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2014年6月11日水曜日

IgG4関連疾患③: 後腹膜線維症

IgG4関連疾患 (Related systemic disease: RSD) ③: 
後腹膜線維症 (Retroperitoneal Fibrosis: RPF)
Rheum Dis Clin N Am 2007;33:803-17

BMC Medicine 2006;4:23


大動脈周囲, 腸骨周囲の後腹膜の硬化性組織形成 尿管, 下大静脈の閉塞を合併することもある
 組織; リンパ球, 形質細胞, マクロファージの浸潤
 HLA-DRB1*03が関与
 自己免疫抗体も認められる例が多い
大部分が特発性. 
二次性として; 薬剤, 悪性腫瘍, 感染症など
 薬剤; Methysergide, 麦角アルカロイド, ドパミン作動薬
 後腹膜腫瘍; リンパ腫, 肉腫
 転移性腫瘍; カルチノイドなど
 外傷, 放射線療法, 腹部外科, 感染症, Histiocytosisなど

Idiopathic RPF
後腹膜のMassとして発見されることが多い
慢性大動脈周囲炎の原因の一つに含まれる
 (RPF)腹部大動脈周囲のMass
 慢性大動脈周囲炎(Periaortitis)
 炎症性腹部大動脈瘤
 Perianeurysmal retroperitoneal fibrosis

RPFでは周囲の後腹膜の炎症がメインであるため, 大動脈周囲炎 + 大動脈は非拡張状態(Undilated)

Idiopathic RPFはHyper IgG4 syndromeの1つ (Multifocal fibrosclerosis)
RPF患者の組織所見にてIgG4(+) 形質細胞が認められる
 唾液腺では>95%でIgG4 positive
 肝臓: 80%, 膵臓: 90%, 後腹膜: 80%, 腎臓: 90%
IgG4関連の後腹膜線維症10例では, IgG4 695mg/dL[154-2330] vs 30[10-53](非関連性)

Idiopathic RPFの疫学 @ Finland
(Lancet 2004;363:1422-6, Rheum Dis Clin North Am 1996;22:23-38)
 年間罹患率; 0.1/100,000
 有病率; 1.4/100,000
 好発年齢; 40-60Y, 男性で多い(2-3:1)
 喫煙者(>20pack-years)ではOR 4.73
Secondary RPFはPrimaryの1/3以下, 詳細は不明
 アスベストへの暴露はRPF発症のリスクを上げるとの報告 (OR 5.5-8.8; =<10Yの暴露)
免疫学的関連
 HLA-DRB1*03, HLA-B*08は慢性大動脈周囲炎に関連
 HLA-DRB1*15, B1*0404はInflammatory AAAに関連

iRPFの臨床症状
 腹痛, 腰痛, 側腹部の鈍痛, たまにColickyなことも
 微熱持続, 食欲低下, 体重減少, 倦怠感などの全身症状
 頻度中; 便秘, 精巣痛, 陰嚢水腫, 精索静脈瘤, 浮腫, DVT
 頻度低; 頻尿, 乏尿, ED
 50%で両側尿管閉鎖を来す
 腎動脈閉塞による高血圧もCheck
 Lab testはNon-specific. CRP, ESRは高値, その他炎症所見が認める程度
 ANAは60%で陽性だが, 抗平滑筋抗体, RFは稀
 自己抗体の測定意義はその他の自己免疫疾患の否定

iRPFの病理
肉眼的には大動脈, 腸骨動脈周囲の灰白色のMass
胸部大動脈まで達する場合, 縦隔線維症となる
腸骨周囲, 脾臓, 膵臓周囲の後腹膜まで達する場合もあり
組織所見;

A; 硬化性病変. 単核球, 炎症性細胞の全体, 血管への浸潤
B; Aの拡大, 静脈炎(+). 静脈周囲のリンパ球, 形質細胞, 好酸球浸潤. B cell(中心), T cell(周辺)に分布
C; Collagen bundlesに広がる単核球. Type I collagenがメイン

画像所見: CT
CT所見; 大動脈周囲のMass
 筋肉と同じDensity, 造影効果は炎症初期に認められる
 前方, 側方へ拡大し、尿管を圧排
 上下方向は 腎動脈分岐部~総腸骨動脈分岐部が多い (たまにSMA, 内・外腸骨動脈まで達するものも)
 下大静脈は巻き込まれ, 圧排されることが多い

画像所見: MRI

T1強調
T2強調
Early (Active stage)
Low intensity
High intensity
Late stage
Low intensity
Low intensity

画像所見: その他
エコー検査
 診断に有用ではない
 治療の効果判定, 病状の進展を評価するのに有用
18F-FDG-PET
 病変の範囲(胸部大動脈など), 他の血管炎, 自己免疫疾患の評価も可能
 前向き研究は未だなく, 感度, 特異度は不明だが有用とされる

53名のiRPF患者の解析 Medicine 2009;88: 193-201
 発症率は1.3/100000-y, 平均年齢は64±11.1y.
 男女比は3.3:1と男性に多い.
 腹部, 背部, 鼠径部痛, 違和感が最も多く, VASでは疼痛49±27.2mm, 不快感43±29.4mmと中等度の症状が多い. 水腎症は56%
症状 %


腹部, 腰部不快感 92% 頻尿 47%
腰痛 60% 精巣痛 46%
腹痛 57% 体重減少 40%
鼠径部痛 53% 便秘 30%
VAS Score(mm)

精索瘤 29%
不快感 43±29.4mm 悪心 嘔吐 25%
疼痛 49±27.2mm 発熱, 悪寒戦慄 25%


下肢上部の間欠跛行 11%


下肢浮腫 8%


射精困難 7%
年齢分布
53例のCT所見
Massの部位

大動脈, 腸骨動脈周囲 62%
大動脈周囲 19%
大動脈, 大静脈周囲 15%
仙骨前 8%
膀胱後部 2%
結腸周囲 2%
Massの大きさ(mm)

最大肥厚 35±16.6
頭部〜尾部 137±48.8
造影CTでのDensity

HU 60±14.8
RPF/腸腰筋 1.2±0.29
その他

水腎症; 片側 40%
水腎症; 両側 15%
腎萎縮 21%
限局性リンパ節腫大 26%
胸膜肥厚 13%
腸間膜脂肪織炎 4%

48名のRPF患者の解析 Medicine 2009;88: 202-207
 男性26名, 女性22名. 平均年齢54.25y
 尿管閉塞は両側性が22, 片側性が10名(Lt. 4, Rt. 6)
症状, 所見

疼痛 94%
新規発症のHT 33%
倦怠感 60%
食欲低下 17%
体重減少 54%
発熱 4%
精索瘤 27%
精巣痛 15%
下肢浮腫 23%
肺塞栓 6%
悪性腫瘍によるRPF(mRF)とiRF
mRF17例, iRF18例, Control RF群15例のRetrospective study Medicine 2012;91: 242-250
 臨床症状と画像所見(MRI)を比較.
 臨床所見; 浮腫, 腹痛, 鼠径部痛, 腰痛は両者で有意差無し.
 >> 症状でmRFとiRFを鑑別するのはほぼ不可能.
 CRPやCre値, 腎不全の頻度も有意差無し.
 画像所見で有意差を認めるものは,
所見 iRF mRF
Ao後部のRFの厚(mm) 2.5[2.0-5.0] 5.0[3.0-8.5]
①腎動脈分岐部 以上, Ao分岐部以下のRF 0 47%
腎動脈分岐部〜Ao分岐部のRF 50% 18%
②中部尿管の牽引所見 83% 24%
 RFの厚さ, 範囲, 水腎症の有無は両者有意差無し.
 ①, ②を満たせば, 感度82% 特異度83%でmRFを示唆する.

IgG4関連RPF vs non-IgG RPF
特発性RPFはIgG4関連, 非関連性に分かれる. Medicine 2013;92: 82-91
両者の組織所見の違い;
IgG4関連ではより形質細胞, Eo浸潤の頻度が高く, 静脈炎を合併
臨床, 画像所見では区別困難であり, 組織所見が鑑別に重要となる.

臨床, 画像所見は両者で同じ

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