肺血栓塞栓症の予測スコアはさまざまなものが発表されている.
有名なのはWell's criteriaやRivised Geneva score
この2つの評価では, 可能性が高い場合は造影CTなど画像検査を, 可能性が低いならばD-dimerを評価し, 低値ならば除外, というステップを踏む.
それ以外のScoreも多くが臨床所見+D-dimerで判断する.
PERC strategyは8項目をチェックし, いずれも満たさない場合はPEを否定. CT血管造影など検査を行わない方法であり, 以下の項目をチェックする方法:
PERC(Pulmonary embolism rule-out criteria): (JAMA. 2018;319(6):559-566.)
・SpO2≤94% ・HR≥100bpm
・年齢≥50歳 ・片側下肢の浮腫
・血痰 ・最近の外傷歴や手術歴
・肺血栓塞栓症やDVTの既往 ・エストロゲン製剤の使用
そこで今回「臨床的に検査なしで除外可能」な群を含むPretest probability scoreの作成をおこんった.
4PEPS (4-level PE clinical Probability Score)
(JAMA Cardiol. 2021;6(6):669-677.)
・患者をリスクに応じて以下の4つに分類するように, USと西欧のERにおいて, PEを疑われた患者群を対象とし, PEの予測スコアを作成.
リスク | 想定% | |
Very low | 臨床基準のみで除外可能 | <2% |
Low | D-dimer <1.0µg/mLで除外可能 | 2-20% |
Moderate | D-dimer<0.5µg/mLまたは年齢x0.01(>50歳)で除外可能 | 20-65% |
High | D-dimerで除外不可, 画像検査必要 | >65% |
・N=11114, PE率11%の患者群でDerivation, Internal validationを行い,
2つの他のStudyデータよりExternal validationを行った;
N=1548, PE率21.5%のPE高確率群と
N=1669, PE率11.7%のPE中確率群.
母集団データ
Derivation cohortより PEの可能性に関連する 要素とそのスコア化 (4PEPS)
・PEの可能性を下げる因子年齢(若年), 慢性肺疾患, 頻脈なし,
・PEの可能性を上げる因子
胸痛+急性呼吸苦, 男性, ホルモン療法, VTE既往, 失神, 4wk以内の体動困難, SpO2 <95%
男性, 下腿の疼痛 and/or 片側浮腫, PEが最も考えやすい
スコアとPEの可能性
・Very Low <0点: そのまま除外
・Low 0-5点: D-dimer <1.0µg/mLで除外, それ以外は画像検査
・Moderate 6-12点: D-dimer <0.5 or 年齢x0.01(>50歳)で除外, それ以外は画像検査
・High ≥13点: D-dimer関係なく画像検査.
Validation cohortにおける各指標の評価
・画像検査を行う症例は4PEPSで最も少ない(46%, 32%)
・偽陰性は他の指標と大きくは変わらない.
・4PEPSは画像検査の施行症例を少なくすることが可能
Standard(Revised Geneva, Well’s)と比較して -22%[-26~-19], -19%[-22~-16]と2割程度画像検査が減らせる