Vonoprazan: タケキャブ®
2015年2月に販売開始された比較的新しい制酸薬. 最近よく処方されているのを見る様になった.
PPIとは異なる機序であり, 副作用も気になるところ. 新しいため, また情報の蓄積は少なく, わからないことも多い.
(Pharmazie. 2020 Oct 1;75(10):527-530. doi: 10.1691/ph.2020.0604.)
日本国内のJADER(Japanese Adverse Drug Event Report) 医薬品副作用データベースを用いて, VonoprazanとPPIの副作用を比較した報告
・2004-2017年に報告された副作用を解析
・この間に報告された副作用はPPIで11433例,
Vonoprazanで636例 ( Vonoprazanの販売は2015年2月〜)
PPIで報告された副作用 Top 10
・肝障害, 間質性肺炎, 顕微鏡的大腸炎
・血球減少: 顆粒球減少, 血小板減少, 汎血球減少
・薬剤性皮疹: TEN, 薬疹, 多型滲出性紅斑
・特に顕微鏡的大腸炎のRORが高い. 薬剤別ではランソプラゾール, ラベプラゾールで多い
Vonoprazanで報告された副作用 Top 10
・肝障害
・出血性腸炎
・発熱
・血球減少: 血小板減少, 汎血球減少
・薬剤性皮疹: 薬疹, Rash, 多型浸出性紅斑, TEN
・出血性腸炎のRORが86.5と非常に高い.
PPIと異なり, 顕微鏡的大腸炎の報告は多くない
Vonoprazanと出血性腸炎の報告は, 症例報告を調べる限りは見つからず.
ピロリ菌除菌において, AMPC, MNZ, クラリスロマイシンなどに加えてVonoprazanを併用し, 出血性大腸炎を生じた症例報告は散見(この場合, 抗菌薬によるものと判断されていることが多い)
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PPIとVonoprazanで共通する多い副作用は肝障害, 血球減少, 薬疹
腸炎については, PPIでは顕微鏡的大腸炎が多く, Vonoprazanでは出血性腸炎が多い.
しかしながら, Vonoprazanと出血性腸炎で検索しても, その症例報告は見つからない.
判断が難しい.
代替薬がある新薬はひとまず処方は避けて様子見, が自分のスタイルではある