ブログ内検索

2014年6月24日火曜日

壊疽性膿皮症 Pyoderma gangrenosum (PG)

壊疽性膿皮症 Pyoderma gangrenosum(PG)
Rheum Dis Clin N Am 33 (2007) 787–802

好中球浸潤を来す皮下組織の炎症. 膿瘍, 潰瘍形成をきたし, 以下に分類される
 Classic PG; 下肢の潰瘍形成
 Atypical PG; より表層の潰瘍形成, 青灰色の深い糜爛, 水泡性の辺縁で, 上肢や顔面に認められる.
 Peristomal PG; ストーマ周囲に形成されるタイプ

更に細かい分類では以下のようになる
Atypical PGに, Pustular, Bullous, Vegetative, Genital, Infantileが含まれる.
皮膚外病変例もある。(
JEADV 2009, 23, 1008 –1017)

PGの疫学
発症率は不明な部分が多いが, 3-10/100万-yと言われている
 好発年齢は20-50歳で, 若干女性例が多い分布.
 50%で原疾患を認め, 最も多いのはIBD, 関節炎, リンパ増殖性疾患.
 原因は不明だが, 自己免疫疾患に関連する例が多いため, 自己免疫機序が推定されている(治療も免疫抑制剤)
 針反応や軽度の外傷を契機に増悪することからは, 免疫がコントロールできない為に生じていると考えられ, 組織での好中球浸潤からは, 好中球の過活動性が原因の可能性が高い.
 好中球を刺激するImmunoglobulinがPG患者ではPolyclonal, monoclonalに増加していることも多い.
 また, IL-8がPG患者では増加しているとの報告もある.
 経過は急性経過, 再発, 慢性まで様々.
 再発性, 慢性例は二次性のことが多い.
壊疽性膿皮症の臨床的特徴 (Rheum Dis Clin N Am 33 (2007) 787–802)
Classic PGは通常下肢に生じるが, どこでも生じ得る. (腹部, 陰部, 体幹, 顔面, 頸部等)
 原疾患としてはIBDとRAが最多であり, 原疾患に先行して出現する例も, 経過中, 同時に出現する例も様々.
 潰瘍は周囲が隆起し, 潰瘍底は壊死組織を認める.
 潰瘍周囲は紅斑を認め, 2cm以上拡大することが多い.
 リンパ節腫大やリンパ管炎は来さない.
 20%でKoebner現象を伴う. (針反応も含まれる)
 病変部位は疼痛を伴う.

Atypical PGはより表層部位の潰瘍形成で, 上肢に多いタイプ.
 多くは膿疱から生じ, 拡大してゆく. Sweet病の一型とも捉えられる.
 また, “pustular vasculitis” “neutrophilic dermatoses of the dorsal hands”と呼称されることもある.
 Atypical PGの原疾患として多いのは, 骨髄性白血病, 骨髄異形成症候群, 不応性貧血, IgA paraproteinemia.

Peristomal PG; ストーマ周囲に形成されるPG
 Classic PG症例に併発することが多い(特にクローン病).
 UCや他の理由でストーマを作成した患者において, このPGが出現した場合, 悪性腫瘍の再発やクローン病の発症をチェックする必要がある.
PGでは針反応が陽性となる; 針以外にも軽度の裂傷や,  デブリの後に更に増悪する可能性がある(全例ではない)

皮膚外病変
 皮膚には無菌性の好中球浸潤が認められるが, 皮膚以外にも同様の病巣を呈することがある.
 最も多いのは肺病変. 他には骨病変, 虹彩, 肝臓, 脾臓, 心臓, 骨格筋, 中枢神経系の報告があるが, 基本的に皮膚外病変は稀.

極稀な家族性PGもあり; PAPA syndrome, Pyogenic sterile arthritis, Pyoderma gangrenosum, and Acne 
 常染色体優性遺伝で, 15q25でコードされる
 IL-16が過剰発現し, 好中球を活性化させる病態.

壊疽性膿皮症に関連する原疾患 (JEADV 2009, 23, 1008 –1017)
SAPHO症候群やBehcet病に伴うものもある
Monoclonal gammopathyでは, IgAタイプが多いが, IgG, IgMでも報告あり

1521名のCDと744例のUC患者の解析では, 
 CDの5.6%で結節性紅斑(EN), 0.66%で壊疽性膿皮症(PG)を合併.  
 UCの1.2%で結節性紅斑, 0.67%で壊疽性膿皮症を合併した.
ENを合併しやすい, しにくい因子としては,

PGを合併しやすい因子としては
眼病変を伴う場合や, ストーマ増設されている場合はPGのリスク.
ENとPGは同時に出現しやすい.
(Medicine 2008;87:281-293)


PGの診断クライテリア (Rheum Dis Clin N Am 33 (2007) 787–802)
典型的な所見, 組織所見と他の疾患の除外, 治療反応性が診断に重要.

PGの鑑別診断 (Rheum Dis Clin N Am 33 (2007) 787–802)
血管炎, 静脈血栓症, 悪性腫瘍, 炎症性疾患, 感染症が挙げられる.

血管炎ではPolyarteritis nodosa, ANCA関連血管炎, Mixed cryoglobulinemiaが最も類似している.
静脈血栓症ではLivedoid vasculitis(atrophie blanche), 抗リン脂質症候群, Factor V Leiden mutation, methylene tetrahydrofolate reductase polymorphismsが鑑別に挙る
悪性腫瘍: 扁平上皮癌, 皮膚リンパ腫, Leukemia cutis, 転移腫瘍
炎症性疾患: クローン病(Metastatic Crohn disease), Immunobullous disorders
感染症: 蜂窩織炎, ヘルペス潰瘍, Buruli ulcer, 非定型抗酸菌症, 皮膚結核, leishmaniasis, sporotrichosis, 深部皮膚真菌症, Ecthyma gangrenosum

壊疽性膿皮症は基本的には除外診断.  240例のPGと診断された患者のReviewでは, 95例がPG類似疾患と判断された.
 95例の疾患としては, 以下の通り
(N Engl J Med 2002;347:1412-8)

PGの治療 (Rheum Dis Clin N Am 33 (2007) 787–802)
創傷の治療
 積極的なデブリと感染合併していれば感染症の治療が重要
外用治療薬
 タクロリムス, クロモリンの外用薬
 ステロイドの局所注射が有効と報告されているが, 針反応にて増悪する可能性があり, 初期治療としては推奨されない.
薬剤
 ステロイドを基本とした免疫抑制剤が治療となる.
 大半はステロイド反応性は良好.(0.5-1.0mg/kg/d)
 TNF-α阻害薬も有効との報告が多い. (特発性とクローン病に続発するタイプでは特にEvidenceあり)