成, 閉塞性静脈炎, 神経周囲の炎症波及が有意に認められる.
好中球浸潤や中膜肥厚はnon-IgG4-IAAAを示唆する所見.
IAAA全体の50%がIgG4-IAAA.
手術したAAAの内, 5%がIgG4-IAAA.
発症年齢, 大動脈瘤径, 部位ではIgG4関連 or notの鑑別は付かない.
破裂のriskはIgG4-IAAAの方が少ない.
IgG4-IAAAではより自己免疫疾患, アレルギー疾患合併が多い
気管支喘息は約30%で合併する.
また, IgG4関連疾患の合併もあり(膵炎, リンパ節炎, 後腹膜線維症).
また, IgG4関連疾患の合併もあり(膵炎, リンパ節炎, 後腹膜線維症).
他の鑑別点としては,
IgG4高値, IgE高値, ANA高値(>320倍)がIgG4-IAAAに特徴的.
胸部大動脈炎は6例のCase reportあり.
65-74yrで, 5/6で弓部を含む血管炎.
2/5で上行大動脈を侵し, 下行大動脈を含むのは1例のみ.
2/5で上行大動脈を侵し, 下行大動脈を含むのは1例のみ.
ボストンでの5年間の胸部大動脈炎を調査すると, 内9%がIgG4-related Aortitisであった.
胸部大動脈解離の内, IgG4-related aortitisは0.5% (日本国内からの報告では1.6%とやはり高値となる) Curr Opin Rheumatol 2011;23:88-94
IgG4関連腎炎 Am J Kidney Dis. 58(2):320-324.
IgG4に由来する尿細管間質性腎炎の症例報告
尿細管間質性腎炎の原因として有名なものは, 薬剤(抗生剤, NSAID), 感染症, 自己免疫, 代謝性, 形質細胞疾患, 先天性など挙げられるが, IgG4関連疾患も原因として挙げられる.
組織所見では,
A) 間質の線維化を区域性に認め,
B,D) IgG4陽性の形質細胞の浸潤
C) 炎症部位の線維化 を認める.
A) 間質の線維化を区域性に認め,
B,D) IgG4陽性の形質細胞の浸潤
C) 炎症部位の線維化 を認める.
また膜性腎症を示す例もあり.
IgG4関連腎炎の診断Criteria Mod Rheumatol (2012) 22:21–30
1) 腎障害; 尿検査異常, 腎機能低下 + IgG, IgE上昇 or 低補体血症 |
2) 腎画像所見異常 a) 造影CTで多巣性の低造影領域 b) 腎のびまん性腫大 c) 腎のHypovascular solitary mass d) Renal pelvic wallの過形成領域 (renal pelvic surface表面は整) |
3) IgG4 >135mg/dL |
4) 腎の組織所見 a) IgG4+ 形質細胞がHPFあたり>10個, IgG4+/IgG+ 形質細胞>40% b) リンパ球, 形質細胞が浸潤した線維性, 硬化性組織 |
5) 腎外の組織所見 IgG4+ 形質細胞がHPFあたり>10個, IgG4+/IgG+ 形質細胞>40% |
Definite | 1+3+4a,b 2+3+4a,b 2+3+5 1+3+4a+5 |
Probable | 1+4a,b 2+4a,b 2+5 3+4a,(b) |
Possible | 1+3 2+3 1+4a 2+4a |
Hypertrophic pachymeningitis Medicine 2013;92: 206-216
Hypertrophic pachymeningitis; 脳, 脊髄の髄膜の肥厚を呈する炎症性疾患.
肥厚に伴う脳実質, 神経の圧迫が生じ, 神経症状を来す.
感染症; 結核性髄膜炎
膠原病; RA, 血管炎 Polyangiitis, Wegener肉芽種, GCA, ベーチェット病, サルコイドーシス
悪性腫瘍; リンパ腫
原因として挙げられるが, 原因のない特発性もあり得る.
その特発性の中にIgG4関連性髄膜炎が近年判明している.
膠原病; RA, 血管炎 Polyangiitis, Wegener肉芽種, GCA, ベーチェット病, サルコイドーシス
悪性腫瘍; リンパ腫
原因として挙げられるが, 原因のない特発性もあり得る.
その特発性の中にIgG4関連性髄膜炎が近年判明している.
Hypertrophic pachymeningitis 14例中, 特発性が6例.
Wegener肉芽腫症 3例, RA 1例, GCA 1例, サルコイド 1例, MALTリンパ腫, NHLが1例ずつ. 分類不能 2例.
特発性6例中, 4例でIgG4+形質細胞が認められた(66%)
IgG4-RSDによる眼窩付属器炎 Curr Opin Ophthalmol 2012, 23:415 – 419
IgG4-RSDによる眼窩付属器の炎症の報告は日本国内が多い.
無症候性, 両側性の涙腺へのリンパ球浸潤と線維化, 血清IgG4の上昇例, 他のIgG4-RSDとの合併例も多い(唾液腺炎, 膵炎等)
報告例では, 眼窩付属器のIgG4-RSDからリンパ腫が生じた例もあり, 長期フォローにてリンパ腫のリスクとなる可能性が示唆されている.
また, 悪性Marginal zone B-cell lymphoma 114例中10例で, IgG4陽性形質細胞の浸潤を認めたとの報告もあり,リンパ腫が背景にある場合も考えられる.
IgG4-RDで眼病変を来した9例の解析 Mod Rheumatol, 2014; 24(3): 471–476
8例で涙囊炎, 1例で眼球後部視神経腫脹, 1例で眼窩内炎症を認めた.
他臓器の症状は全例であり.
眼窩内の生検では全例でリンパ球, 形質細胞, 線維化を認め, IgG4/IgG陽性細胞比は>40%を満たしていた.
他臓器の症状は全例であり.
眼窩内の生検では全例でリンパ球, 形質細胞, 線維化を認め, IgG4/IgG陽性細胞比は>40%を満たしていた.
PSL0.6mg/kgで全例反応したが, 減量により2例で再燃.
特発性外眼筋炎もIgG4-RSDによる報告例, 自験例がある Surv Ophthalmol 57:26--33, 2012.
眼窩内炎症性疾患の原因一覧 Curr Opin Ophthalmol 2012, 23:415 – 419
5-8%が生検しても原因不明であり, “Idiopathic orbital inflammation”と呼ばれる.
IOIの中でIgG4-RSDが原因のものが近年報告されてきている.
ただしステロイドに反応あり = IOIではなく, リンパ腫でも反応し得るため, 注意が必要
IOIの中でIgG4-RSDが原因のものが近年報告されてきている.
ただしステロイドに反応あり = IOIではなく, リンパ腫でも反応し得るため, 注意が必要
IgG4-RSDと皮疹 Mod Rheumatol (2013) 23:986–993
IgG4-RSでは皮疹も出現し得る.
生検にてIgG4陽性形質細胞の浸潤が認められる
報告例は丘疹や結節を呈する事が多い.