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2014年6月14日土曜日

甲状腺眼症: Graves' ophthalmopathy

甲状腺眼症, Graves' ophthalmopathy
NEJM 2010;362:726-38
NEJM 2009;360:994-1001
BMJ 2009;338:b560

甲状腺機能亢進症に伴う眼の症状.
 主に眼球突出, 外眼筋障害, 眼球痛等を呈する.

2.9-16.0/100 000/yrの比較的稀な病態
Autoreactive T lymphocyteが関与
 甲状腺, 眼窩の共通抗原に作用し, サイトカインを分泌
 ⇒ 眼窩の線維芽細胞活性化, 脂肪組織の増殖を来し, 眼球突出を来す
Hyperthyroidである必要はなく, 10%未満でEuthyroid, Hypothyroidで認める
 専門センターではGraves’ Diseaseの50%に認められるとの報告
 臨床的症状を来すものは20-30%, 重篤な症状は3-5%で認める
 臨床症状; 複視, Photophobia, 流涙, 疼痛, 異物感など
 バセドー病の70%がMRIにて眼窩の変化を認めるとの報告もあり.
眼瞼後退
眼球突出
外眼筋障害
眼球痛
流涙
眼神経障害
91%
62%
43%
30%
23%
23%
Am J Ophthalmol 1996;121:284-90

甲状腺眼症の機序
抗サイロトロピン受容体抗体が眼症と関連している.
 Euthyroid, Hypothyroid患者でも眼症を生じ得るが, その場合は少量の抗サイロトロピン受容体抗体が検出される. (少量であり、通常のAssayでは検出できない)
 Graves’ disease患者では, 外眼筋の抗サイロトロピンRの増加を認める
 喫煙は眼症のリスクを上昇させる(OR 7.7)

外眼筋, 挙筋には局所的な単核球の浸潤を認める. 大半がCD4+ cell.
また, 組織内のTNF, IL-2, IL4,5,10, TGF-βなどの濃度が上昇している.
他にはIGF-I R, Thy-1, Fibroblastの増生が組織肥大に関与している.

臨床症状
眼窩内の軟部組織腫大による症状が主
 大半の患者では外眼筋, 脂肪組織双方の腫大を認める
 <40yrではより脂肪組織が, >60yrではより外眼筋が腫大しやすい.
 下直筋が最も侵されやすい.
 Upper-eyelid retractionは交感神経の亢進によるMuller’s muscleの刺激, 下直筋の亢進, 周囲組織の腫脹に対抗する挙筋のOveractionにより生じる
 症候性の角膜乾燥はEyelid retractionによる瞬きの減少, 閉眼不全による.
 眼周囲浮腫は軟部組織の腫大による静脈還流の低下が原因.

CT画像
A; →は視神経. 圧迫は認めない
 内側直筋, 下直筋の肥厚を認める
B, C; 内側直筋, 下直筋の肥厚あり,
 ステロイド投与後には改善を認めた(C)

甲状腺眼症の鑑別診断
鑑別診断

アレルギー性結膜炎
眼窩腫瘍
重症筋無力症
頚動脈海綿静脈洞瘻
眼窩筋炎
炎症性眼窩疾患
(Wegener
肉芽腫など)
慢性進行性外眼筋麻痺
CT, MRIにて評価した方が良い場合
 片側性の病態
 Thyroid dysfunctionが無いのに眼病変(+)
 Upper eyelid retraction(-) 
 外斜視がある
 複視のみ認める
 1日の終わりのほうが複視がひどい

重症度の判断
Graves Ophthalmopathy重症度
特徴
Mild
Moderate-Severe
Eyelid retraction
<2mm
>=2mm
眼球突出
<3mm
>=3mm
軟部組織侵襲
Mild
Moderate-Severe
外眼筋障害(複視)
無し or 断続的
持続的
角膜障害
無し or 軽度
中等度以上
Graves’ Diseaseの病勢が強ければ眼症も重症化する
喫煙, Thyrotropin-R抗体, 甲状腺機能亢進症の重症度が関与

Factor
RR
Factor
RR
Thyrotropin-R Ab(1IU/L上昇あたり)
1.27[1.11-1.46]
性別
5.39[0.82-35.2]
喫煙習慣
9.03[1.96-41.71]
治療のType
1.74[0.94-3.22]
年齢(1yr上昇あたり)
1.14[1.07-1.23]
FT4 Level
0.96[0.86-1.07]
J Clin Endocrinol Metab 2006;91:3464-70

Tyrotropin-R Ab(TBII)値とGraves’ Ophthalmopathy経過予測
J Clin Endocrinol Metab 2006;91:3464-70
特異度 90%でのAb値Cutoff値
Outcome; Mild GO
発症からの時間
TBII cutoff
Sn(%)
OR
1-4mo
5.7
51%
13.9
5-8mo
2.6
56.9%
6.8
9-12mo
1.5
57.6
3.7
13-16mo
1.5
61.2%
15.6
17-20mo
1.5
64%
2.3
21-24mo
1.5
70%
14.7

Outcome; Severe GO
発症からの時間
TBII cutoff
Sn(%)
OR
1-4mo
5-8mo
8.8
66.7%
18.4
9-12mo
5.1
65.7%
16.9
13-16mo
4.8
61.9%
14.3
17-20mo
2.8
78%
31.1
21-24mo
2.8
62%
8.7
治療
Grave’s Diseaseの治療そのもので, 眼症の増悪を認める例もあり Mildでは基本的に治療は必要なし. フォローのみで良い
Moderate, Severe, 重症化するRiskが高い患者では治療(予防)を.
放射線治療後に, 0.3-0.5mg/kgのPrednisoneが効果的とのRCTがある

決まった治療は無いが,
 準緊急を要する眼症ならば, Methylprednisolone 1g IV 3日間, 1-2wkで改善を認めない場合は外科的除圧を考慮する
 Moderate, Severeならば, 500mg DIV 3日間を4wk毎に4サイクル
 初回Prednisone 40mg, 4-6moかけてTaperingも良く使用される
 Methlprednisolone 500mg/wk 6wk, 250mg/wk 6wkの計4.5gならば, 肝障害など副作用のRiskを少ないまま治療可能.
 他, 放射線, 外科手術, Somatostatin.

各サイトカインに対する治療も近年提唱されている
 TNF; Infliximab, Adalimumab
 TNF-R; Etanercept
 IL-1 R; Anakinra
 IL-6 R; Tocilizumab
 TGF-β; Lerdelimumab
 Oxygen free radicals; Selenium
 CD20; Rituximab, ocrelizumab, ofatumumab
 CD3; ChAglyCD3
 CD28; Abatacept
 CD154; IDEC-131
 PPAR-γ; Selective PPAR modulators

 Somatostatin R; SOM230
 Thyrotropin R; NIDDK/CEB-52


軽症例に対するSelenium N Engl J Med 2011;364:1920-­31
軽症の甲状腺眼症患者159名を対象としたDB−RCT
 Selenium 100µg bid vs Pentoxifylline 600mg bid vs Placeboに割り付け, 6ヶ月間投与し, 終了後6ヶ月間フォロー.
 Selenium(Antioxidant agent), Pentoxifylline(抗炎症作用).
 QOL評価と眼科医による眼所見評価をOutcomeとし, 評価.
Baseline
 アウトカム, 副作用頻度

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