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2014年6月9日月曜日

強皮症とPBC(Primary Biliary Cirrhosis)

強皮症とPBC(Primary Biliary Cirrhosis: 原発性胆汁性肝硬変)

自己免疫疾患と肝障害の関係
SScに限らず, 膠原病に肝障害が伴うことは少なくない.
 シェーグレン症候群では肝酵素上昇は50%で認め, SLEでは30%で肝障害あり. SScでは1%のみ.
 SLE, シェーグレン, SScの肝障害の頻度と肝障害パターン, 自己免疫性肝疾患合併頻度
(Best Practice & Research Clinical Gastroenterology 27 (2013) 543–551)

PBCと強皮症 (PBC目線)
PBCは緩徐進行性の慢性的な胆汁うっ滞を呈する疾患.
 小管の肉芽腫性胆管炎, 化学的胆汁うっ滞が特徴.
 発症率は32.2/1 000 000/yr, 有病率は334.6/1 000 000
 50-70歳台に多く, 87%が女性
年齢
割合
年齢
割合
=< 19
0.1%
50歳台
28%
20歳台
0.5%
60歳台
33%
30歳台
2.0%
70歳台
23%
40歳台
8.6%
>=80
3.8%
 60%が診断時に無症候, 非肝硬変
 症状の有無は重症度には関与しない
 AMA陽性率は男性=女性であることを考慮すると, 女性は自己抗体に対する耐性が少ない可能性が示唆される.
症状, 検査所見, 合併疾患
症状
頻度
検査所見
頻度
合併疾患
頻度
掻痒感
53.3%
脾腫
38.1%
シェーグレン
13.5%
黄疸
11.3%
食道静脈瘤
19.1%
関節リウマチ
7.3%
黄色腫
5.8%
IgM >300mg/dL
46.3%
慢性甲状腺炎
4.4%


AMA抗体(+)
86.6%
強皮症
2.0%
(J Epidemiol 2007;17:210-4)

PBCは他の自己免疫疾患との合併が多い.
 特にSScとの合併は多く, PBCの3-50%でSScを合併. Limited cutaneous SScでの合併が多い.
 また, PBC患者の9-30%で抗セントロメア抗体が陽性となる.
 SScでは22-25%, 特にlcSScで陽性となりやすい.
 反対にSScの25%で抗ミトコンドリア抗体が陽性となり, この2つの疾患の関連性が示唆される.

580例のPBC患者をReview.
 その内43例(7.4%)でSScを合併していた.
 PBC-SSc群の93%がlc-SScであり, PBCが先でもSScの診断が先でも双方ありえる.
 各診断の間は4-5年であることが多い.
 PBC-SSc群と背景を合わせたPBC単独群を比較すると, 死亡リスクは両者で変わりなかった. (Gut 2006;55:388–394)

強皮症とPBC (強皮症目線)
イタリアにおけるSSc 201例でPBCの特異抗体を評価  (J Rheumatol 2011;38:2180–5)
 抗体はMIT3, gp210, Sp100抗体を評価. >> 43/201(21%)で陽性.
 MIT3: pyruvate dehydrogenase complex, branched chain oxo-acid
  dehydrogenase complex, oxo-acid glutamate dehydronase complex.

 MIT3抗体は36/201(17.9%), Sp100抗体は5/201(2.5%), pg210抗体は1/201(0.5%)のみ.
 残り3例はPBC screen陽性例*で, 特異抗体は認めなかった.

40例のPBC特異抗体陽性例と陰性例の比較.
 PBC抗体陽性例の方が 限局型SSc, AMA陽性, ACA陽性, ALP上昇例が多い.
 PBC抗体陽性群のうち, PBCの診断は15%, 陰性群では1.4%のみ.

自己抗体とPBC, ALP上昇の関連.
 PBC症例のほとんどがACA陽性例.
 ACAとPBC screenで全例が検出可能.

日本国内の評価:
日本のSSc患者225名のRetrospective study. (Mod Rheumatol (2012) 22:892–898)
 PBCの特異抗体; anti-mitchondrial M2 Ab(AMA), anti-sp100 Ab, anti-gp210 Abを評価.
 結果は, AMA陽性が16.4%, 抗sp100陽性が5.8%, 抗gp210陽性が1.3%
 抗体は陰性だが, 臨床症状や生検にてPBC様と判断されたのは13例.
 合計でPBCは22+13=35例, 15.6%でPBCを合併.
PBC合併例では抗セントロメア抗体陽性例が多い(77% vs 33%)

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PBCの診断に際しては抗ミトコンドリアM2抗体は高感度, 抗特異度という認識をしていたものの, SScと合併する例では特異抗体を認めないものも多い.
皮膚限局型SScで抗セントロメア抗体陽性, ALP上昇を認める場合はM2抗体等陰性であってもPBCの可能性が高いと判断するべきと言える.

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