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2014年6月12日木曜日

多汗症 Hyperhidrosis

多汗症 Hyperhidrosis
BMJ 2013;347:f6800
体温調節目的以上に発汗が生じる状態.
 恥ずかしさもあり, 訴えない患者も多い.
 発汗過多によりペンが握れない, 仕事が出来ない等, ADL障害にも関連する.

HyperhidrosisにはPrimaryとSecondaryがある.
 局所的な発汗過多で, 他に問題が無い場合はPrimaryに属する
 全身的な発汗過多で関連疾患や薬剤があればSecondary.
Primary hyperhidrosis: 一般人口の1-2.8%を占める
 この問題で病院受診をしているのは38%のみ.
 どの年代でも起きて良く, 10歳台1.6%を占めるが, 高齢者では少ない. 自然に改善することが推測される.
 小児では手掌の発汗過多を生じる傾向があり, 腋窩の発汗はより思春期で多い. 
 汗腺の発達と関連していると考えられる.
 腋窩が最も多く73%, 次いで手掌 45.9%, 足 41.1%, 頭蓋 22.8%, 鼠径 9.3%となる

男女差は無しとする報告が多い. 一部で女性が多いと報告されているが, 受診頻度の問題の可能性がある.
 発症年齢の平均は14歳だが, 医療機関受診まで15年かかる.
 家族歴陽性も65%であり, 遺伝的要素の関連も示唆される.
Hyperhidrosisの機序は不明瞭
 汗腺の密度は正常だが, 皮脂の産生は亢進している.
 汗腺の大半がEccrine腺であり, 血漿よりも薄い汗がでる.
  >> 体温調節で使用される.
 Eccrine腺は手掌, 腋窩に多く, ストレスや運動下で1日に10Lもの汗を産生できる機能を持つ.
 Apocrine腺は毛嚢と直接連結している.
 掌や足底からの発汗は出生後すぐに可能であるが,  腋窩からの発汗は思春期より可能となる.
 これはApocrine腺の発達に関連しており, 18歳まで増加し,その頃には45%がApocrine腺となる.

汗腺は交感神経に支配される.
 Acetylcholineにより調節される.
 脊髄ではT1-4が顔面, 眼瞼, T2-8が上肢の皮膚, T4-T12が体幹, T10-L2が下肢を支配する.

Primary hyperhidrosisの診断
 発汗は局所的で全般的ではない点
 Secondary hyperhidrosisを来す疾患, 薬剤使用が除外される.
 年齢も重要で, 典型的なPrimaryでは15-18歳がピーク.
 25歳未満のことが多い.

診断Criteria: Multi-specialty working group
 明らかな局所性の発汗過多が6ヶ月以上持続し, 原因が無い.
 以下の2つ以上を満たす
 両側性で左右対称性 ADLを障害している
 週に1回以上ある  25歳未満の発症である
 家族歴がある  睡眠中は発汗がない

Secondaryの原因となり得る病態, 薬剤
 感染症: 急性感染症, 慢性感染(TB, マラリア, ブルセラ症)等
 薬剤性: アルコール, コカイン, ヘロイン, CPFX, アシクロビル, Esomeprazole, sertraline, 抗鬱薬
 内分泌: 糖尿病, 甲状腺機能亢進症, 閉経後, 妊娠, カルチノイド, 下垂体機能亢進症, 褐色細胞腫, Acromegaly
 神経: 脳梗塞, 脊髄損傷, 耳下腺摘出後の味覚発汗, パーキンソン病
 その他: リンパ腫, 骨髄増殖性疾患, CHF, 不安, 肥満

Secondaryを疑うポイント
 全身性の発汗, 夜間に顕著な発汗, 原因となり得る薬剤を使用, 違法薬剤の使用, 体重減少, 動悸, 全身の不調の訴え等で疑う.
 発汗の評価にはStarch-iodine testが有用.
 ただし部位の評価のみで量の評価は出来ない

多汗症の治療
Primary hyperhydrosisの治療
 Spicy foodやアルコール摂取, ストレスを避ける.
 発汗抑制スプレーの使用, 吸汗性のよい衣服を着る, 等.
 局所治療では, Aluminium chrorideが最も良く使用される.
 Aluminiumイオンが汗腺の細胞に取り込まれると, 浸透圧を上昇させて汗を吸収させる.
 ただし永続的ではなく, 6wk程度で効果は低下する.
多汗症
1st
2nd
3rd
4th
5th
腋窩
塩化アルミニウム外用
Botulin A
全身
抗コリン薬
Iontophoresis
±
抗コリン外用
胸腔鏡下
交感N切除
手掌
塩化アルミニウム外用
Iontophoresis
±
抗コリン外用
全身
抗コリン薬
胸腔鏡下
交感N切除

足底
塩化アルミニウム外用
Iontophoresis
±
抗コリン外用
全身
抗コリン薬


頭頸部
塩化アルミニウム外用
Glycopyrrolate
全身
抗コリン薬
胸腔鏡下
交感N切除


塩化アルミニウム外用は市販されている.
Iontophoresisは水道水に患部を浸し, 電気を流す方法.

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