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2014年6月10日火曜日

IgG4関連疾患①: 総論

IgG4関連疾患 IgG4-related systemic disease(RSD)
Lymphoplasmacytic infiltration, IgG4+ Plasma cellの浸潤を膵臓, 後腹膜, 動脈, 唾液腺など様々な臓器に認める病態.
 Type 1 自己免疫性膵炎もIgG4-RSDの1つ.
 2003年に提唱された概念であり, 様々な疾患に関与している可能性あり
疾患 Target organ
Mikulicz’s disease 唾液, 涙腺
Kuttner’s tumor 顎下腺
Riedel’s thyroiditis 甲状腺
Chronic sclerosing aortitis 大動脈
Inflammatory abdominal aortitis 腹部大動脈
Retroperitoneal fibrosis 後腹膜
Autoimmune pancreatitis 膵臓
Sclerosing cholangitis 胆道
Orbital pseudotumor 眼科周囲組織
Eosinophilic angiocentric fibrosis 副鼻腔, 鼻腔
Multifocal fibrosclerosis 様々な臓器
それまで ”特発性”とされてきた疾患のなかで, IgG4が関連しているものが含まれていることが判明している.
PSCの一部はIgG4-RSDであり, その場合はステロイドに著効する可能性がある.
また, シェーグレン症候群の一部もIgG4が関連するものがある.

IgG4はFcへの結合性が低く, 補体活性作用が無い.
 従って, ヒト体内におけるIgG4の免疫への関与は不明瞭.
 IgG4の上昇はアレルギー反応, 炎症性疾患, リンパ増殖性疾患, 寄生虫感染症に関連するとの報告もある.

 自己免疫性膵炎と他の膵疾患との鑑別にIgG4>1.35g/Lが有用, 感度95%, 特異度97%であるが, 現在ではこのCutoffをIgG4-RSD全体で使用している.
 また, 組織中IgG4+/IgG+ Plasma cell ratio>0.4もIgG4-RSDの診断に有用
(Medicine 2012;91: 49-56)

侵襲臓器は?
膵臓は最も報告例が多い臓器だが, もともとAIPから提唱された概念であり, 当然と言えば当然.
 AIPの71-100%に胆管炎を合併する.
 IgG4由来の胆管炎ではIgG4上昇が74%で認められる.
 肝臓浸潤によりIgG4-Hepatopathyも来す.
 IgG4(+)形質細胞浸潤を来す以外は, 自己免疫性肝炎と同じ病態.

他の臓器としては,
 胃, 大腸, 眼窩, 後腹膜, 腸間膜, 大動脈, 甲状腺, 乳房, 肺, 腎, 下垂体, 髄膜, 前立腺, 皮膚, リンパ節, 心膜と様々
(Curr Opin Rheumatol 2011;23:57-66)

IgG4-RSD 25例の解析 @フランス (Medicine 2012;91: 49-56)
25例の臨床症状, 所見, 侵襲臓器
男女比は2.6:1と男性に多く, 平均年齢は58yr[24-83]
血液所見
補体は約半数で低下. 自己抗体は通常陰性となる.

IgG4-RDの10%が傍腫瘍症候群?
札幌医大付属病院に1997年から紹介, 診断されたIgG4-RD患者106名の解析.
 男性50例, 女性56例. 平均年齢59.02歳.
 67名がMikulicz’s Disease, 17名がKuttner’s tumor, 12名がIgG4-related dacryoadenitis,10名が自己免疫性膵炎.
 このうち, 診断時, フォロー中に悪性腫瘍を認めたのは11名(10.4%)
 乳癌, 肺癌, 大腸癌, 腎癌, 前立腺, 血液腫瘍が含まれる.
 同年齢の人口の癌発症率を比較して, 3.82倍のリスクとなる(男性3.31, 女性4.71)
 癌(+)と(-)群では病状に有意差無し
(Mod Rheumatol (2012) 22:414–418)

IgG4-RSDの診断クライテリア2011 (Mod Rheumatol (2012) 22:21–30)
1) 単体臓器, 多臓器のびまん性/局所性の腫大, Massを認める
2) IgG4 ≥135mg/dLを満たす
3) 組織所見が以下を満たす
 3-1) Ly, 形質細胞の浸潤と線維化
 3-2) IgG4+形質細胞の浸潤(IgG4+ /IgG+ cell >40%, >10 IgG4+ 形質細胞/HPF)
Definite 1) + 2) + 3) 
Probable 1) + 2) 
Possible 1) + 2) 
除外診断として, リンパ腫や悪性腫瘍, Sjogren, PSC, Castleman病, Wegener肉芽種, サルコイド, Churg-Straussなどの除外は重要.

IgG4+ Mikulicz's disease診断クライテリア
1) 涙腺, 耳下腺, 顎下腺の2箇所以上が対称性に3ヶ月以上腫脹している 
2) IgG4 >135mg/dL
3) 組織学的にIgG4+形質細胞とリンパ球が浸潤(IgG4+/IgG+ >50%) する線維化, 硬化病変
鑑別で重要なのはリンパ腫, サルコイド, Castleman病, Wegener肉芽種, Sjogren症候群など

IgG4関連腎症の診断クライテリア
1) 腎障害; 尿検査異常, 腎機能低下 + IgG, IgE上昇 or 低補体血症
2) 腎画像所見異常
 a)
造影CTで多巣性の低造影領域
 b)
腎のびまん性腫大
 c)
腎のHypovascular solitary mass
 d) Renal pelvic wall
の過形成領域 (renal pelvic surface表面は整)
3) IgG4 >135mg/dL
4) 腎の組織所見
 a) IgG4+
形質細胞がHPFあたり>10, IgG4+/IgG+ 形質細胞>40%
 b)
リンパ球, 形質細胞が浸潤した線維性, 硬化性組織
5) 腎外の組織所見
 IgG4+
形質細胞がHPFあたり>10, IgG4+/IgG+ 形質細胞>40%
Definite 1+3+4a,b
2+3+4a,b
2+3+5
1+3+4a+5
Probable 1+4a,b
2+4a,b
2+5
3+4a,(b)
Possible 1+3
2+3
1+4a
2+4a

IgG4-RSDの診断フローチャート

IgG4-RSDの治療
IgG4-RSDではステロイドが効果的.
ステロイドは最も使用され, 9割近く効果的であるが, 副作用も多い
他の免疫抑制剤; AZAも有効. また, Rituximabも効果的である可能性がある.

PSL, DMARDでも効果不十分なIgG4-RSDでは, Rituximab(RTX) 1000mg/d, 15日毎投与が有効である可能性. (Medicine 2012;91: 57-66)
 PSLを数ヶ月〜数年, 他のDMARD(AZA, MTXなど)を使用しても, Disease Activity Score 1-14(3-6が大半)である10名で, RTXへ変更後にPSL減量, 病勢の改善を認めた報告.
 RTXは6例が1回投与のみ, 3例が3回投与, 1例が4回投与で改善している.
 IgG4値も低下を認める.

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