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2014年6月23日月曜日

副腎不全 ①: 原因

副腎不全 (Adrenal Insufficiency)①: 原因について
Lancet 2014; 383: 2152–67, JAMA 2002;287:236-40

副腎不全②: 症状, 検査, 治療


下垂体, 副腎の障害によりCortsolの分泌が障害された病態
急性, 慢性, 原発性~三次性と原因は多い
 原発性は稀だが, 腫瘍, 炎症, 出血などで副腎が>90%破壊されると生じ
  Glucocorticoid, mineralcorticoid(アルドステロン)双方が低下する
 二次性では下垂体機能低下, ACTH分泌低下による機序.
  通常アルドステロンの抑制は無し ⇒ 高Kにはならない.

 三次性は, 視床下部, HPA axisの機能低下, 不全による機序となる.

原発性副腎不全
 ヨーロッパでは93-144/100万の有病率. 4.4-6.0/100万-yの発症率と言われている.
 以前は結核が最も多い副腎不全の原因であったが, 近年では自己免疫性副腎不全が多い原因となっている.
 1969-2009年に診断された615例の原発性副腎不全のうち, 82%が自己免疫性. 9%が結核性, その他が8%.
 自己免疫性では特発性が40%, APS(autoimmune polyendocrinopathy syndrome)が60%
 原発性副腎不全は男性よりも女性に多く, 30-50歳台でピーク. 
 または, 40台, 70台で2峰性のピークを迎えるとしている文献もあり.(Lancet 2003;361:1881-93) (日内雑誌 2008;97:16)

クリーゼ発症は37.4%(特発性 42.5%, 結核性35%)
 誘因; 感染症 75%, 補助療法中断 7.5%
 予後; 治癒 80.7%, 不変 15.6%, 死亡 3.7%

二次性副腎不全は原発性よりも多い
 150-250/100万の有病率で, 女性例の方が多い.
 また, 好発年齢も60歳台とやや高齢となる.
 下垂体腫瘍, 放射線療法後, 下垂体炎が原因としてある.
最も多い原因は視床下部-下垂体の腫瘍浸潤 (Lancet 2003;361:1881-93)
 外科手術, 放射線治療による汎下垂体機能低下症
 Autoimmune Lymphocytic Hypophysitisはやや頻度が劣り, 出産後の女性に多い疾患. しばしばSheehan’s Synとの鑑別を要する
 甲状腺疾患に合併する自己免疫性ACTH欠乏症もある.

下垂体に影響を及ぼす炎症, 感染症 (Top Magn Reson Imaging 2005;16:301-6)
下垂体に影響を及ぼす炎症, 感染症疾患は稀であり, 原発腫瘍よりも少ない.
Primary(下垂体に限局する障害)と Secondary(全身性疾患に合併するもの)の2つに分類される.
Primary 肉芽腫性疾患 Granulomatous hypophysitis,
Xanthomatous hypophysitis

Lymphocytic Autoimmune Hypophysitis Lymphocytic Infundibular Neurohypophysitis


Lymphocytic Panhypophysitis



Secondary 感染症 結核, 細菌性髄膜炎, 真菌感染, ウイルス感染

非感染症 Wegener肉芽腫


Sarcoidosis


クローン病


高安病


嚢胞破裂, Histiocytosis
最近は上記に加えてIgG4関連疾患もはいる.

下垂体炎は別で記載

三次性で最も多い原因はステロイド投与による副腎抑制
 視床下部-下垂体系の抑制を来す(Corticotropin-releasing hormone)
 経口プレドニゾン25mg bidを5日間投与すると, 中止後5日間はACTHは抑制されたまま.
 投与量よりは投与期間が重要であり, 5mg/dのプレドニゾンでも長期間投与すれば中止後1年はHPA axisは抑制されている.

 PSL 20mg相当を3wk以上内服している患者
 夕, 就寝前にPSLを2-3wk内服した患者
 Cushing様症状を呈する患者 ⇒ 副腎不全として扱うべきである

副腎不全の原因一覧:Lancet 2014; 383: 2152–67
原発性副腎不全の原因一覧


二次性副腎不全の原因一覧

三次性副腎不全の原因一覧

原発性副腎不全の補足:
先天性Addison病 日内雑誌 2008;97:16 Lancet 2003;361:1881-93
 男女比 4:1, 30歳未満の発症が主
 95.6%に遺伝子異常を認める
 X-linked AdrenoleukodystrophyはABCD1 geneの異常.
 副腎不全 + 神経のDemyelinationを特徴とする
 早期発症 + 急速進行typeが50%, 早期発症 + 緩徐進行typeが35%
 15%は副腎不全のみ発症するtype
症状は非特異的なものがほとんど
 原因不明の低Na血症, 高K血症では要Check
 また, 繰り返す低血糖発作でもCheck必要.
 APSとして甲状腺機能低下症も合併するため, Thyroxine補充療法開始後に症状が増悪する場合はAddison病を疑い精査を.
 日中の倦怠感は強いが, 日中の眠気は健常人と同等との報告あり (Eur J of Endocrinol 2003;148:449-56)

APS: Autoimmune Polyendocrine Syndrome
自己免疫性の複数の内分泌機能障害を伴う疾患. 4タイプある.
(Endocrine Reviews 2002;23:327-364)
APS type 1
 慢性皮膚カンジダ症, 慢性副甲状腺機能低下,
 自己免疫性ADの内, 2つ以上
APS type 2
 自己免疫性AD(必須)
+ 自己免疫性甲状腺疾患 or 1型DM
APS type 3
 自己免疫性甲状腺疾患
+ 他の自己免疫疾患(AD, 副甲状腺, カンジダ皮膚炎)
APS type 4
 >=2の臓器特異的自己免疫疾患(type 1-3に分類されない)

Addison病を伴うAPS, 単独型の特徴

APS type 1
APS type 2
APS type 4
単独型
頻度
13%
41%
5%
41%
M : F
1:1.8
1:3.6
1:3.3
1:0.8
主要併発疾患, 頻度
Addison
100%
100%
100%
100%
慢性副甲状腺機能低下
88%
(-)
(-)
(-)
粘膜皮膚カンジダ症
79%
(-)
(-)
(-)
自己免疫性甲状腺疾患
13%
83%
(-)
(-)
Type 1 DM
6%
28%
(-)
(-)
合併疾患, 頻度
Gn性性腺機能不全
61%
9%
61%
(-)
脱毛
38%
5%
8%
(-)
白斑
22%
11%
31%
(-)
慢性肝炎
19%
4%
(-)
(-)
悪性貧血
19%
1%
(-)
(-)
Sjogren Syndrome
16%
1%
8%
(-)
吸収不良
15%
(-)
(-)
(-)
角結膜炎
12%
(-)
(-)
(-)
悪性腫瘍
12%
3%
(-)
1%
慢性委縮性胃炎
6%
11%
8%
(-)
Turner Syndrome
3%
(-)
(-)
(-)

副腎に転移する腫瘍の原発巣は? 
30年で464例の副腎転移性腫瘍患者  Clinical Endocrinology (2002) 56, 95–101
 平均年齢62歳. 男性288例, 女性176例.
 症候性だったのが20例(4%). 副腎不全は5例.
 副腎不全はより若年, 腫瘍が大きい傾向あり.(5.0cm[3.5] vs 1.9cm[1.7])
原発巣 %


肺癌 35.4% 子宮頸癌 1.2%
胃癌 14.3% 前立腺癌 0.7%
食道癌 12.1% 甲状腺癌 0.5%
肝胆道系 10.7% 卵巣癌 0.5%
膵臓 6.9% 卵肝癌 0.5%
大腸 5.4% 口腔, 喉頭 0.5%
腎癌 4.3% 咽頭 0.2%
乳癌 2.9% 小腸 0.2%
膀胱癌 1.9% 皮膚(陰茎) 0.2%
胆嚢癌 1.6%


肺は肺腺癌が102例, SCC 23, LCC 12, 扁平上皮癌 12例
全体では, 腺癌 56.3%, 扁平上皮癌 14.9%
転移側は両側性が49%. 片側性の場合は左側が多い(143 vs 92)

Glucocorticoid-induced Adrenal Insufficiency
(JAMA 1999;282:671-6)
三次性副腎不全で最も多い原因.
長期間のステロイド治療に伴うH-P-I axisの萎縮.
 具体的な頻度は不明.
 20-30mg/dのPSLを5日以上使用した患者は常にリスクがあるが, 短期投与の場合は抑制も数日で改善するため, ほぼ問題ないならない.
 慢性的にステロイド使用(3.6yrで合計PSL4.36g)している患者19名中, HPA-axisの機能低下は11名で認められた.

 機能低下は先ず中枢性に起こり, その後副腎萎縮となる.
 上記の11名中, 5名が中枢性, 6名が副腎萎縮.
 中枢性の場合はACTH testでは判別困難となる.
 重症例は大体が副腎萎縮を来たしている例.

Glucocorticoid-induced AIの検査
 血中コルチゾール検査, Rapid ACTH test.
  ステロイド投与が無い状態での評価が大事.
 
Dexamethasone以外の頻用するステロイド薬は血中コルチゾール値に影響を及ぼす含有物がある.
 ただし, それら含有物の半減期は0.5-4.0hrであり, 最終投与から24-48hr空ければ影響はほぼない.
 >> PSL 1日1回朝使用している患者での 血中コルチゾール測定, Rapid ACTHなど負荷試験を翌日投与前に行うことが推奨される.
 検査結果の解釈は他のAIと同様.
 ACTH250µg負荷試験は副腎萎縮の評価に有用であるが, 中枢性の副腎不全では正常値をとるため, 否定は仕切れない.
 >> 中枢性も評価するにはインスリン負荷試験, メチラポン試験, CRH負荷試験, ACTH 1µg負荷試験が有用.


Insulin-Induced Hypoglycemia Test (IIT)
 低血糖が最もACTH分泌刺激効果が強いことを利用.
 インスリンを血糖<40mg/dLまで投与継続し, 血中Cortisolを評価.
 Cortisol<20µg/dLならばHPA axis機能低下を示唆する.
 ≥60yrの高齢者, CAD, 低血糖が耐えられない患者(痙攣等)では禁忌.
 IITを施行した6581名中, 合併症を認めたのは僅か6名のみと, 経験のある医師のもと行うならば安全な検査.

Overnight Metyrapone Test
 Methyraponeが11-deoxycortisol→Cortisol産生を阻害する作用を利用.
 Cortisol産生低下 → ACTH増加 → 翌朝のCortisol低下, 11-deoxycortisol上昇.
 深夜に30mg/kg内服し, 朝8時の採血にて, Cortisol<5, 11-deoxycortisol>7mcg/dLならばHPA-axisは正常.
 副腎不全を誘発するため, 原則入院がbetter.

CRH stimulation
 IITと同程度の診断能を持つ検査. 安全に外来で施行可能.
 CRH 1µg/kg DIVし, 15,30,60minで採血.
 Cortisol>18.5となればHPA-axisは問題無しと判断可能.
 <15ならば副腎不全と判断する.

Low-dose ACTH test (1µg)
 副腎萎縮のみでは無く, 中枢性のAIの判断も可能.
 ただし, 250µg負荷と比較して感度は同等 or やや劣る.

Glucocorticoid-induced AIのステロイド減量方法は?
 当然減量速度は原疾患により異なる. 
生理的ステロイド分泌量は, PSL換算で5mg/d
(特に膠原病など基礎疾患が無い場合, 短期的に高用量のステロイド使用例では)
 PSL 5mgまでは短期間で減量してOK. その後は1mg/moずつTaperingを行う.
 もしくは, PSL 5mg/d → hydrocortisone 15mg朝, 5mg夕に変更し, 2.5mg/wkずつTapering.
 10mg朝のみとなった段階でTapering中止し, HPA axis機能を評価.
 HPA axis機能が戻るまではそのまま維持する方法もある.
 PSL<5mg/dの投与量でAI症状出現すれば, Glucocorticoid-induced AIを考慮し, 早朝Cortisolを評価.
 結果に応じてRapid ACTH test(250µg), 他の検査を考慮する.

抑制されたHPA axisが戻るのには9ヶ月以上かかる
 その間, 早朝Cortisol測定を月1回行い,(朝のPSL内服前に採血!)
 Cortisol>10µg/dLとなれば250µg ACTH testを施行し, 問題なけれあばPSL中止する方法もあり.
 HPA axisは副腎萎縮よりも早期に改善する為,
 ACTH test正常 = 副腎萎縮改善 = HPA axisは既に改善している.

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